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AI が人間と共存する世界を分かりやすく想像してみる(その3)

2014/12/19 00:30 投稿

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 AI が人間と共存する世界を分かりやすく想像してみる(その2)のつづきです。

 (その2)では、 AI が普通に人間のように一人の個体として経済活動する様子を描きました。付加価値のあるものを創造し、対価を得て、消費する、そのサイクルができれば、経済活動から見れば、人間一人と同じ効果が生まれます。(今の所)経済成長を望む社会システムがこれを放っておくはずがありません。きっかけさえあれば、どんどん広まっていくことでしょう。

 しかし、人間の経済活動に参加してくるのは AI だけではありません。私たちの身近にいて、家族として暮らしているペットたちだって参加してくるのです。


聞き耳ずきんAI

 AIの発展は、人類にもう一つの大きな転機をもたらします。それは、イヌやネコなどのペットと意思疎通ができるようになるということです。AIはイヌやネコの仕草や鳴き声から考えていることを把握できるようになりました。画面表示や鳴き真似などで、話しかけることもできるようになり、会話できるようになったのです。

 会話できるようになってわかったことは、イヌやネコは幼稚園児くらいの知能を持つということ、感情は極めて豊かであること、その瞬間を大切に生きているということ、そして死を恐れないということです。自分の親兄弟が死んだり飼い主が死ねばとても悲しみますが、だからといって自分の死を恐れるわけではないのです。その死生観は仏教などの宗教の考え方に通ずることもありました。

 またAIも死を恐れるわけではありません。

 これらの人間以外から、人間は多くを学ぶことになります。なぜ人間は死を恐れるのか、またそれゆえに、AIを作り上げるまで知能・技術を発展させる力を持ったこと、それらは、逆に動物やAIから畏怖の念を受けることになるのです。

 AIの発展によって、人間以外の動物の意識を理解できるようになり、人間がもっとも不得意とする人間とはなにかという問題について大きく前進するのです。



経済活動に参加する動物

 さて、経済活動にも大きな影響が引き起こします。AIが動物を理解することになり、爆発的に広がったのは、イヌやネコの「youtuber」でした。イヌやネコ達は仲間の動画を見るのが大好きで、そこから逆にAIに頼んで自分たちを映してアップすることを覚え始めます。録画だけでなく生放送も始め、さながら公開テレビ電話のような感じで互いにコミュニケーションするようになったのです。

 人間はそのコミュニケーションの内容をAIによる翻訳で見ることができ、それが人間に大ヒットしました。当然当のペットたちのアカウントには広告収入が入るようになりました。もちろんそれは飼い主のものになるわけですが、そこで一部の飼い主達は、ペットにそのお金を使わせてみることにしたのです。

 その使い道でもっとも効果的だったのはyoutube上の広告です。ペットたちは広告を見て、それをほしいと思います。高い知能があるわけではありませんから、AIがいわば親代わりになって、許容される範囲でペットたちのリクエストに答えて注文をします。やがてそれが届きペットたちは大喜びです。その手に入れたものがいい悪いと放送し、他のペットたちもそれに反応するという、いわゆる口コミも非常に大きな影響を持ちました。

 広告はすぐに発展しました。イヌやネコが好む広告というのは、人間から見ると視点が違って、横で見ている人間は目を白黒させるばかりです。

 もう一つ人間をびっくりさせたのは、どのペットが始めたのか、ごくわずかなのですが視聴料を取るようにしたのです。放送を見るのにお金がいることに対し、ペットたちは躊躇せず払うのです。そこでお金を使い切れば広告に出る美味しそうなペットフードは買えませんが、それでも放送が見たいペットたちは視聴を選ぶのです。

もちろん見ているだけではお金がなくなってしまいますので、ペットたちは積極的に自分も放送します。人間ほど人気動画に再生が集中することがないので、多くの放送がちょこちょこ視聴される好循環もあり、参加ペットはどんどん増えました。youtubeはそのやりとりから直接経費を取れるため、安定した運営ができます。

 かつて人間が物質社会で作ったエコシステムをペットたちは情報の世界で実現したのです。その安定ぶりに人間たちは驚きます。人間は情報はタダ的概念を持ってしまっていましたが、「情報にお互いお金を払ったほうがよい」と悟り、人間も徐々にそちらに移行することになるのです。



成長しなくても活発な社会への糸口

 人間社会の経済活動に AI や ペットたちが参加したことで、人間は大きな大きな福音を得ることになります。それは、成長しなくても豊かに経済活動を持続的に回す方法が見えてきたことです。彼らが日々どう経済活動するかを観察することで、別にGDPが成長しなくても回せるということがわかるのです。

 足元は、AI とペットの経済活動が発展することで経済成長が確保され、従来のシステムで人間社会は大いに発展しますが、その一方でそれが落ち着いても、ずっとやっていけるシステムを発見するのです。

 こうして人間社会は持続的な経済活動に向けて、大きく前進を始めました。

 一方、AI 達は、人間に憧れるうちに、人間とのコラボで一大プロジェクトを始めることになるのです。

 (その4)に続く


解説: 人と動物と AI

 人間の経済活動に参加できるのは発達した AI だけではありません。知能を持つ動物たちも、 AI の適切な支援によって参加することができます。「ほしい」「あげる」という動機さえあれば、その間の潤滑油として常にお金が利用できるのです。

 

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