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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「宮崎駿のためだけに作られたジブリ制作の雑誌『熱風』が面白い!」

2017/06/06 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/06/06

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2016/10/23配信「ジブリ・ディズニー・日テレ終了の夏!復活の鍵は『熱風』にあり!!」の内容をご紹介します。
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2016/10/23の内容一覧

知能指数が高すぎる『熱風』と水戸黄門、中国のアニメ制作

 『熱風』は1年間の通販でしか手に入れられない雑誌なんですよ。じつは普通の人でも、さっきジブリの社内誌って言ったんですけど、本屋さんでも売ってるところはあるんですけど、定期購読しかふつう買えないんですね。
 定期購読の料金が1年12ヶ月分で、2千円なんですよ。それも送料込みで。なのでジブリのホームページ見たら、申し込み方書いてますけど、2千円払うとこの結構分厚い、僕がこんなに付箋を貼らなければいけないほどの本が毎月毎月届くんですよ。だから、送料込みだから、明らかに赤字なんですよね。ハイクオリティ雑誌です。ジブリの儲けはゼロどころかマイナスですね。
 どんな雑誌かと僕、結構面白い部分だけをかいつまんで言ったんですけど、正直この話で皆さん買ったら、たぶん1号読むたびにしんどいと思うんですよ。というのは、知能指数が高すぎるんですよね。僕は『週刊文春』というのは知能指数95の人が読む雑誌、『熱風』は知能指数135以上のやつが読む雑誌だと思ってるんですけど、ホントにそうなんですよ。なんでかっていうと、この『熱風』には伝説があって、ジブリの鈴木さんが『熱風』の編集部に配属された人に必ず言うのが「読者対象は誰だと思う? 読者対象は宮崎駿だ。宮崎駿だけが喜べばいい」と言っている雑誌なんですよ。なので、クオリティーが高い高いですね。

 これちょうどパナソニックという会社が昔ナショナルという名前だった時に、『水戸黄門』というのを日曜の夜8時からテレビでやってました。これは松下幸之助という社長が「日曜の夜に見るテレビがないよ」と言ったので、ナショナルの宣伝部が「じゃ、社長わかりました。作ります」と言って作らせたのが『水戸黄門』なんですね。『水戸黄門』を見てナショナルの社長が「これは面白い」と言ったので、たったひとりのために作られたテレビ番組というのが『水戸黄門』なんですよね。
 こういうのは大企業によくあって、これは都市伝説かなって思うんですけど、佐川急便が年に1回立体映画をやってるって伝説を僕30年くらい前に聞いたことがあって、絶対外には出ないんだけども、佐川急便の社長が大の映画ファンなんですね。なので、佐川急便の社長のためだけに、佐川のなかに映画スタジオがあって、カメラスタッフとかがいて年に1本、社長に1月1日に見せるための立体映画を作ってるっていう話があって、それがウソかホントかわからないですけど、ナショナルの話は本当なんですね。

 松下幸之助に夜8時に見せるために『水戸黄門』を作ったんですけども、それと同じように宮崎駿だけにみせる雑誌です。宮崎駿はネットニュースも読まないですし、週刊誌も読まない、いわゆる古典教養人なんですね。なので、まずジブリの社内の事情を宮崎駿にわかってもらおう、ジブリのみんなはこんなことを考えているんだということを教えなきゃ、宮崎駿に教えるために、これジブリの『熱風』を読むと『レッドタートル』の宣伝とかそういうのがしょっちゅう出てくるんですよ。僕らがそれを読んでると、あ、ジブリが自分とこの作品を宣伝してらーとか、スタジオジブリで昔こんなことがあったってジブリ社内史という歴史も出てくるんですよ。そういうのを見ると、ジブリの奴らが自分のなかの話、昔話を語ってらーって思うんですけど、そうではなくて完全に宮崎駿に、今、うちの会社はこうなってますよと報告するための雑誌なんですよね。
 同時に宮崎駿に、鈴木敏夫さんが「宮さん、これも勉強しておいてください」という紙面になるんですね。たとえば『熱風』の2016年10月号、今月号ですね、「中国アニメーション最新事情」という回で、これは宮崎さんが知っておくべき中国アニメーションの最新事情が載っているという、この付箋の数々、ちょっとざっと読みます。
 たとえば中国で日本のアニメーションというのがどのように受け取られているのか、どういうふうになっているのかということで、今中国で一番ヒットしているアニメっていうのが『十万個冷笑話』という、十万個のちょっと笑える皮肉な話を集めた『十万個冷笑話』というのは完全なオタク映画である。YouTubeでも見れると思うんだけども、「この番組はこの提供でお送りしまーす」という中国人のナレーショーンが入れてある。中国のアニメだからスポンサーなんかあるはずがないんですけども、日本のアニメとまったく同じように「この番組はこの提供でお送りします」というのを入れたいがために、わざわざ入れてるっていうやつなんですね。
 中国の日本アニメオタクっていうのは、そこまで日本のアニメが好きだっていうのがよくわかるという記事から始まり、ホントにこれ、すごいですよ。

(中略)

 これもまあ、ジブリの鈴木さんにしてみれば、宮崎さんが知っておくべき中国の最新事情として載っているわけですね。意外なことに2016年3月号は「人工知能特集」というので、もうホントに宮崎さんが嫌がりそうな特集ばっかりやるんですね。宮崎駿に読ませる教科書だからですね。
 「人工知能特集をやる時にどういうふうにやるのかっていうと、もうジブリはスゴイですよ。『熱風』というのはたぶん、そんなに予算があるわけでもないんでしょうけども、ジブリのコネクションが最大限使えるので、人工知能を宮崎駿に紹介するために呼んだ人がGoogle Earthを開発したジョン・ハンケさんという、みなさんもやっているポケモンGOの社長ですね、ナイアンティック社の社長をわざわざ日本に呼びつけてドワンゴの川上さんと対談させるという、そこに鈴木敏夫がツッコミを入れて、脅威の対談企画が始まってしまいました。
 本当に『熱風』、すごいですよ。呼んでくる人間が本格的すぎると。このなかでジョン・ハンケさんがもう3月の段階で『ポケモンGO』をやってるって、サラッと言ってるんですね。たぶんだから、日本で最初のスクープだったと思うんですけど、誰も知らないスクープだったと思うんですけど、この時にジョン・ハンケさんがGoogleアースとかGoogleマップの位置情報を利用していろんなところに人を行かせるというゲームをやっているという、これは鈴木さんがそういうものを嫌いなのでどういうものかをジョン・ハンケがいちいち説明しているわけですね。
 Ingressを一所懸命説明しているんですけども、そのなかで鈴木さんがそれだったら宮崎さん得意ですよ、聖地の作り方、いわゆるアニメーションの聖地と呼ばれる場所をどういうふうに作るのかを説明しています。
 宮崎駿は絵コンテ、ストーリーボードを描くとき、意図的にやっていることが一つだけある。一本の映画のなかで同じシーンを同じバックグラウンドで最低3回出す。つまり、どっかの場所とかを出す時に同じ風景から電線を減らしたり、看板を減らしたり、昼とか夜に替えながら、必ず同じ場所を3回出すようにすると。するとその場所は印象に残って聖地になるという、このテクニックを鈴木敏夫さんがジョン・ハンケに教えるという、なかなか面白いことをやってるんですけども。

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