先日、

 日本のGDPが増えなかった真の理由がわたしたちを豊かにする(その1)  

の5回シリーズで、日本の賃金の上がらない理由として、グローバル企業の製品が海外と価格競争をしているためということをあげました。

 そしたら、こんな記事を見かけました。

 コラム:賃金上昇なき失業率低下、裏にある日米共通の構図  
低賃金国で生産された相対的に付加価値の低い製品の流入によって、いわゆる単純労働に関する需要が海外に流出し、労働需要の超過による賃金押し上げの局面になかなか突入しないことだ。
 日米ともに失業率が下がり、賃金が上がる局面になのに実際はなかなかあがっていないということで、上記のような理由をあげています。グローバル企業は国内の賃金を上げるくらいなら、海外で生産してしまうわけです。

 それにしてもアメリカでも同じような問題が出ているのですね。なんかちょっと意外でした。

 そしてこのような状態について、学会が追いついていないと指摘しています。

<求められる新しい学説>

ただ、このビジネスの最先端の現象を経済学会はフォローし切れていない。構造的失業率まで失業率が低下すれば、賃金の上昇は顕著になるはず、という理論通りの現象が起きない理由を説明した新学説はまだ登場していないようだ。

 日本の政府も賃金をあげるべく、まず物価をあげようと誘導しましたが、上がっても賃金は上がりませんでした。それにつられて物価も結局あがっていません。まあ、それを政府の失敗と責めることもできますが、そもそも経済学会でもそのような状況を説明できていないというのであれば、まあ政府がうまくできなくても仕方ないといえば仕方ないのかもしれません。

 この記事の中では、日本は賃金が上がり始めるのは、失業率2%台ではないかと書かれています。

 なぜそんな予想をするのでしょう。上がり始めたら、私たちの生活は良くなるけど、それまでは大変だよ我慢しようねというメッセージなのでしょうか。2%台になるまでは、耐えようねと。

 もうそういう話はうんざりしませんか?

 このまま長い間3%台をふらふらする気がしませんか? 一体いつ2%台になるのでしょう。

 構造的失業率(完全雇用の失業率)と言われている3.5%を切ったにもかかわらず、教科書通りに賃金が上がらない、だから新しい学説が必要だと書かれています。
 
 であれば、構造的失業率が2%台に下がったかもしれないという可能性だけでなく、もう一つの可能性、「構造的失業率を達成しても賃金は上がらない」という可能性も議論するべきではないでしょうか。