岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/06/07

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2017/05/21配信「『HUNTER×HUNTER』ハンター試験編解説と、映画『メッセージ』のネタバレ無し解説、痴漢冤罪問題」の内容をご紹介します。
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2017/05/21の内容一覧

『HUNTER×HUNTER』ハンター試験編

 『HUNTER×HUNTER』の最新刊となる34巻が、6月26日に発売されるそうです。それを記念して『HUNTER×HUNTER』を毎週1シーズンずつ取り上げようと思います。

 今日はハンター試験編。単行本1巻から5巻までのストーリーだね。『HUNTER×HUNTER』は、一番最初は実はそんなに大した漫画じゃないんだよ。
(パネルを見せる)
 これは第1話のカラー見開きなんだけども、これを見てもらったらわかる通り、大したことないよね、正直。「人は彼らをハンターと呼ぶ」というテロップや、このお宝の描き方とか、主人公の表情とか、ここら辺の金貨のこぼれ方とかを見ても、やっぱり「少年漫画の枠の中」で。これを始めて見た感想としても「こんなキャラクターが出てくるのかー」くらいなもので。この扉絵を見ても、ぶっちゃけ、そんなにすごい漫画とは思わなかったんだ。

(中略)

 第1シーズンのハンター試験編の面白さっていうのは、テストの多様さにあるんだよね。試験自体は5次試験まであるんだけど、それだけじゃなくて、まずハンター試験の会場に行くまでがテストだったりとかね、ものすごく多様性に富んでるんだよ。
 おまけに、最後まで読者のみんなが最初に期待する、戦ってどっちが強いかで決着つけるというのがまったくない! 本当に戦いがないまま、ハンター試験が終わってしまう。でも、ちゃんと見た感じの盛り上がりはあるという、すごい面白い作り方をしてるんだ。
 まず、テストそのものが6段階に分かれる。まず第1段階、「ハンター試験会場に行けない」というテストがあって、ここはハイペースでストーリーが進むんだけども。
 第2段階として、1次試験で「サトツさんという人についていくだけ」というのが、何話も何話も続く。ここで、「障害物競走みたいなことをしながら、話の展開するペースをスローダウンして、キャラ紹介する」ということをしている。
 2次試験には、ブラハとメンチという美食(グルメ)ハンターが出てくるんだけど、これは完全なミッションクリア型で、息抜きとしてコミカルな話を見せるということをやっている。
 4つ目のクエストが、3次試験のトリックタワーというやつで、なんか高い塔のてっぺんに行って、「その塔の1番下まで行きましょう」という試験なんだけど。初の戦闘と見せかけて、実はすべての戦闘が頭脳戦であるという(笑)。ここらへんも冨樫さんの、「いわゆる普通のバトル漫画を描きたくない」っていうのが現れていて面白いよね。
 次の4次試験でも、ゼビル島というところでお互いのネームプレートを取り合いが行われるんだけど。これも対戦に見えて、実はアドベンチャーというかインディー・ジョーンズみたいな冒険ものである。
 最後、最終試験として出てくるのが、まるでジャンプの人気投票システムみたいな、「どのキャラに人気があるかが重要なんだ!」って「印象値」を競うという戦いになっている。この辺が面白かったよね。

 じゃあ、まずは最初の前哨戦。「試験会場に行けない!」だよね。5話でできています。
 第1話「旅立ちの日」、第2話「嵐の出会い」、第3話「究極の選択」、第4話「魔獣凶狸狐」、第5話「第1次試験開始」ということで。

(パネルを見せる)
 これは第4話の一番最初のページなんだけども、ハンター会場に行くだけで、4話か5話を費やしてるんだよ。
 その上、毎話ごとにクリア条件が違う。例えば、第1話の旅立ちの日という回は「育ての親の「ミトさん」という人が、主人公のゴンがハンターになるのを反対してて」って話なんだ。そこで、ミトさんが課した「ヌシと言われる大きい魚を釣り上げてこい」というミッションをクリアしたときに、回想シーンで「ゴンがなぜハンターになりたいか」が語られる。
 これも普通の回想シーンではなくて、ゴンの回想シーンの中で、ゴンが憧れているカイトさんという人が出てきて、そのカイトさんの回想シーンの中で、ジンというゴンのお父さんの後姿が出てくるという、なんか倒置法みたいな、関係代名詞が2重3重構造になってるような、すごく変な構造で作られているんだけども。
 でも、ストーリー自体はすごいスピーディーに展開されていく。

 で、2話の嵐の出会いでは、レオリオとクラピカという、後々になってもずっと出てくるメインキャラクターの2人が初登場するんだ。
 会場に向かう船の中で、海が荒れる中、船長が意地悪を言って、「お前らがハンターになりたい理由はなんなんだ?」と聞いてくる。これも設問型のクエストになっているんだ。その質問に対してちゃんと答えを出しながら、「レオリオとクラピカの喧嘩の合間に、ゴンが嵐の中で海に落ちそうになった人を助けてあげる」という形で展開して、最終的にうまく対立が解消されるようになっている。
 ほんとにね、戦闘がありそうなんだけども、それがことごとく回避されて、その上、はぐらかされた感じがしないというお話になってるんだ。

 3話目が究極の選択というやつで、港にやっと着いたんだけども、さあどうやって会場に通じる一本杉の場所までいけるだろうかということで、「ドキドキ2択クイズ」というのを出されるんだよね。
 ここで初めて、『HUNTER×HUNTER』作中で延々と続く「2択と見せかけて実は3択」という設問が登場する。究極の2択クイズと言われて、登場人物が答えを悩んでると、主人公のゴンが隠された3つ目の答えを提示する。いわゆるテーゼがあって、アンチテーゼがあって、ジンテーゼ(新たな高次の概念による矛盾の解決)があるっていう、それを上回るタイプの回答を出して乗り越えるっていうやつだよね。
 つまり、一番最初のハンター会場に行くクエストっていうのは、すべてゴンの「人間力」で解決しているやつばっかりなんだよ。「レオリオとクラピカが対立している時に、ゴンだけが嵐で吹っ飛ばされた人のところにバーッと行く」とか、そういう人間的魅力で全部解決するという形。

 次の魔獣凶狸狐もそうだよね、魔獣凶狸狐も「魔獣を魔獣として見るんじゃなくて、一人ひとりのキャラクターとして見ていたゴンが、彼らをきちんと見分けることが出来たことで、凶狸狐の機嫌がよくなって手伝ってくれる」とかね、すべてゴンの人間力で解決している。
 こういう一番最初の前哨戦、「会場に行けない」というストーリーだけで、割と普通の漫画ではとっておきのネタとしてやるようなアイデアというのも、ザクザク出してきているんだ。

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