「努力」はオワコン、代わりに「やり抜く技術」を学ぶ社会に(その10)/毎日続ける力  のつづきです。

 「やり抜く力」はここまで「解けそうな問題を選ぶ力」「諦める力」「スモールステップ法」「毎日続ける力」の4つでした。5つ目です。

 やり抜く力その5/熱狂的な集中力

 「スモールステップ法」「毎日続ける力」は、どちらかと言えばコツコツ根気よく続けるために必要な力ですが、時には爆発的に進められるタイミングがあります。

 そんなときに、熱狂的な集中力は強力な武器です。寝食忘れて取り組むことで、一気に壁を超える瞬間があることでしょう。

 これも「諦める力」と同じように、子供の頃から誰でも持っているものです。子供のころなんて、集中力の塊みたいなもんです。遊びに熱中している子供の集中力にはかなわないと感じる大人も多いのではないでしょうか。

 それは遊びではないかと思うかもしれませんが、それは表裏一体で、遊びに集中できる子は、ハマりさえすれば勉強などにも集中します。そして最近はその垣根がどんどん曖昧になってきています。うちの子でいえば、アプリ「英語物語」や、コミック版「日本の歴史」とか遊びと同じように熱中しています。これが勉強か遊びかは子供にとって無意味な問いです。

 むしろ、今までの学校は、この集中力を削ぐ方向にありかねません。たった45分の授業で1日にいくつもの教科をこなします。知り合いは「数学やるなら一日中やってほしかった」と思っていたそうです。また一人で作業に没頭するような授業も少ないでしょう。この点ではフリースクールなどは大きな可能性を秘めていると思いますから、ぜひノウハウをつちかい、全国の学校でできる取り組みを広めてほしいと思います。

 一方で私たち親としてできることは、子供たちが持つ集中力をなるべく邪魔しないこと、それを讃えること、そしてそれが勉強など大人の望むものにも振り向けられるように工夫し、それができたらそれを讃えることでしょう。

 子供たちが集中して遊んでいたら、なるべくやりくりしてその時間を維持しましょう。工作してるとかです。そして、その集中力を讃える。作品ができたら、「すごい集中力で作り上げたね」みたいに。ま、素直にそう思いますし。

 自分は集中力がないと思っている子は少なくないと思います。でもそれは、勉強とか苦手なものに対してで、好きなものならすごい集中力を持っていることでしょう。ですから、大人はうまくその集中力が大人の望むものに向けられるような工夫をすればよいでしょう。学習アプリとか、学習マンガとか、今は工夫をこらしたいろんなものがあります。

 もし、それらを通して子供が成果をあげたなら、おおげさに讃えましょう。子供が自分は「集中力がある」と思いこませればいいのです。

 そして、大人は、自分で自分の集中力を高める方法を探しましょう。ゲームやネットサーフィンなど時間を忘れて没頭することは誰にでもあります。その集中力を自分が望むことに振り向かせるにはどうすればいいのか、自分自身をハッキングするのです。音楽を聞きながらならできるとか、みんなそれぞれ工夫があることでしょう。最近では「マインドフルネス」といった科学と宗教が融合したような手法も生まれてきています。趣味を活用する人もいます。極度な集中力を必要とする趣味を持ち、自分の集中力を研ぎ澄ますのです。

 (つづく)

《ワンポイントミライ》(

ミライ: なんか「やり抜く力」らしくなってきましたね。

フツクロウ: ホウかいの。

ミライ: はい。これいわゆるゾーンとかフローってやつですよね。