「ありそうでなかった、まったく新しい”地方ガール”小説です。」

 という帯がついた山内マリコここは退屈迎えに来て 気になったので読んでみました。

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 地方都市に生まれた普通の女性たちの普通の物語。どこにでもありそうな平凡なものがたりたちなのですが、全ての物語がゆるーくつながっていて、しかも全編に仕掛けがしてあるので、のほほんと読んでると途中で、え、え、どうなってんだっけと少し慌てました。

 世界観がすばらしくて、確かに今住んでいる地方都市の雰囲気が良く出ています。そうそう、こんな感じ。

 私は、生まれ育ちは京都で、地方都市と言ったら怒られますが、中心地に住んでいた訳ではなく、「ここは退屈迎えに来て」の世界はそのまま自分の青年自体のそれとばっちり重なります。

 というか、高校ぐらいまでは行動範囲も限られているから、首都圏に住んでいても、中心地でなければ、やっぱりこんな感じなのではないでしょうか。ロイホー(ロイヤルホスト)で時間つぶしてーみたいな。

 ということで、大人の大人になった人はノスタルジックに、ちょうど大人くらいの人は、地方都市つまり平凡な空間という簡略化された舞台で引き立つ自分たちの物語として、みなさん楽しめるのではないでしょうか。

 さて、純粋に物語を楽しみながらも、地方都市はどんな風に退屈に描かれているのかを気にしながら読みました。私には地方都市は全然退屈な所ではないですが、実際に来るまでのイメージは三浦展ファスト風土化する日本 で描かれるような均一化された世界。

 来てみたら、たしかに国道は全国どこにでもあるようなフランチャイズばかりでしたけど、ちゃんと住んだら、小さい個性的な店いろいろあるし。以前

六本木には負けても東京には負けない街なら作れる 
お洒落で勝負だ。地方 vs 都会 

でレポートしましたけど、六本木とか再開発された丸の内なんかには負けても、首都圏の普通の街とは充分張り合っています。

 都会で一人暮らしで働いていると、自宅は寝るだけで、周りの店とかコンビニくらいしか使わなくて、ほとんど全ての活動は職場の方とか途中のターミナルになったりもするでしょう。それくらいだけが刺激的な場所で、後は、例え首都圏でも平凡な空間。

 「ここは退屈迎えに来て」を読んでいると、確かに地方都市は退屈なところと描かれているけれど、だからといって地方はだめ都会でないとというお話ではありません。物語には、都会から戻ってきた人が多く登場します。そして、確かに都会は時間を埋めるためのものはたくさんあるけど、だけど結局退屈で、でも疲れるから戻ってくる、そんな雰囲気です。

 ここで描かれている世界は今より少し前ですが、いまやネットやスマホが発達しましたから、ただ時間を埋めるだけなら、都会にいなくてもいくらでもやれることはあります。でも、いまでも、ネットをみてれば退屈な人は大勢います。

 結局退屈なのは、退屈だから退屈なのであって、場所のせいではなさそうです。少なくとも私が探そうとした地方都市だから退屈な理由は見つけられませんでした。

 ではなぜ退屈になってしまうのか。それはまた今度にして、最後に今ツイッターで拾った記事を紹介。

 東京を愛しているのは東京出身者だけ!?都外出身者「老後も東京で暮らしたい」は3割以下 

 内容は、いろいろやっぱりそんなもんかー、と思って読み進めたら、
「東京」を愛している 都内出身者:36.0% 都外出身者:11.0%

 最後の質問はズバリ、「『東京』を愛している」かどうか。こちらも圧倒的に都内出身者の方が多く、やはり東京は都内出身者にこそ愛されていることがよくわかる。
 
 11%とか低いですね。36%も低い。「自分が好きか」という質問と同じで、日本人こういうのは控えめにいいがちなせいでしょうか。

 東京にはいろいろ問題がありますけど、便利でメリットいっぱいあるから、住んでるなら、もっと愛していいんではないでしょうか。いつも、ここでは「地方」「地方」って叫んでますけど、この数字見たら、都会を擁護せざるをえない、みたいな、軽くショックを受けた数字でした。私は住んでた時も今も東京大好きです。人生のステージに合わせて場所を変えてるだけで。

 11%、低いですね。ちょっと他の土地とかでどうなのか、気にしてみようと思います。

・併せてどうぞ
六本木には負けても東京には負けない街なら作れる 】
お洒落で勝負だ。地方 vs 都会 】