「考える楽しさ」を生徒と共有する先生の「雑談システム」(その1) の続きです。
先生たちの持つ「考える楽しさ」を伝えるには雑談がいいのではないかと考えられました。ただ思いつきで雑談するのではなく、子どもに「考える楽しさ」を戦略的に伝えるツールとして雑談を活用するのです。
では、雑談でどんな戦略をとれば、子供に「考える楽しさ」を伝えられるでしょうか。
今までの議論から考えると以下のようになります。
・雑談は、単に息抜きではなく、子供たちに「考える楽しさ」に気付かせる戦略的なツールと捉える。
・雑談が持つ、教科書に持てない、もっとも強力な武器は、「先生(あるいは親。以下同様)自身の体験」を話せることにある。先生が何に疑問を持ち、それに対してどう考えを巡らせたかを、雑談では語れる。そのことが「考える楽しさ」を導く大きな要素。
そもそも学校の授業内容はなぜそのことを学ぶかの動機がごっそり抜け落ちている。突然1次方程式を解き方を習いましょうと言われても、「は? なんで?」となる。「いや、 5x + 3 = 2 って式があったら、 x がいくつかわかると嬉しいよね?」と言って通じる子は、すでに数学が得意な子。そうでない子は、そこから意味不明。
・なので、雑談では、先生自身が何に疑問を持ったか、どうして疑問に思ったかなどを、分かりやすくする。演出が入ってもいい。
たとえば、数学の先生が数列あたりをやっているときに、「あんまり人気があるのでパズドラやってみた」と切り出す。「そしたら、モンスターのレベルを上げるのに必要な経験値はレベルが上がるほど増えていくが、最後はたとえば総経験値数がぴったり400万でレベル99になっている。経験値の増え方には、規則性がありそうだし、だとしたら最後端数あるのかなとか気になったから調べてみたんだよ」と続ける。先生が何を疑問に思ったかははっきりしている。
子供が新しいおもちゃを見たとき、遊ぶよりもむしろ「中どうなってんの?」と分解したくなる気持ちと同じ(大人にもそう思う人は大勢いるがw)。
生徒たちは心でいろんな反応をする。(たしかに気になる)と思う子もいれば、(なんでそんなことが気になるんだ??)と思う子もいる。それでも、数学の先生とはそんなことが気になるのかということを肌で感じることができる。
・そして、その疑問に対して、何を考えたか話していく。
パズドラ経験値の話であれば、実際に調べるには数列の知識がいろいろ必要になる。どんな風に調べたか、どのような結果が出たのか話せば、数列が、彼らにとっては生活の一部であるゲームでどう使われているのかを知ることができる。数列が教科書の上だけの切り離された世界のものではなくなる。
このとき、最初の動機は「端数あるの?」だったが、調べているうちに他の面白い疑問を発見し、さらに調べるかもしれない。そうやって「考える楽しさ」を生き生きと語ることができる。
実は、必要な経験値のテーブルは検索してくればすぐ出てくるし、その背景にある数式もすぐ出てくるはず。でもきっとこの先生はそれはあることは知っていても、あえて自分で計算するかもしれない。
なぜなら、自分で調べていたら、他のネタを見つけるかもしれないから。そんな楽しいことを検索で済ませてしまうなんてもったいなすぎるから!
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