公立学校の運営を民間に委託しようという案があるそうです。
公設民営学校:容認へ 文科省「特色ある教育」実践 - 毎日新聞
図書館の民間委託などが最近見られますが、それと同じような仕組みを使い、教育の水準や質の向上を図ろうというものです。
これに対して内田樹さんがツイッターで反対をしました(1、2)。ポイントとしては、
・民営化によって単年度の収支や偏差値などをより偏重するのではないか。
・教育が成功したかは、30年経ち「当該共同体が順調に機能していて、人々が幸福そうに暮らしている」という事実でわかることで、教育活動に単年度指標は不要だ。
とのことで、この二点は正しいと思うのですが、二人の息子を持つ身として他の状況もいろいろ考えると、今回の特例で公設民営学校を認めるくらいはむしろ積極的に取り組むべきだと考えました。
一番問題に思っているのは、民営化で問題とされる単年度指標について、すでに現状でも問題になっているのではないかということです。
メディア露出という点では、大学が顕著です。研究費というのは昔から国の予算でしたが、昔はまあいろいろ緩かったので、大学の研究者たちはじっくりと研究ができました。しかし、どんどん細かく成果をチェックされるようになったために、研究者たちは目先の結果を出さなければいけません。その重圧のために捏造なども頻発しています。
発明はどんなにお金を積んでもできないときはできないし、できるときはお金に関係なくできたりします。研究成果もそんなもんで、1000万円の予算をつけたからといって提案書に書かれた成果が必ずできるわけではありません。成果を見極めるにはある程度期間を設けなければなりません。
でも、それは今許されない状況にあります。これは深刻な構造的問題で、そもそも国の予算と大学は相性が悪かったのが今露呈しているのです。今のままなら、将来的には研究機関としては落ちぶれて、たとえば財団の運営する研究所みたいなところが台頭するのかもしれません。
同じことは学校でも言えて、学校は昔に比べ、政治や行政の影響をより受けるようになっています。行政は単年度、政治も選挙ごとに施策が変わってしまいます。従って安定した運営が必要な学校とは相性が悪いと言えます。つまり今まで通り仕組みでも、単年度評価の悪影響は及んでしまいます。
ただし、今急激に社会が変わっているため、教育も変わっていかざるをえません。今試されている教育は海外にはずいぶんあります。
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これらのどれが未来の義務教育に取り入れられていくかはわかりませんが、安定した教育を維持しつつも、このような取り組みをしなければいけないのも事実です。
でそのようなことが可能な仕組みってなんだろうと考えると、たとえばブランドではないでしょうか。たとえば慶応大学というブランド。そのブランドを維持するには、大学は伝統を守りつつも、最新の教育も取り入れていれなければなりません。
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