ええと、こういう記事を見ました。
なぜ、日本の技術者たちは「iPhone」を作れないのか?――技術者発想を断ち切るマーケティング
なぜ、日本の技術者たちは「iPhone」を作れないのか?ということで、「技術者発想」を断ち切り、ベネフィットに立脚した商品開発をするべきと説いています。読むと、すごく納得がいく気がするのですが、途中で出てくる例がブーメランになっています。
それを紹介した上で、それが単なる揚げ足取りではなく、商品開発についてこの記事よりさらに踏み込んだ視点を考えてみようと思います。
問題の例は、
「缶切りが不便」という声に「電動缶切り」を提案してないか?というものです。
と日本で電動缶切りが普及しなかった事例を紹介しています。電動缶詰切りの話もしておきましょう。そもそも電動缶詰は、「缶切りで缶詰を切るのは、力がいるし危ない」という発想から生まれました。そこで技術者は、「手動式が大変ならば電動式にしよう」と技術に注目して電動缶詰切りの開発に夢中になってしまう。しかし生活者の根本的な思いは、缶詰は中身を安全に取り出せればよいのであって、プルトップ式の缶が提供された後、すべての缶詰はそちらに移行してしまいました。
が、賞賛しているiPhoneを生み出したアメリカではその電動缶切りが普及しています。私もアメリカに住んでいたときは、愛用していました。ただし住んでたのは2003年までなので、もしかしたら今は電動缶切りはマイナーでプルトップ缶が勢力を拡大しているかもしれません。ただし、今ググったら、「2014年のベスト缶切り」という記事が出てきたので、相変わらず普通に売ってると思います。
2014 Best Can Opener Reviews
ちなみに後で紹介しますけど、電動ではなく手動のものも出てきます。
で、たとえばこんなのがベストとして紹介されています。 West Bend Can Opener 77203。
これ、どうやって使うのか見ないと想像が難しいと思います。上と物が違いますけど、こんな風に使います。
The Kenwood Electric Tin Opener
上の方に缶をあてがって、レバーをがちっと下げると持ってなくても、一周ぐるっと切り取ってくれます。
一度使えばわかりますが、むっちゃ便利です。プルトップ缶に比べて、次のような利点があります。
1) 力が全くいらない
電動ですから、全く力がいりません。プルトップ缶がいくら簡単に開けられるとはいえ、それなりに力がいります。力の弱い子ども、高齢者でも開けられます。日本でも高齢者をきっかけにこれから広がっていく可能性があると思っています。
2) ふたのへりが安全、しかもふたになる
全ての製品がそうではなかったと思いますが、電動缶切りは、ふたの部分の横の方を切ります。 なので、エッジが立たずに寝ているので、あまり危なくありません。
しかも、これふたたびふたになります。トマト缶残ったときとかそのままふたにして冷蔵庫です。
一方プルトップ缶のふたはひん曲がるしエッジ立ってるし危なっかしいです。
ということで、電動缶切り便利です。一旦使い始めれば、特にプルトップ缶の必要性はなくなります。ですから、これも立派なソリューションです。
ではなぜ日本では普及せず、アメリカでは普及したのか。
一番根本的な問題はキッチンの広さです。アメリカのキッチンは日本より広いので、いろんな道具が置けます。アメリカではフードプロセッサとか、スタンドミキサーとかもポピュラーで、私たちも日本に持って帰って来て使ってます。ちなみにそれほどポピュラーではありませんが、スライサーなんかも簡単に手に入って、なのでベーコン薫製した後、薄切りベーコンが簡単にできます。いわゆるパスタマシーンもあります。
うちはこういうのが好きなので場所を取られても持ち続けますが、日本のキッチンのサイズでこれらの場所を確保するのは本当に大変です。アメリカでは広い分こういう道具を気軽に買うことができます。
そもそも手動の缶切りも、日本の普通の缶切りとは全然違います。さきほどのベスト缶切りの手動部門で紹介されていたのはこちら。
歯車のとこに缶の角のとこぐっと挟んで、ハンドル回すと缶が切れていきます。動画もあります。ちょっとタイプ違うけど、ふちが鋭くならないタイプだというのがよく分かる動画です。
ZYLISS Can opener
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