岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/02/20
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2017/01/29配信「早い者勝ち!SFマンガはこれを読め」の内容をご紹介します。
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2017/01/29の内容一覧
- 今日のテーマ「SFマンガ読もう」「2017年のSF映画」
- 追い込まれたモーリー・ロバートソンの面白さ
- オフ回で会った「盛りすぎ」な人妻
- 実写を超えるアニメの力、二次元の力
- SFマンガを読んでる人と読んでない人とでは発想が違う
- 侵略ロボットSFの最高峰『砲神エグザクソン』
- ひたすらロジカルに積んでいく“銃×魔法”の世界『ブレッド・ザ・ウィザード』
- 「地に足のついた技術」のリアリティ『ルサルカは還らない』
- 「わかりやすい説明」を描かない『攻殻機動隊』
- 岡田斗司夫の講演映像ベスト回を紹介
- 深田君と作った「カンフー映画」で文化祭がパニックに
- ヒーローロボットに魔法を組み込んだ『混沌世界ボルドー』
- 少女マンガのノリで描く本格スペースオペラ『トラブル急行』
- 全裸の女の子が出てくるハードSF『ハニハニハッ! 』
- この映画がすごいよ2017
- もう期待しかない『宇宙戦艦ヤマト2202』
- なにもかもがデカい『キングコング:髑髏島の巨神』
- 言いにくいような話をガンガンぶっ込む『レゴバットマン ザ・ムービー』
- 残念なハリウッド版『攻殻機動隊』
- がっかり予感の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
- 地味なSF、でも期待している『メッセージ』
- 「なんじゃこれ」だけど泣けて燃える予感の『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』
- じいさんと中年男、幼い女の子3人のSFロードムービー『ローガン』
- 新しい要素が見えない『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』
- 「もういいや」なティーンムービー『パワーレンジャー』
- 「スーパーヒーローになりたい中学生」、Zガンダム感のある『スパイダーマン:ホームカミング』
- 絵だけは見どころ? 『トランスフォーマー/最後の騎士王』
- リドリー・スコットの『2001年宇宙の旅』かもしれない『エイリアン:コヴェナント』
- 地味すぎる? 『ダンケルク』
- 「ブレランじゃない……」の『ブレード・ランナー2049』
- ワクワクがない『猿の惑星:大戦記』
- 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』、アニメ版『GODZILLA』
- 『ロッキー』になった『カーズ3』
- 次回はゲスト山田玲司先生との対談「漫画のドラマ化はなぜダメか」
- DMMサロンで井上寿一さんの講義『教養としての昭和史』
- メルマガ専用『岡田斗司夫アーカイブ』を作ってみました
実写を超えるアニメの力、二次元の力
地上波の深夜で寝る前だから、なんでもいいからって点けて見ていたら、倉本聰が出てたんだよね。
倉本聰っていうのは『北の国から』の脚本家で、テレビ界では有名な重鎮のおじさん。富良野塾っていうのをやっていて、そこから演技派の役者さんがいっぱい出てきたりしてる。すごく影響力のあるおじさんなんだ。
倉本聰が「『北の国から』が何周年になった」とかでインタビューを受けてるんだけど、終わってからもう10年以上経ってるんだよね。
「これから新しい『北の国から』を作るつもりあるのか?」っていう話になって。僕はそれにあんまり興味がないから、「はいはい」って、風呂出てボーっと見てたんだけど。
そしたら、インタビュアーがいきなり「『君の名は。』を見ましたか?」っていうことを聞いて。そしたら倉本聰が生き返ったように「見たよ! すごいね!」って、『君の名は。』をめちゃくちゃ誉めだしたんだよね。「アニメであんな新しいことが出来るんだったら――」って。
そしたらインタビュアーも乗ってきて「じゃあ、倉本さん、次はアニメじゃないですか?」って聞いたら、「そうなんだよ! 俺も考えてるんだよ!」って。
『北の国から』のなかに、五郎が最後に蛍と純に残す言葉、遺言みたいなのがあるんだよね。富良野に行くと石碑になってるらしいんだ。石碑があって、「いつかお前たちが見てくれたら」っていう遺言みたいなのがあるんだけども。そこのところで、本当は“見せたい画”っていうのがあったり。
あとは 『北の国から』って、本当はいつまでもずっと作り続けられるもんだと思ってたんだけども、色んな事情があって作れなくなってしまった。倉本聰が『君の名は。』を見た時に「あー!」って思ったっていうのは、たぶん、“役者さんがスキャンダルを起こさない”っていうのもあるし、“歳を取らない”っていうのもあるんだろう。
でも、一番大きいのは、テレビドラマという形で富良野の美しい風景を見せるということに、倉本聰は限界を感じてたんじゃないかなと思うんだよね。
『君の名は。』で何が一番面白くて、新しかったのかっていうと、普通の風景をものすごく美しく、綺麗に撮ってるところなんだよ。そこがめちゃくちゃ新しくて。
倉本聰は、その辺りに食いついて来たんじゃないかなって思うんだけども。
例えば、黒沢明がモノクロの映画を撮る時。逆光で竹藪のなかをガーッと走るシーンがあったんだけど、その時に、竹藪の竹の一本一本を墨で真っ黒に塗らせたんだよね。そしたら、黒い竹藪で逆光がより際立ってめちゃくちゃカッコいいじゃん。
実写の映画なんだから、現実にある風景をそのまま撮ればいいんだけども、黒沢明は、自分のなかに「こういうふうに見せたい」というカッコいい絵があるとなったら、もう、竹藪を黒く塗っちゃうんだよね。
その考え方っていうのは、実写っていうよりは、もうアニメなんだよ。アニメっていうのは 「こういうふうに見せたい」って考えたら、そういうことができちゃう。
現実的に言えば、そんな真っ黒な逆光になるはずがないし、そんな逆光のなかで人間の眼だけが見えるはずがない。でも、そういうウソが平気でつけちゃう。
いわゆる、“美しさを作る”ことができるんだよね。
宮崎駿が『風立ちぬ』を作った時に「昔の日本は美しかった」って言ってるいるんだけど。
彼が言う「美しい日本」というのは、田園風景とかそういうもののなかで“宮崎駿の記憶のなかにだけある風景”を指してるんだよね。それも写真とかじゃダメ。頭のなかにある風景というのをやらなきゃいけないんだ。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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