衆議院選挙終わりました。ということで、いろいろ振り返ってみようと思います。

当たるニコ動議席予想、外したヤフー

 まずは前回参議院選で当確的中率97.52%というほとんど満点を出したニコニコ動画の議席予想の結果を見てみようと思います。ニコニコ動画はアンケートをとって予想しています。

 前回参院選はこちら。

 *六*参議院選挙当確的中率97.52%のニコ動アンケートが、世論調査の新時代を拓く  

 (2014/12/18 追記)

 以下の比較は次の記事を元に行いました。
 衆院選 ニコニコ独自の予測獲得議席数を発表‐ニコニコインフォ 
 ビッグデータが導き出した第47回衆院選の議席数予測 Yahoo! JAPANビッグデータレポート  

 ニコニコ動画の予想は12月3日〜5日に行われたアンケートを元に12月9日に発表されたもの、ヤフーは 12月12日に発表されたものです。

 で、さきほど気付いたのですが、12月15日にニコニコ動画による答え合わせが発表されていました。

【全475議席中、452議席の当確予測が的中】 ニコニコアンケートもとに衆院選の「当確予測」を発表

 これを見ると、自民 224 議席から 237 議席など予想を結果として悪い方に修正してたみたいです。それでもヤフーよりは良いです。

 いつ修正して、修正後の予想をどこで発表していたのかよく分からないので、この記事はこのままにしておきます。アンケートが12月3日〜5日とかなり早期だったので、直前にもっかいやらないのかな?と気にしてましたが気付きませんでした。改めてアンケートして修正したのか、他社予想とのあまりの乖離にびびって、分析し直して修正してしまったのか真相が気になる所です。

 ヤフー自身による答え合わせの記事はまだ見つけていません。

 ニコ動、ヤフー、共にこれからも頑張ってください。期待してます。
 (2014/12/18 追記ここまで)

 (2015/1/30 追記)
 2014/12/18 追記のニコニコ動画予想の変更がいつ行われたかについて、感想の欄を通して情報をいただきました。情報提供くださった方、誠に有難うございました。また、気づくのが遅くなり申し訳ございません……。

いつ=選挙終了時
どこで=ニコニコの選挙特番生放送にて発表。投票終了時刻(20:00)に公開。
根拠となるデーター=ニコニコ入り口調査(選挙前に行われたアンケート結果)・ニコニコ出口調査(選挙当日に行われたアンケート結果)を加味して、ニコニコがデータの偏りなどを加味し手を加えた、というものになっております。
アーカイブ(タイムシフトの無期限版)視聴が出来ますので、以下にURLと時刻を明記いたします。

ビートたけし生出演!【衆院選2014】開票特番
http://live.nicovideo.jp/watch/lv202357019
上記番組の予想が公開された時刻(15:20)のURL
http://live.nicovideo.jp/watch/lv202357019#15:20
 (2015/1/30 追記ここまで)


 まずは、全体。ついでにライバルのヤフーの予想とも比較します(自民党の追加公認は除外します)。
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 主要な自民、公明、民主はそれぞれ-1、0、-1 と驚異的な正答率。ビッグデータを解析して予測するヤフーは自民、公明、民主それぞれ、26、-7、-24とまったく冴えない感じです。なおヤフーは投票率が50%前後と60%前後で予想していて、60%前後のはもうちょっとましですが、投票率は53%程度ですので50%前後を採用しました。

 他の新聞社の予想はちらっと見た程度ですが、どれも自民党300議席以上だったと思います。ニコニコ動画は自民が議席を減らすことを予測したただ一つの予測でした。おいおい、ニコ動大丈夫かとかなりはらはらしましたが、蓋を開ければ今回も見事にどこよりも正確な予想を出しました。ニコ動のアンケート方式が極めて優れていることがさらに証明された形になりました。

 ニコ動恐ろしい子。

 以下、ずらずらグラフと表を載せておきます。まず全体の表。
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 次、比例代表のグラフと表。実はこの段階ではニコ動の自民は-3なのですが、小選挙区と合わせて-1に戻しています。とはいえ、ヤフーに比べていい成績です。
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 最後に小選挙区。
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 ニコ動はかなり良く予測しているのに対して、ヤフーは外していると言っていいでしょう。比例と小選挙区で打ち消し合っていて、全体は少しマシになっていますが、分解してみるとお世辞にも予測できているとは言えない結果になってしまっています。

 新聞社の調査は長年当たらないので、見なくなって久しいのですが、せっかく出てきている新しい予測のうち、ヤフーがこれほど外してしまったのはかなりショックです。内容を良く知っているわけではないですが、ビッグデータを活用していると言っても、新聞社の間違った選挙予測が出た後にビッグデータを調査しても、その間違った予測で誘導された人々の反応を調べることになり正しい予測ができないのかもしれません。

 ニコ動はますます磨き、ヤフーもぜひ競える所まで改良して欲しいものです。

大健闘「支持政党なし」

 先日取り上げた変わった名前の政党「支持政党なし」。なんと得票率4.2%。倍以上取れれば議席が見えてくる数字です。社民や次世代を大きく上回りました。

 今回は奇抜な名前ばかり先行して、国会での投票を毎回市民に問うという肝心なところが多分周知されてないと思いますし、これで万が一当選しても「騙しただけ」という非難が渦巻いたでしょう。これで全国に名前が知れ渡り次回どうなるのかなかなか興味深いです。

自民党は分裂するのか

 今回印象的だったのはなんといっても小渕優子氏。政治資金問題で経産相を辞任したにも関わらず、70%以上の得票率で当選しました。

 この話は、都会と地方の意識の差を見事に浮き彫りにしていると思います。有り体にいって地方では古い議員さんはこれに近いことはやってて、それは利益誘導とかだいそれたものではなくて、お付き合いの範囲でという意味です。ある意味、それをどう処理するかという問題だったのが、小渕優子さんのように新しい世代になって、よりきっちりしていかなくてはいけないという世代交代の一環なんだと思います。

 とはいえ、都会的な理想論に基づいたどこからみても非の打ち所のないような会計を目指すのかというと、そうではありません。恐らくどうやれば地方のお付き合いに合わせられるかという、ホワイトゾーンぎりぎりを探っていくのだと思っています。都会のような不寛容なやり方はそれはそれで受け入れられるものではありません。テレビでも「うちの娘を絶対守る!」という小渕優子さんを娘として支持する女性がわんさか紹介されてました。マスコミが叩けば叩くほど、支持者がより結束したわけです。

 逆に言えば、小渕優子さんは、今後あの熱い支持者達を軽んじることはありません。

 このようにもともと自民党には地方の支持が厚い議員が多く、そういった議員さんは長年地元でいろんなところに顔を出して様々な活動し成果をあげていて、しかもみんなそれを知っているというきずながあります。

 ただ、そういった自民党の議員さんが、地元で厚い支持を持ちながら、しかし、国会で必ずしも地元の望む投票行動をしません。自民党TPP絶対反対のポスターと安倍さんが「日本を取り戻す!」と言ってるポスターが並んでる写真を皮肉としてよく見かけますが、なのに結局TPP推進の行動を取っています。

 そういった軋轢が日本中に出始めていて、沖縄の小選挙区では全て負けたし、石破茂氏は「地元創世」担当ということで、かなり地元志向になってきてるし、福山市の隣では元自民党、反TPPの亀井静香氏が無所属でもやっぱり当選してこれはなにか仕掛けざるをえない状況です。

 それは、最近流行りのキーワード、トリクルダウンいわゆる「おこぼれ経済」の失敗に集約できます。「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちる」という理論です。アメリカでもトリクルダウンが失敗しているという記事を今日見かけました。

 好調の米 なぜ大統領は不人気  

 様々な経済指標は好調なのに国民はまったくそれを実感していないという内容です。日本と一緒です。

 そう、昔は、自民党が中央優遇のトリクルダウン政策を取っても、それで地方も好景気を実感することができたので、地方の支持を受け続けることができました。

 しかし、今はまったくその実感がありません。トリクルダウンへの失望感は大きく、今日、「安倍首相、財界に賃上げ要請へ」といった記事がありましたが、首相の圧力で大企業の賃金無理矢理あげたら、中小のはますます上がりにくそうですねと反射的に思えるようになってきてしまいました。(追記:12/16に行われた実際の要請には「下請け企業の取引価格の上昇を促すこと」も盛り込まれたそうです。中小企業にもちゃんと配慮されていました。良かったです)
 TPPもその典型で、参加すれば大企業が儲かりそれでトリクルダウンでという論理なのでしょうが、そこで国民に恩恵が来ると信じるのは困難です。

 地方の支持が厚い議員ほど、その乖離に気付いてないわけがありません。今相当苦しんでいることでしょう。今回小選挙区は16議席減らしています。このままではまずいと危機感を持つ議員は多いことでしょう。

 ですから、誰かが、トリクルダウン YES/NO の踏み絵をぶちあげた瞬間に自民党は大きく揺さぶられます。おまえは経済界からの政治資金か、地元の票かどちらを重く見るのかと。