去る11月14日は第15回MIT-VFJビジネスプランコンテスト&クリニック(BPCC15)の最終審査発表会でした。

 今回私は、

 Nemoシェアリング 〜次世代モビリティとバスによる、街の足としての新しいカタチ〜

というテーマで発表された奥村 康平さんのメンターとして参加しました。

 奥村さんは、北九州工業高等専門学校 専攻科の学生で、ひょっとすると bpcc 歴代最年少ではないかと思いますが、見事審査員特別賞を獲得しました! 今回他のプランはすでにビジネスを立ち上げているものが多く、まだ企画段階のこのプランでは受賞は難しいかと思っていましたが、まだ学生という若さで、深刻な社会問題を解決する可能性のあるしっかりとしたビジネスプランを作ったということで、特別賞となりました。就職率100%と言われる高専、ビジネスプランコンテストに出てもすごいんです!

 次世代モビリティは必ずくる

 今回のプランの中心となる次世代モビリティNemo(ニーモ)。前輪二輪、後輪一輪という変わった三輪車です。審査員の一人から、「かっこいいね、売れるかも」とコメントをもらえた近未来的なデザインです。

 そして、この Nemo、電動自転車のように、漕いでるとそれをアシストしてくれたり、高齢者の使うシニアカーのように時速6kmまではフルアシストつまり漕がずに走ってくれます。

 実際乗せていただきましたが、いやあすごく快適です。

 三輪なので低速でもふらふらしないので、たとえば歩いている人の横を楽に走れます。さらにさらに、フルアシストですから、スタートする時は両足ついたまま、手元のスイッチを押せば走り始めます。

 自転車がふらふらしてしまって苦労している中高年はたくさんいますが、そういう人たちにとって、扱いやすい乗り物です。実際5年以上自転車に乗っていない人でも簡単に乗れたそうです。

 なぜ今までなかったか。それはモータや電池が非力だったからです。このNemo、重さは30kgしないそうですし、今後改良を続ければ20kgくらいにはなりそうです。それなら、大人が楽に持ち上げられて、しかも自転車より小さいので、バンの後ろに乗っけてお出かけなんてことも難しくありません。

 人間が簡単に取り回しできるという点で、バイクや最近のシニアカー(100kgくらいあるそうです)とは、手軽さがまるで違うのです。

 セグウェイに始まり次世代モビリティが次々と提案され、今の所まだ爆発的に普及したものはありませんが、だからといって結局なにも普及しないということはありえません。電池とモータが爆発的に進化しているからです。

 そして、そういうものが発展すれば、今地方が抱える交通弱者の問題も解決できる、というのが今回のビジネスプランなのです。

 シェアリングサービスで街を走り回れる

 さて、今回のビジネスプランは、このNemoをシェアしようというものです。地方のコミュニティーバスの主要バス停に配置します。地方のコミュニティーバスは、例えば1時間に1本程度、行く場所が1箇所に決まっていれば、あらかじめ何時のバスに乗って、何時のバスで帰ると計画すればいいですが、どうせ行くなら、病院にも郵便局にも買い物にも行きたいものです。

 しかし、昔のように商店街に何もかもある時代ではありません。それらの施設はちょっとずつ離れています。自転車ならなんてことはない距離ですが、歩くとなると面倒な距離です。車でちょこちょこというのも、事故が怖くて面倒でたまりません。

 そこで、Nemoです。街まではコミュニティーバスで行く。降りたらそこにある Nemo を借りる。それを乗り回して街を楽しむ。終わったら、好きなバス停に乗り捨ててコミュニティーバスで帰る。そんなシェアリングを提供するのです。

 自転車では運動神経のあるフラフラしない人しか使えません。荷物もあるでしょうからますますです。

 でも、Nemo のような次世代モビリティを使えば、車や自転車を乗り回せない人でも、街を楽しむことができるようになるのです。

 このサービスの実現には ICT も欠かせません。NemoにはそれぞれGPSやコンピュータが搭載されています。この事業が想定されている福岡県糸島市では、すでに ICT カードが普及していて、コミュニティバスに乗るのに使われています。Nemo を借りるには、NemoにICTカードをかざすだけでいいですし、その位置はGPSで管理できるので、NemoステーションのNemoの数が片寄れば、トラックなどで移動することも可能です。