まずはこちらの動画をご覧下さい。

 Video by "Unpoliteartmachine Labadanzky"

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 なんですか。このおバカな動画www(褒め言葉です

 扇風機にやっつけで腕と足つけただけ。こんなのうちの息子たちにだってできます。

 なのに、この異様なまでのロボット感。なんとなくジブリ的で日本人にも受けが良さそうです。何度も見てしまいました。

 この動画、アップしている人がどうしているかはしれませんが、ユーチューブとかにアップすれば、本人にそれなりの収入が入ることでしょう。工作の技術としてはたいしたことないし、動画を作る技術だって全然たいしたことありません。でも、お金がすごく儲かったりしてしまうわけです。

 私たちはこの動画を通して、どうして今景気がよくならないのか思い知らされます。

 こういうのがお金になる、つまり景気をよくする元になる時代なのに、社会の教育システムはこういう人材を育てるようにまるでなっていません。

 最近の子供達の将来の夢といえば、「ユーチューバー」が上位に入ってきます。しかし、社会は「ユーチューバー」を育てるようにはなっていないのです。

 おいおい、将来の夢といえば、サッカー選手だって入るが学校では育てないだろう、と思うかもしれませんが、サッカーはサッカークラブなどが普及していて、つまり、次のサッカー選手を育てるための仕組みができています。

 それじゃ、そのうち「ユーチューバー」を育てる仕組みもできるんじゃ? と思うかもしれません。確かにできるかもしれませんが、サッカー選手といささか違うのは、「ユーチューバー」として大事なのは、動画の技術より、コンテンツです。日本のトップ「ユーチューバー」を見てもそのジャンルは様々です。育てるったって何をすればいいの?って感じです。

 おいおい、「ユーチューバー」なんて一時のブーム。そんなのがいつまでも職業として成り立つわけがないと思うかもしれません。

 果たしてそうでしょうか? いったい「ユーチューバー」はなぜこんなに流行るのか、子供達が将来なりたいと思うのか。

 今景気が悪いのは、みんなが欲しいと思うものに乏しいからです。よく「モノは豊かになったが、ココロは貧しいままだ」といいます。つまり、みんなココロを豊かにするものが欲しいのに、そういうのが乏しいからお金が動かないのです。本当に欲しいものが乏しいから、お金のかからない生活がもてはやされるのです。

 でも、扇風機に腕と足をつけた動画をみれば、人々はほんの少し幸せに、ココロが豊かになります。それが広まることで投稿者のところにお金が届くことを私たちは悪いと思いません。

 「ユーチューバー」は子供達が本能的に素晴らしい職業だと思っているのです。人々をささやかに幸せにすることで、お金が儲かることって素晴らしいと。

 私たちの社会の教育システムは、残念ながらこのような社会の変化に対応できていません。今の学校教育でどんなに優秀な成績を修めようと、人々が受けてくれるような、扇風機に腕と足をつけた動画を作るために必要な技術やセンスとはまるで無関係です。

 これが今の社会の問題点です。もっと教育に税金をかけるべきだという議論が盛んですが、残念ながら今のような教育システムにどんなに大量にお金を注ぎ込もうとも、人々のココロを豊かにするようなコンテンツを増やすことと無関係なのです。私たちの教育内容は私たちの欲しいものを生み出すことに、貢献していないのです。

 昔は、どんどん教育が広がって、国民の教育レベルがあがったことで、日本はどんどん素晴らしい製品を作って、どんどん豊かになりましたが、今は国民がどんなに学校の勉強を頑張っても、社会が豊かにならないのです。教育のピントがずれているのです。

 仮に今、税金を大量につぎ込んで、全国民が常用漢字のテストで満点取れるようになっても、社会は豊かになるでしょうか? なりません。それと同じことです。公共事業で箱ものを増やしても社会が豊かにならないのも同じです。

 これが景気の悪い本質です。「モノは豊かになったが、ココロは貧しいままだ」なんて言葉は私の少年の頃から普通に言われていることでした。その時から今日まで教育内容は大きくは変わっていません。漢字もいくらか読み書きできなければいけないように、今の教育もある程度はこなさなければなりませんが、もうそれだけでは足らないのです。

 親の世代は、ものを豊かにするのに必死な世代ですから、そこまでは今の教育内容がよく対応していたことでしょう。

 でも私たちの世代から、現在の私の子供の世代まで、ココロを豊かにするものを生み出すための教育は増えていません。

 したがって、才能がある人が散発的に「ココロを豊かにする」ものを生み出すにすぎません。それでは景気がよくなるほどお金が動く経済にはなりません。普通に教育を受けた人が、そういう生産に携わるくらいの社会の仕組みになって、ようやくお金がブンブン回って景気よくなるのです。

 とにかく動き始めるのであれば、たとえば子供の時から、自由な発想で動画を作って、アップすることです。

 当たる動画を作る最大の作戦は数を打つことです。あげてはいけない動画や、個人情報を特定されないような配慮とかそういうのを大人がきちんとコントロールしながら、どんどん動画をアップする、そういう訓練を幼い頃からしておくことで、人のココロを豊かにするとはどういうことかを実践的に学ぶことになります。

 人のココロを豊かにする教育とは、たとえばそんなことになるわけです。今の教育とはかなり違うものです。そもそも、いったいどうすれば、人のココロを豊かにするものを作り出すことができるのかが、体系的にわかっていません。ニコ動の様々なコンテンツを整理すればかなり見えてくる気はしますが。

 しかし、すでに未来の大人である子供達は、それを「ユーチューバー」という形で見出しています。もちろんそれだけが人のココロを豊かにするわけではありませんが、すでにココロを豊かにすることがわかっているものとして、ユーチューブやニコ動のコンテンツを作るのに必要な技術を子供達に積極的に薦めるのが、社会を豊かにする近道ではないでしょうか。


《ワンポイントミライ》(

ミライ: ここニコ動なのに、「ユーチューバー」連呼とかごめんなさい。

フツクロウ: ホッホ。