いつもとちょっと違う水曜、今回は気楽に書き始める記事[S]です。気軽に始めたら、途中で池上さんのコラム明日掲載予定の一報が入ってきたり、大変です。
朝日新聞が炎上しています。
1982年9月2日からの一連の従軍慰安婦問題の「吉田証言」に関する報道を8月5日に撤回したことに始まり、その責任問題の追求が日増しに激しくなっています。
この問題をさらに大きくしているのは、原発事故に関する「吉田調書」問題です。従軍慰安婦問題とまったく同じ展開を現在進行形で起こしてしまったのです。
まだ非公開の「吉田調書」について朝日新聞は5月20日にその内容は「所長命令に違反 原発撤退」というものだったと報じましたが、どうも客観的な描写ではないらしく、8月18日に産経新聞がその報道を明確に否定する記事を報じました。毎日新聞・共同通信もそれに続いています。
8月末には、朝日新聞に批判的な文春・新潮の広告掲載拒否が話題になったかと思いきや、池上彰氏の「慰安婦報道批判」コラムまで掲載拒否したと報じられてました。
そして身の回りでも日増しに顕著になっているのは、facebookでメインの購読層と思われるおじさんたちが次々と「今までン十年朝日新聞を購読してきたが、止めた」と宣言していることです。あまりの怒りに、年数とともに宣言せずにいられないんだなあと心中察します。
そのことを連れに話したら、「年間5万円として40年としたら、200万円、そりゃ怒るよねえ」とつぶやきました。……、いやそんな風に考えるおじさんはほとんどいないと思います……。期せずしてなんか男女の考え方の違いにあらためて気付くことになりましたが、閑話休題。
この状況は既視感があります。2年前に取り上げたマクドナルドです。
【馬】マクドナルドがメニューを撤去しなければならなかったただ一つの理由
当時マクドナルドは業績回復のための取り組みとしてメニューを撤去し効率化を図りました。当然消費者は反対し、やがて復活しますが、この件で消費者がマクドナルドのやり方に大いにとまどい始めることになります。
2年前の記事で、マクドナルドがこんなことをしたのは、縮小を受け入れられず、売上規模を維持しようとしたからと述べました。この縮小傾向の時代の中、規模縮小は避けられません。もしそれを受け入れられれば、マクドナルドのファンに目を向けた取り組みができ、そういったファンに支えられたビジネスを続けていくことができると提案しました。
しかし、マクドナルドはそういった転換ができず、その間に安くてまずいというイメージが蔓延してしまいました。マクドナルドはその後もぱっとしなかったどころか、この夏には中国で期限切れ鶏肉の問題が発生し、今後の売上減少予測が立たないほどの窮地に立たされ、いまだに底が見えていません。
今回の朝日新聞も、一番コアな読者層であるおじさんたちがあからさまな怒りを表明しています。これは、急速にファンが離れるパターンであり、朝日新聞は彼らに届くよほど思い切ったメッセージを打たなければ、この流れを食い止めることはできないでしょう。
しかし、朝日新聞社内は、恐らくすでにパニック状態です。
事実、池上さんの記事掲載拒否という、もっとも最悪な対応をしてしまいました。事態を食い止めるどころか悪化させています。そのパニックぶりが伝わってくる「社内反乱」の記事も出てきました。
朝日「池上連載」掲載対応巡り「社内反乱」 現役記者から「はらわた煮えくりかえる」:J-CASTニュース
今、こんなツイートも流れてきましたし、
池上彰さんコラムの件。ツイートを読んだりエレベーターで偶然居合わせた時に話した感じだと、私の周りにこたびの自社の判断を支持する同僚は一人もいない。それどころか今回、〝現場〟の社員たちは相当怒っている。件のコラムも今後の連載も掲載されることを私も信じることにして、仕事に戻る。
― 今村優莉 (@JCyouli) 2014, 9月 3
さらに、どうやら当初原稿で掲載されるようです。
【速報】池上彰さんのコラム、明日の朝刊で当初の原稿通り掲載へ。
― 今村優莉 (@JCyouli) 2014, 9月 3
大パニック状態です。これ池上さんはすでに打ち切りを申し出ているから来月からはどうなるんでしょうか。まあ大人だから続けるんでしょうか。
いずれにせよ、ひとまずこのパニックから落ち着いて、さらに双頭の「吉田」問題の事態を収束させるのはかなり大変そうです。
しかも、今回は、産経新聞を筆頭に他の新聞社が強烈なネガティブキャンペーンに転じました。元々大手新聞社同士は、そんなにきついけんかはしません。どこも似たような問題は持っていますから、他社を攻撃すれば自分も探られたくない腹を探られるからです。実際、他社の捏造問題を指摘しながら「おまえが言うな」的なツイッターなどを良く見かけます。
しかし、新聞のマーケットは縮小傾向です。いつまでも仲好しではいられず、いずれ壮絶なパイの取り合いをしなければなりません。そんな環境の中、8月5日の慰安婦記事撤回問題の炎上が起こり、それを見て、8月18日、ついに「吉田調書」問題で大手新聞社は仁義なき戦いを始めたのです。
一見、落としどころも見定めずに始めているように見えるので、どこまで問題が発展するのか想像もつきません。問題はテレビ局にも波及するかもしれませんし、日本記者クラブにも飛び火するかもしれません。
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