さっきツイッターで知った「引きこもりQ&A」を読んだら、確信しました。博士課程修了者の行方不明者が多い本当の理由を。
博士の定員を増やしたら、博士を取ったはいいけどその先の進路がないという、いわゆる「ポスドク問題」。
博士(はくし)が100にんいるむら
という創作童話でも語られるように、せっかく最高学位をとってもその先はなかなかシビアです。100人中8人が死亡あるいは行方不明になるそうです。日本全体の年間行方不明者率のおおよそ10倍です。
(世界がもし100人の博士だったらでも読めます。読みやすいほうでどうぞ)
ところが、この高い行方不明率は、ポスドク問題が出る前からずっとなんです!
行方不明の博士
というブログによれば、率だけでいうと1990年から1999年までは、今よりも高く10%を超えていたそうです。絶対数はもちろん今の方が増えてますが。昔も今も博士を取った人の1/10くらいは行方不明ェ…。
私も90年代に博士を取っていて、行方不明が多くなる傾向は感覚的には分かります。自分も一歩間違えばみたいな。でも理由は漠然としていました。
そうしたら、さっき知ったある引きこもりQ&Aにはっきり書いてあったのです。理由が。
不登校・引きこもり相談問答集7
不登校・引きこもりに関して、実践的にあまり言葉選ばずにずばずば答えています。
というように、30歳というラインを何度も強調しています。いろんな形で質問が繰り返されますが、できれば25歳までに、遅くても30歳までに自立しないとどうしようもなくなると断言しています。今までの蓄積からはっきりしていることなのでしょう。言い切られて納得しました。Q16:「詰む」の基準ってありますか?A16:大体、何もしないまま30歳を過ぎると、まともな仕事の受け入れ先が消滅するので、9割方詰みます。20代の間にどれだけ行動したかで、大体が決まります。
博士課程はだいたい28歳以降に終わります。つまり30歳くらいです。仮にその直後のポストでつまづくと、まさにこの「詰んだ」状態になるのです。そこでつまづいたら「まともな仕事の受け入れ先が消滅」します。それはいくら高い学問を修めたところで変わらないのです。だから行方不明率が通常の10倍に跳ね上がるのではないでしょうか。
関係者みんな薄々は知ってることではありますが、まずこの事実を共有した方が良さそうです。博士課程はやりがいのある取り組みではありますが、取る頃には30歳近くなっているので、極めて「詰む」確率が高い道でもあると。
それは博士課程のカリキュラムを工夫するとか、コミュニケーション能力を高めるとか、企業の受け入れを促進するとか、そんなテクニックでは改善できないのです。30歳近くまで自立できないという年齢の問題なのです。
個人的にも25歳からの博士課程後期は非常に辛かったです。友達や当時の彼女は働いてて仕事が面白くなるころで、みんな輝いて見えます。一方自分の研究はほとんど進まない。どんどん離されていくような感覚でした。最後の方はまさにゾンビ状態で、文字通りふらふら歩いてたと思います。25歳までに自立しないというのはそれだけで強い精神的負担を強いられるイバラの道です。
ポスドク問題にはいろんな問題が含まれていますが、高い行方不明率については、博士課程後期つまり25歳以降は学費を取るのでなく雇用する制度をもっと拡充して、むしろ主流にしていくような取り組みが本質ではないでしょうか。博士課程に進む人は優秀な才能を持った人のはずです。そういう人材を社会人扱いしないのはそもそも失礼な話です。
誰もが25歳までに自立できる仕組み。持続的な人間社会を目指すには、大学に限らずあらゆる分野でくみ上げていく必要がありそうです。
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【「ニートの歩き方」に見る社会の最新技術2】若者自身による自殺防止自衛策
ミライ: はい。ここからは博士雇用についての六葉未来点(?)です。フツクロウさん、このーポスドクの話ーが、六つの価値観とどう関係するんですか?
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