もりたに。 のコメント

ボカロファンとそうでない人間とでは、ボーカロイドの捉え方に違いがある。

多くのボカロファンはボカロを「音楽ジャンル」と認識しているが、そうでない人間はボカロを「アイドル的エンタテインメント」だと認識しているものがほとんどだ。
実際、ボーカロイドという「音楽ジャンル」は存在しない。だが、ファンにとってそれは些細なことである。
例えばAKBのファンは「この曲はメタルだね、~~の影響が感じられる」「この曲はブルースの香りがするね」などと語り合うだろうか。いや、しないだろう。
だが、それでいいのである。それはファンにとって大した事ではない。彼らにとって音楽性どうこうより「AKB」ということが最重要なのだから。
AKBをボカロに変えても同じことが言える。同族嫌悪で認めたくはないかもしれないが、根底にある精神は同じである。

多くのボカロファンは「ロック」「クラシック」「ポップス」と同じカテゴリで「ボカロ」を使うが、一般層からすると「ボカロ」は「AKB」「ジャニーズ」と同じカテゴリなのである。
そこの意識の差が明確になっていないから、意見が衝突したりするのだろう。
ボカロファンとしてはAKB、ジャニーズと一緒にするな、と感じるかもしれない。
だが、「ボカロ」という音楽ジャンルがあるとしたら、いったいどういった音楽性を備えたものなのか? と問われた時、きちんと答えられるボカロファンは存在しないだろう。
それは「ボカロか、そうでないか」を判断するためのものは音楽性ではなくボーカロイドが歌っているか否かであるからである。歌手は音楽ジャンルにはならない。

こうなると「歌ってみた」はどうだろう、という意見もあるかもしれない。
だが、仮にボカロ曲として有名な曲がボカロ曲としてではなく、最初から(有名ではない)個人名義の曲として世に産まれていた場合、今と同じ評価を受けていただろうか?
そうではないだろう。「歌い手」も、やはり「ジャニーズ」「AKB」と同じカテゴリなのである。
ボカロ無くして歌い手は無い。歌い手というのはある意味曲の二次創作家なのだから。

それが良いか悪いかはさておき、お互いに認識を正しく持つことがボカロの発展に結びつくのではないかと私は思う。
機械音を上手く生かしたデジタルポップやアンビエントなどは1ジャンルとして成り立つ可能性が高いと思うし、独自性として申し分無い。
ボカロファンの一人として、一人でも多くのボカロファンの意識が「音楽性」に向いてくれることを切に願う。

No.182 139ヶ月前

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