子供たちへのメッセージ15/4/15編(その1)  

 今の子供達が大人になる頃には、みんなそれぞれの実力に合わせて、「答えがあるかどうかわからない問題を解く」ことが仕事になります。「答えのある問題」はみんな人工知能が対応するからです。

 学校で勉強をするとき、嫌いな科目を中心に最低限の努力で努力しようとするものですが、それが主要科目の多くに広がってはいけません。今学校で「答えがきちんとある問題」を学んでいるのは、「答えがあるかどうかわからない問題を解く」ための基礎訓練に過ぎないのですから。

 しかし、今みなさんの周りにはたくさんの罠があり、「最低限努力」で世を渡る癖がついてしまう危険がいっぱいです。

 罠1:ゲーム

 ゲームは面白いです。46の私だって大好きです。しかし、スマホとかのゲームは閉じた世界で、やれば成果が出るように作ってあります。努力が必ず報われることが大事な要素です。

 さらに、ゲームを忙しい中たくさんこなすため、みなさんは「最低限努力」で最大の成果が得られることに心血を注いでいないでしょうか。攻略サイトを緻密に読んだりしませんか? パズドラはまずリセマラに全力を注ぎませんでしたか? 

 ゲームはそういうところに力を注ぐと報酬があります。

 しかし、「答えがあるかどうかわからない問題」に対し、「最低限努力」は無力です。そんなアプローチで解くのは不可能です。ついでに努力が報われる保証も全くありません。失敗したという結果も成果の一部ではありますが、めいいっぱい努力したのに大失敗なんてことは成功することよりはるかに多い世界です。

 学校の勉強をゲーミフィケーションで楽しくする手法が発達してきていますから、学校の勉強の点数そのものはあがっていくと思いますが、その一方で、学校の勉強の先の能力が求められる時代に変わってきてしまっているという現実もあるのです。

 罠2:親

 親は子供を見ていると、その手際の悪さに、つい、「余計なことせずにさっさとしなさい」と口を挟みます。宿題をしているときに、消しゴムほじっていたりすると。

 でも、これは、一方で「最低限努力」を大いに助長します。漢字の書き取りの宿題をしているとします。消しゴムほじってたら余計なことですから、「余計なことせず」とたしなめられます。でもそれは同時に、「余計に」漢字を覚えることも阻害します。子供からすればどちらも「余計」です。終わったけど、隣のページの漢字も気になった時、どうしましょう。いつも「余計なことするな」と言われている子は、思わず躊躇するかもしれません。「余計なこと」ですから。

 塾の先生に話を聞いていると、「その単語習ってない」とか「その漢字習ってない」と言われることがよくあるそうです。中には習ってないことを懸命に示そうと教科書を調べる子もいて、先生からすればその努力があれば、それくらい覚えられちゃうよ?と苦笑いするしかありません。

 しかし、そのルーツには親の「余計なことするな」が横たわっているかもしれないのです。

 能面作戦

 この「余計なことをしない」という戦略は、社会でとても有効です。その一つの現れが「無反応」です。塾や学校で、先生が授業をしている間、生徒全員が全員能面になってまったく反応しないということがよくあるそうです。