嫌われるインテリがこれから生きていく方法(その4) 〜私たちは「アメリカ」を知らない〜 のつづきです。
前回は「超」インテリのいうことを鵜呑みにできないことをアメリカを例に取り上げました。「超」インテリが嘘をついているのではなく、「超」インテリが単にアメリカの半分、主に民主党の強い地域のことしか知らないからです。
最後に2つくらい例をあげてこのシリーズは終わりにしようと思います。「普通」のインテリと「超」インテリは、必ずしも「超」インテリのが優れているわけではありません。なぜなら「超」インテリは特殊な世界に住んでいて、世の中が見えないからです。より現実的な社会に住む「普通」のインテリも普通なりに知恵を絞り、より現実的な提案をし実行していくことが、世の中に嫌われずに生きていく方法です。
行き過ぎた自由貿易
TPPの成立がいよいよ危うくなってきましたが、ここでは前から否定的です。
[S] TPPは一時の押し上げ?
なぜ自由貿易がいいとされるかというと、お互い得意なものを作って交換するほうが労働生産性が上がるというリカードの比較優位法則で説明されます。
じゃあそれをとことん突き詰めるべきかというと、行き過ぎれば様々なリスクが生まれます。軽くて輸送費のあまりかからない半導体なんかではそのリスクが顕在化していて、台湾で地震が起こると世界中のメモリの供給が滞るなんてことが起こります。
本来ならそういったリスクなどを考慮する理論を定式化して、リカードの比較優位法則と組み合わせて、最適な関税はどれくらいかという議論をするといいのだと思いますが、見かけることはありません。インテリが繁栄する世界に都合の悪い話で、みんな避けているのでしょう。
たとえばバナナばっかり作っているところがあったとして、世界経済から見てそれは効率的なことかもしれないけれど、そこではバナナを作って得たお金でその他全てのものを外から買わなければなりません。自分たちの食べ物すら外から買ってこなければならないのです。入ってきたお金はなるべく地域でぐるぐる回してから出ていくほうがその地域の景気はよくなります。
それは日本の地方でも言えることで、なので地産地消とかがんばっているわけです。だからといって、地域で何もかも自給自足では、効率の悪いこともまた確か。たとえば iPhone なんて手に入りません。じゃあどの辺がいいバランスなのか。それを探る式が必要なのです。
移民をなくすべきか
最後に移民について。トランプ新大統領が移民について過激な発言をしたことで、移民問題について考える機会が多くなりました。
日本の移民について私は反対です。海外から安い労働力として移民を受け入れるべきという考え方大っ嫌いです。そもそも日本人がその給料でやりたくない仕事をなぜ外国人ならやってくれると考えるのでしょうか? 日本では日本人だろうが外国人だろうが、同じような生活費がかかるのですから、外国人が日本で働けば、日本人と同じように苦しい生活になります。外国人の農業研修生問題が大きくなってきていますが、今の考え方で移民を増やせば、まさに同じ問題を引き起こすことでしょう。
じゃあ外国は、アメリカはどうなんだよと思うかもしれませんが、アメリカでは地区によって明確に生活費が違います。土地の値段は郵便番号で決まるとも言われています。地震被害が少ないので建物の建設費が安くまた築年数も長いので、賃貸の値段は土地の値段で大きく変わります。
つまり、アメリカでは、低賃金労働者だけが集まって暮らす地域ができます。その中では物価も安いです。店舗の値段や人件費も安いですから。そういう低賃金でも暮らせる場所があって、そこの安い労働力による廉価なサービスを裕福なアメリカ人は享受しているのです。
日本の都会にもそういう構造はありますが、まだまだずっとましです。しかし、安い労働力のための移民を増やせば、きっとアメリカに似ていくことになるでしょう。
アメリカはそれが行き過ぎちゃったし、だからトランプ氏の発言が受け入れられているのです。ドイツの難民問題も含め、安易な移民政策はよくないことがはっきりしたわけで、さすがに今後は日本の「超」インテリによる安易な移民推進発言は少なくなるかもしれません。
格差是正の社会機運の中、労働力不足に対して日本は違う方法を編み出していかなければならないのです。
《ワンポイントミライ》(?)
ミライ: ふと気づいたんですけど、アメリカの都会に住んでる人は、アメリカの都会じゃないとこまったく知らない可能性ありますね。
フツクロウ: ホホウ?
ミライ: だって移動は全部飛行機じゃないですか。郊外くらいはドライブするかもしれないけど、その奥の畑ばっかり永遠に続くとことか、その地域に点々とある町とか、テレビの中でしか見ないかも。
フツクロウ: ホウかもしれんの。
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