岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/09/16
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2016/06/26配信「英国EU離脱を騒ぐ前にこの本を読んで落ち着け!~『アメリカを変えた夏 1927年』」の内容をご紹介します。
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2016/06/26の内容一覧
- 本日のお題
- 「何歳のときに何が世界にあったのか?」で見る自分と世界のつながり
- 19世紀のツケを払った20世紀、20世紀のツケを払う21世紀
- 世界大戦が作った航空産業、「平均余命6日」のパイロットたち
- 飛行機乗りの失業と『紅の豚』、世界恐慌を知らなかったイタリア人
- デパート屋上への着陸競争と大西洋横断競争
- シコルスキーに続く挑戦者たちの失敗とリンドバーグの登場
- タブロイドがもたらしたアメリカの新聞ブーム
- 禁酒法のために毎年1万3000人が毒殺された
- ドイツ人差別から作られた禁酒法、禁酒法がもたらした社会の闇
- パリの地図も燃料計もない、徹底した軽量化で挑むリンドバーグ
- アメリカを襲った大災害と黒人の移動、パリのリンドバーグ
- 高層ビルとスプロール現象、景色を変えるほどのパレードの紙吹雪
- 禁酒法とアル・カポネ、ストライキと賄賂
- 質疑応答『アドベンチャー・タイム』「28歳童貞」「EU離脱」
- 次回告知
タブロイドがもたらしたアメリカの新聞ブーム
本日は、『アメリカを変えた夏、1927年』というすごく面白い本を紹介します。
(中略)
リンドバーグの話入る前に、アメリカで大騒ぎになるっていうの、どういうことかってことを、アメリカのマスコミの誕生というのを語らなければなりません。
1927年のリンドバーグがなんでこんな大騒ぎになったのかって言うと、その時が、じつは1920年代の後半っていうのがアメリカ人の最も活字を読んだ時代と言われるんですね。
30年代に入るとラジオが出てきて、もうアメリカ人は受動的なメディアであるラジオを聞くばっかりになっちゃったんですけども、20年代の後半っていうのは、ほとんどすべての人が毎日夢中になって活字を読んでいた。
なんせ、1920年代のアメリカ人が平均的に購読している、新聞の部数が1.4部って言われたんですね。つまり、国民がみんな1部以上、たぶんだいたいの人が2部から3部ぐらいの新聞をとってたんです。
それは当たり前で、じつはニューヨークだけで、毎日出てくる新聞が12紙あったっていうんですね。それぐらい、アメリカ人っていうの新聞が大好きだったんですよ。
なんでそんな新聞が好きだったのかって言うと、タブロイド紙っていうのが生まれたんですね。
もともとはイギリスにあったんですよ。
イギリスに『デイリー・ミラー』っていうタブロイド紙っていうのがあったんですけども。これは安っぽいゴシップばっかりやるような新聞だったんですけども。
アメリカ人が第一次世界大戦の時に、みんなヨーロッパ戦線行きますね。
その時にイギリスに行って発見したんですよね。イギリスにはこんなえげつない新聞があると。
何かイギリスって先進国かと思ってたら、「見てよ、見てよ、この新聞、王様のゴシップとか殺人事件とか、あとエロい話とかそんなのしか載ってねえよ。これすげえよ」というふうなことで、アメリカでやろうということになってですね。
『イラストレイテッド・デイリー・ニュース』っていうのがアメリカで生まれました。
そうするとものすごいこれがヒットして、内容はもう犯罪、有名人のゴシップ、スポーツしか載せないっていうやつですね。
いわゆる今の僕らで言うまとめサイトみたいなもんなんですね。
まとめサイトだから、みんなそっちばっかり見るわけです。普通のニュースとか新聞とかを読まなくなって、僕らもまとめサイトとか、あとスマホのニュースサイトばっかり見ますね。
それとまったく同じようにみんなが面白がるような、怪しげな本当か嘘かわかんないようなニュースっていうのを毎日毎日写真入りでガンガン載せるっていうタブロイド紙。
タブロイドっていうのは、新聞のいわゆる大きさの半分のサイズのことをタブロイドサイズって言うんですけども、その新聞っていうのが生まれたと。
そこでは何よりも写真が大事だというふうに言われたんですね。
で、『イラストレイテッド・デイリー・ニュース』が生まれて、すぐに便乗商品としてウィリアム・ハースト、『市民ケーン』のモデルになったあのおっさんですね。あいつがイギリスの『デイリー・ミラー』をパクった『ニューヨーク・デイリー・ミラー』っていうのをすぐに出したんですね。
この2紙がものすごく生まれて、いよいよ最大で、最も粗悪で最も売れたと言われるタブロイドの、『ニューヨーク・イブニング・グラフィック』が生まれました。
『ニューヨーク・イブニング・グラフィック』の特徴は──これ本当に書いてあることですよ──「事実と関係ないこと」だそうです(笑)
たとえば、記者が会ったこともない人のインタビューと、あと、首だけすげ替えた合成写真っていうのが『ニューヨーク・イブニング・グラフィック』の売りなんですね。
で、たとえば映画スターでルドルフ・ヴァレンチノっていうのがいるんですけど、このヴァレンチノが死んだら、すぐに墓場から蘇ったヴァレンチノに当紙記者が独占インタビューっていうのがトップ記事で載るんですね。
その当時に、不動産王が若い嫁さんをもらったと。その若い嫁さんが裁判に呼ばれたっていう事実があったら、『ニューヨーク・イブニング・グラフィック』はすぐにヌードモデル呼んできて、誰もいない裁判所に行かせて、裁判所で素っぱだかのその女の子の写真を撮って、首だけその不動産王の奥さんの首に入れ替えて、で、不動産王の若い嫁、裸で裁判で証言っていうのをトップニュースとして載せたんですね(笑)
こんなえげつないことをやったんだから、売れに売れたと。
この3紙、タブロイド紙が売れに売れたおかげで、アメリカ中タブロイド紙が溢れて、ついに『ニューヨーク・タイムズ』、今でもある『ニューヨーク・タイムズ』も方針転換して、1926年あたりから、ありもしない記事を載せるようになってきたんですね(笑)
アメリカ中の新聞がグイーッとねじ曲がり、それのおかげでアメリカ人のほぼ全員が活字をもう本当に浴びるように読んだ時代っていうのが1920年代後半でした。
で、そんな時代にもうひとつの大きい出来事が―――。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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