最近ワークライフバランスの第一人者小室淑恵さんの2012年の講演の書き起こしを拝見しました。
小室淑恵「山積する社会問題をタダで解決する、たったひとつの方法」 | 日刊読むラジオ
競争力をあげるためコストを削減したければ、人をリストラするのでなく、残業を削り、その分若者を正規雇用したり、短時間しか働けない女性を積極的に雇用することで、みんな集中力高くなり、老若男女が多様なアイデアでお互いに切磋琢磨する一方、みな柔軟な働き方ができることで長く働き続けることができます。そのことで業績がアップし、サステナブルな企業になるというのです。
先日こんな記事が話題になりました。
<障害児の親を泣かせるCM>なぜソフトバンクが障害者向けに開発したスマホCMに親は涙するのか ‐ 横田雄紀
知的障害のある人が自律して外出するのを見守るアプリです。これ子育てしてる親が見たらみんなピンと来ると思います。うちの子供にちょうど持たせたい時が来るだろうということを。
最近メンタリングした事業に、同じようにある障害者のための機器を開発するというのがあるのですが、明らかに多くの高齢者にも役に立つ機器でした。この機器は現在の競合がとても高価なので、展開しやすい価格が設定できるのがまず障害者向けから始めるメリットです。そこでしっかり土台を築き、一気に大量生産で価格をさげて高齢者向けに展開したいとのことでした。
こんな風に、健常ではない人向け製品が、その後健常者にも展開できるビジネスチャンスはたくさんあります。こういったプロジェクトは、もちろん小室流会社の方が手がけやすいでしょう。
一方、コストカットのためにリストラし、残業を増やす逆の方法では、業績が落ちていくのだそうです。
しかし、それならば、前者の小室流の会社がどんどん伸び、後者の逆小室流の会社がどんどん減るので、社会はどんどん小室流の会社ばかりになっていいようなものですが、なかなかそんな風にはなりません。
それは東京に問題があるからです。東京は混み過ぎていて不寛容が横行しています。先日、全盲の女性が蹴られるという事件がありましたが、加害者に同調する声もたくさんあったようです。
「全盲なら乗るなよ」「相当イラつくのは確か」川越線での全盲女子負傷 加害者への同調がツイッターで続出 - NAVER まとめ
ラッシュアワーを避けるべきという意見はそれなりにもっともらしく聞こえますが、道路は皆のものなのに、歩行者や自転車邪魔っていう自動車と同じです。
歩行者から見れば自転車・自動車が邪魔。
全盲の人から見れば、他の健常者が邪魔。
互いに邪魔だと言い合っていても仕方ありません。
互いに譲り合って使うしかないのです。
私が幼い40年ほど前に繰り返し聞いていた「かわぐつ国と自動車国」とかいう黒柳徹子が女王のレコードそのまんまです。
なのに加害者に同調する人が出てしまうのは、それだけ都会の電車の混雑状況は異常だからです。本来心優しい人でも不寛容にならざるを得ない状況なのです。
都会の人でもそのことに耐えられない人は、通う時間をずらしたり、職場の近所に住み自転車通学をするなど工夫していますが、そこにいる大部分の人は、都会の不寛容を受け入れてしまった人です。
喫煙者は完全に締め出しました。そしてベビーカーも、高齢者も、全盲者も迷惑とされる環境です。そこでは、老若男女が互いの事情を受け入れつつ切磋琢磨するような会社はなかなか生まれません。
ですから、その動きは地方から顕在化します。普通は都会を手本としていますから都会と同じような働き方になりがちですが、小室流働き方の方が業績が上がりますからじわじわ増えることでしょう。その動きが分かれば、今は都会にいる人でも地方に移住する人が増えます。
一方東京はまだまだ逆小室流が幅を利かせます。都会から不寛容に耐えたくない人がいなくなっても、その分、不寛容に耐えられる人が集まるからです。
したがって、地方の街がまるごと小室流が普通だよねみたいになるまで、東京は気付くことができません。大阪も東京に似た動きになるでしょう。
ですからまず札幌、仙台、名古屋、福岡あたりが、小室流で業績もいけてる企業がいくつもあるような都市として認知されそうです。
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