いよいよ電王戦。人間とコンピュータの共創
で紹介した将棋電王戦。先週全5局を終えコンピュータの3勝1敗1引き分けとコンピュータの圧勝に終わりました。
次がどうなるか分かりませんが、ぐずぐずしてたら、たとえば3、4年経てば、トップ棋士でも負けてしまうでしょう。できるだけ早く次回を企画してほしいです。今回の5戦でコンピュータの癖も見えたことですし、速やかに次回を行えば、プロとコンピュータの互角な戦いを見られるのではないでょうか。
それにしてもコンピュータ強かったです。しかも、最終第5局は、まさに「人間とコンビュータの共創」が起こり、新たな定跡が生まれたかもしれません。詳しい解説記事を待っているのですが、なかなか出て来ないので、将棋ソフト「激指12」を買って自分で調べてみました。
これが問題の場面。
これに対して三浦八段は43手目7四歩とその手に対応するように指しますが、それをきっかけに、この後、延々とコンピュータの攻めが続き、102手でコンピュータが勝利します。その最終局面がこれ。
盤面の右側三浦八段が攻めるべき側は全く変化なし。一度も攻めることもなく終わってしまいました。
しかも、局後三浦八段が「どこが悪かったのかわからない」と繰り返したそうで、43手目7四歩以降、特にこれといって悪い手を指していないようです。それでもその後まったく攻めることもなく終わってしまったということで、すでにこの序盤に問題があるのではないかという話になっているようです。
なんか、すごい話になってるようで、買った激指であれこれ調べてみましたが、もしかしたら後手gps将棋42手目の8四銀に対して、すぐに3五歩と逆に攻め始めたらそこそこ楽しそうでした。それが成り立つなら、このgps将棋の手は新しい定跡として、今後も指されることになるでしょう。
逆にもしその攻めにも無理があるとなれば、今まで定跡の一つだった39手目6八角は姿を消すことになります。
まさに人間とコンピュータの共創。もし、この将棋で序盤以降双方がミスや疑問手などを指していれば、勝敗を分けたのはどこかと手を遡るのはそこまでで、序盤39手目6八角の是非が問われたことはなかったでしょう。それ以降双方ベストを尽くしたからこそ、そこまで遡って検討が行われることになったのです。
じゃあコンピュータ同士でたくさん戦わせれば、どんどん定跡できるじゃんと思うかもしれませんが、それほど単純ではありません。コンピュータは強くなっていますが、やはり中盤は複雑です。今回激指をいじっていても、先手有利という場面で、先手に最善手数手指させたのに、なぜか互角に戻ってしまうということが良くありました。
コンピュータにしても序盤から最後まで見通しが立っているわけではなく、その場その場で指すわけですから、コンピュータ同士を戦わせた棋譜は、全体として参考になるかは心もとありません。
今回、人間が片方で最善と考える手を指し続けたからこそ、序盤まで遡って定跡を検討することが可能になったのです。
人間とコンピュータの真剣勝負から生まれる共創ドラマ。目が離せません。と書いていたのですが、まさに考えうる最高の共創が生み出されました。将棋の新時代です。ひるむことなく、どんどん対コンピュータ対戦してほしいです!!!
ところで、初めてプロが負けた第2局先手ponanza、後手佐藤慎一四段の棋譜も調べてみました。かなり攻められてますけど、だからといって悪いというほどではなさそうです。先手ponanzaの攻めが一瞬緩んだ105手目 3五歩の場面、後手佐藤四段は3七馬と次につながる手を指すのですが、その後、攻め続けられて反撃できませんでした。その場面で8五歩と直接攻めていけば一方的にはならなかったかもしれません。
どの局を見ても、コンピュータは攻めをつなげるのが上手なようです。第1局は、それでも攻めが途切れてしまい、コンピュータが負けましたが、第2,4,5局はコンピュータのしぶとい攻めに人間が耐えきれないという印象でした。
人間としては、少しでも隙があれば攻めをしかける工夫が必要なのかもしれません。第3局はそんな感じになりましたが、時間が足らなかったようです。これからは持ち時間をもっと多くした方が面白くなりそうです。
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