イメージトレーニングで「カゲロウ山」を見る。
今回でひとまずイメージトレーニングの話は最後です。昔のマンガ(アニメ)寺沢武一の「コブラ」に「カゲロウ山登り」という話があります。
信じるものにしか見えないとされる「カゲロウ山」に金塊を積んだ飛行機が墜落し、その噂を聞きつけた荒くれ者達がその金塊を目指すも、途中でその山が本当にあるのか疑問に持った者から遭難して行くという感じのお話です。
なんとも大味な設定のお話なのですが、でもこれ、現実の世界にはしょっちゅうあると思いませんか? なにか大きなイノベーションは、できてしまえばああそうすればよかったのかと人は言いますが、それまでは、ほとんどの人はそんなことできるとは思えずやろうともしないし、あるいは少しやってみるもののすぐ諦めてしまいます。
ですが、諦めず、その方向に向かって進んでいき、やり遂げるの人がいるのです。
例えば、「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方 などで紹介されている駒崎弘樹さんによる病児保育「フローレンス」。もっと使いやすい病児保育が必要だというのは多くの人が知っていますが、分かってもいてもそれは難しく、その中でも駒崎弘樹さんは訪問型・共済型の病児保育サービスを編み出しました。駒崎さん自身、いったんは常識的に施設を作ろうとしてうまくいかなかったこともあるようです。
そういったイノベーションをやり遂げるのは強い意志力もあると思いますが、そういう気合い系のものだけでなく、イメージトレーニングの力も強いはずです。
最近の課題は「南極点に到達する」といった明白な目標がありません。「過疎に苦しむ○○村を活性化する」といった漠然とした課題で、なにをもって活性化したとするかそこから問題になります。取り組んでみるものの、なかなか結果が出ないと、やっぱ過疎を食い止めることは無理だよねと諦めがちです。「カゲロウ山」なのです。
あるいは「絶対にこの村を活性化したい」という意志は堅くても、やってることが的外れで効果がないこともあります。いつまでも山のふもとをぐるぐる回っているだけで、ちっとも登れないのです。あるいは、ちょっとやったらとんでもなく見える壁に当たって諦めることもあるでしょう。
どんなに調べたって正解が分かるわけもない問題に対して、でも
答えがあると信じる力、さらに、
どっちが山頂かを考えられる力、
困難に当たっても、それを乗り越える解決策を考える力、あるいは回り道して回避する力、
そしてなにより大事な今取り組めば解決できるかもしれないという打算、
それらはイメージトレーニングの力と同じです。
ざーっと考えて、何かはできるだろうとまとめる力、様々なトラブルにどう対応するかをいろいろ考えを巡らせる力です。
駒崎さんのような大きなイノベーションを誰もができるわけではありませんが、身の回りの小さな問題も、同じ構造を持っています。ですからいまだに問題なのです。
問題はあるけどこれを達成したら解決という目標がない、だから、といった構造です。こういう問題が大小無数にあるのです。
今取り組んで解決できるのか分からない、
やってみようとすると壁がある、
イメージトレーニングの力がつけば、こういう問題に取り組むことが出来ます。たとえ小さくても、解ければそれはイノベーションです。イメージトレーニングの力をつけて、小さなイノベーションを無数に起こせば世界はどんどん住みやすくなるはず!!
5回分のまとめ
・変革期の今、未来に何が起こるのか予想が立てにくい。したがって、既知の知識をただ増やしても将来起こる問題に対応できない。いまだ経験したことのない問題にどう対応するかを想像するイメージトレーニングの力が重要。詳しくは(その1)参照。・イメトレの力をつけるには、「お金をどう使うか」を利用する。具体的な問題なので取り組みやすいし、効果も出やすい。詳しくは(その2)参照。
あるいは、「万が一」を避けるためにどういう基準を持つのか訓練する。歩行者として常に信号を守らないのであれば、どういう基準か。だんだんエスカレートするといつか大惨事。法律がないところでも。狭いキッチンで何かを少し「はみ出して」置かざるを得ないとしても、どこまではみ出すのか。エスカレートすれば、いつか大惨事。(その4)に関連。
・イメトレの効力は、「知っていること」の周りにある「知らないこと」が増えること。想像するだけだから本当に「知っていること」にはならないけど、「知らないこと」でも多分こうかな?と想像できていることが増えれば増えるほど、新しいできごとに慌てふためかずに済む。
知識や経験を増やすことでも「知らないこと」も増える。詳しくは(その3)参照。
・イメトレの力があれば、成長するために自分を「変化させやすく」なる。変化させるときに出くわすトラブルに対応しやすいので、少ない勇気で「変化」できる。詳しくは(その4)参照。
・イメトレの力を鍛えることで、今時の問題に取り組みやすくなる。つまり、問題があることが分かっていても、目標がよく分からないタイプの問題である。詳しくはこの(その5)の前半参照。
イメージトレーニングの力をつけて、小さなイノベーションを無数に起こそう!
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