のりこえねっと通信

【のりこえねっと通信0052号】本日19時より「【沖縄4時間SP】基地と沖縄とヘイト 知花昌一×辛淑玉」 放送です!

2014/10/27 16:30 投稿

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  • ヘイトスピーチ
【のりこえねっと通信0052号】本日19時より「【沖縄4時間SP】基地と沖縄とヘイト 知花昌一×辛淑玉」 放送です!

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■■■■■-ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク-
■■■■
■■    のりこえねっと通信 0052号 2014年10月20日発行
■■
■                        ◆転送歓迎◆
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★メールアドレスのご変更等は、info@norikoenet.org までご連絡下さい。
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 賛同者の皆さま のりこえねっと通信をお読みの皆さま

 本日の放送は、【沖縄4時間SP】です。沖縄現地から知花昌一のりこえ
ねっと共同代表をスタジオに迎え、さらにスカイプ中継で沖縄現地より、東
恩納琢磨名護市議会議員、沖縄タイムスの阿部記者を交えて、放送します。
沖縄を焦点にした番組は、のりこえねっとTVでは初めてです。「基地と沖縄
とヘイト」をテーマにじっくりと語り合っていきます。トークの前後には、
「恨を解いて浄土を生きる」「靖国の檻」2本のドキュメンタリー映画も放
映します。また今回初めてYouTube Liveで中継します。こちらは会員登録も
いりませんので、お気軽にご覧できます。ぜひご覧ください。

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〈今号の目次〉
1.のりこえねっとTVのお知らせ
 【沖縄4時間SP】基地と沖縄とヘイト 知花昌一×辛淑玉 
2.10月17日のりこえねっとTV報告
  「頑張る女性とヘイト 福島みずほ×北原みのり」
3.今後の反レイシズム情報
4.今週のヘイト街宣・デモ Pick Up
5.新聞・雑誌記事・Webより
6.のりこえねっと動画アーカイブ公開
7.11月2日「東京大行進2014-差別のない世界を、子どもたちへ。」
  ご案内
8.ボランティアスタッフ募集(リサーチ、TVスタッフなど)
9.編集後記


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●1.1.のりこえねっとTVのお知らせ
 
★タイトル:【沖縄4時間SP】基地と沖縄とヘイト 知花昌一×辛淑玉 

◎放送日時 10/201(月) 19:00-23:00(予定)

 ◎のりこえねっと公式サイトにても公開! http://www.norikoenet.org/
 ◎Youtube Live https://www.youtube.com/watch?v=GCLby2-z68I
 ◎ニコニコ生放送入口 http://live.nicovideo.jp/watch/lv196818352

10月30日告示、11月16日投開票の沖縄県知事選。
 今回のりこえねっとTVでは、沖縄から知花昌一共同代表をお迎えして
 東京のメディアが伝えない、
 沖縄の「今」と「これから」を考えます。
 現地からは、名護市議会議員の東恩納琢磨氏、
 沖縄地元メディアの記者とスカイプでつなぎ、
 生の声をお届けします。

 <出演>
 知花昌一(のりこえねっと共同代表)
 スカイプ:東恩納琢磨(名護市議会議員)ほか

 <内容>
 1「恨を解いて浄土を生きる」(ドキュメンタリー 92分)
 2  知花昌一×辛淑玉×スカイプ (トーク 約90分)
 3「靖国の檻」(ドキュメンタリー 65分)

◆視聴方法について、今回初めてYouTube Liveで中継します。こちらは会員
登録もいりませんので、お気軽にご覧できます。以下のニコニコ動画と合わ
せてご覧ください。

【ニコ生視聴方法】
 ▼初回にニコニコ動画に会員登録が必要です。(一般会員は無料です)
  http://www.nicovideo.jp/

 ▼メールアドレスとニックネーム、性別、年齢等のプロフィール、
  パスワードを登録してください。
 ▼そして、以下にアクセスするとのりこえねっとTVをご覧いただけます。
  http://ch.nicovideo.jp/norikoenet-tv

※ブロードバンドのインターネット環境、もしくはLTE通信環境のスマート
フォンなどからもご覧頂けます。あらかじめタイムシフト予約をしていると
放映後1週間以内はいつでも見ることができます。

◆皆さまへのお願い

現在、のりこえねっとTVはニコニコ生放送( http://live.nicovideo.jp/)
のトップページ番組表に掲載されておりません。
Twitter、公式サイトにて告知しておりますが、ニコ生のトップページ番組
表に掲載されると目に留まりやすく、さらに視聴者が増えると思われます。
番組表に掲載されるためには、【タイムシフト予約】の人数が200名を
超えなければなりません。ぜひ、みなさまのご協力が必要です。
拡散・周知も続けて頂けますよう何卒お願い致します。 毎週月曜日午後9
時から、のりこえねっとTVを放送していますが、今週は出演者の都合によ
り、金曜日に変更します。聞き手は、北原みのり共同代表です。内容等につ
いては、決まり次第お知らせしますので、お待ちいただきますようお願い申
し上げます。


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●2.10月17日のりこえねっとTV報告
「頑張る女性とヘイト 福島みずほ×北原みのり」

 はじめに最近のニュースの一つとして安倍内閣の女性閣僚が話題になって
います。福島さんは、性格はいい人であっても原発再稼働を進める経産大臣
はいらないとし、安倍内閣は女性の活躍ではなく女性を利用していると批判
します。秘密保護法のときには森雅子を前面に立てて答弁に立ち往生した
が、答弁できないのは彼女にも問題があるとはいえ法案がでたらめだからそ
うなった。立ち往生するポジションに官房長官や法相が立たずに女性を前面
に立て、男性議員が質問してちょっと間違えると女性いじめとか言うが、泥
をかぶるようなところには女性を立てて男性は後ろで操ってみっともないこ
とが起きないようにしている感じがすると語ります。また国家公安委員長へ
の「懇ろ」発言は、発言に至る経緯があるとはいえセクシャルな形でぶつけ
るのは間違っていると批判します。

福島さん「土井たか子さんに出会って政治を近く感じられた」

 福島さんは、土井たか子さんとの出会いを契機に98年に国会議員になって
16年目になります。自ずと土井さんの思い出に話しが進みます。89年に土井
さんに初めて出会って政治を近く感じるようになったと福島さんは回顧しま
す。そして女性弁護士たちで土井さんを支える会をつくって選択的夫婦別姓
を目指して民法改正案をつくっていったそうです。97年に日米ガイドライン
が決定されると、これから五月雨のように有事立法が出てくる国会で一緒に
闘おうと土井さんに誘われ、市民運動の立場で弁護士だけをやっていたら床
が抜けて社会が変わってしまうのではないかと思って立候補を決意したそう
です。また9条を変えないという政党がなくなったら困ると思ったとも語り
ます。そのときに土井さんから、毎日がハッピーというわけにはいかないか
も知れないがやりがいを感じることがあると言われたそうです。
 北原さんが土井さんの晩年について問います。福島さんは、2010年くらい
まで活動していて、08年5月の9条世界会議にも一緒に行っているし、10年に
は辺野古に行ったという話も聞いているとし、電話すると社会の望ましくな
い変化を怒り頑張れといわれたと答えます。土井さんが委員長を辞めたとき
は、週刊誌などで「お旦那」もいないくせにとか結婚もしていないくせにと
か、いまなら酷いセクハラの言葉を浴びていたそうです。95年に衆院議長を
辞めて党に戻ったときのキャッチコピーが市民との絆、それをやろうと思っ
た人だったと評価します。

北原さん「土井さんは衆議院議長に就かない方が良かったのではないか」

 北原さんが、土井さんの声が聞けなくなってしまい、今から思うと議長に
就かない方がよかったのではないかとも思うと問います。福島さんは、女性
初の議長に就いたのはよかったと思うが、騙されているともよく聞いたと
し、よかれと思って勧めた人もいるだろうが、うるさい土井を議長に祭り上
げて男どもの好きなようにする構図もあったのじゃないかと応じます。議長
は中立的立場なので騙されたとしたら騙される方の問題もあるが、それ以上
にちょっともったいない気がするとも語ります。女性初と持ち上げられたが
彼女は媚びない人で、男の権力の切れっ端をもらっていい思いをしようなん
てことは皆無、損得ビジネスという感覚も皆無、私はそれが好きだったと語
ります。
 また北原さんが、89年のマドンナ旋風のときに普通の「おばちゃん」が媚
びずに発言できたし、それが女性議員を増やす近道としてのメッセージだっ
ただろうが、なぜそうなっていかなかっただろうかと問います。福島さん
は、政治における男社会の壁が厚かったからか、もうひとつは小選挙区制の
せいだろうかと受けます。そして、土井さんは党首として比例名簿の1・3位
を女性候補、2・4位を男性候補というように女性を先に持ってきていた。実
際、00年の社民党は19衆院議員中10人が女性だった。当時は女性議員も多
く、超党派で女性議員がDV防止法をつくった。女性が意思決定の場にいるこ
との長所は政策の優先順序が変わることにある。オルタナティブをつくるこ
とに意味があるのだから、女の格好をしていても中身は男という議員はいら
ないと協調します。また福島さんは、男社会の法律の世界から政治の場に
入ったので個人的には苦にならなかったが男社会の壁を変えたいとは思った
し、社会的弱者のための法をつくれたし、いまは解釈改憲などで立憲主義を
踏みにじる総理がいるから国会議員でいてよかったと思うと語ります。

福島さん「人種差別もヘイトスピーチもだめと国会で訴える」

 そして福島さんは、この16年間の国会の雰囲気の変化について語ります。
かつては自民党ももうちょっとまともで護憲派保守がいて、立憲主義を理解
し自衛隊を海外にまで出すことはしないという人がいたし、スパイ防止法=
秘密保護法に対してはもっと声を上げていた。だから時代が変わったという
よりも、自民党自体も変わったし、むしろど真ん中の国会・内閣が変わった
と見ているそうです。北原さんも、日本軍「慰安婦」は解決どころか、存在
したということから話さねばならないほどに、時代の流れがこんなに早く変
わるとは思いもしなかったと同意します。
 そして福島さんの話はヘイトスピーチに進みます。戦前は非国民なる言葉
で人々の口を封じていたが、95年の「新しい歴史教科書」のころから売国奴
や反日という言葉が普通にあらわれるようになったといわれる。関東大震災
での朝鮮人・中国人虐殺のすさまじい差別排外主義とある種の暴力が脈々と
受け継がれ、それが復活してきたということで暴力的で恐ろしく感じてい
る。ユダヤ人であることを示すバッジの着用を強いられたことから始まって
アウシュビッツにつながっていったように、いまヘイトスピーチを止めさせ
ないととんでもないことになると思う。人種差別もヘイトスピーチもだめだ
ということを国会の中できちんとやっていきたい。そして朝鮮学校に対して
高校無償化を適用しないというのは差別してもいいという政治的メッセージ
になっている。一般の人々が差別するのも問題だが、政治が差別することを
止めねばならず、それが問題だと語ります。またヘイトスピーチが娯楽のよ
うになっているとの北原さんの指摘に、福島さんは下を見て暮らせという江
戸時代とどこが違うのかと思うと批判します。国会でも声を上げ続けるが、
沈黙を強いられている人々の存在を考えて、できる人が声を上げていくこと
で応援しなければ社会はおかしくなる。ユダヤ人虐殺までいったようなこと
を阻止しなければならないと協調します。

「現在の状況はすでに戦前かもしれない」福島さん 

 そして福島さんは、現在の状況はすでに戦前かも知れないと指摘し、以前
は戦争が始まったらメディアと市民活動への弾圧が起きると思っていたが、
始まるずっと手前の段階でメディアと市民活動への弾圧が始まっていると語
ります。集団的自衛権の行使や後方支援で武器供与可能という形で世界の戦
場と直結していく国は、具体的に戦争をしていなくとも監視社会であり、情
報をコントロールするしメディアを弾圧する。平和と平等は手を携えてやっ
て来るというが戦争と差別排外主義もそうだ。ナチスが共産主義者を弾圧し
たとき私は共産主義者でないから声を上げなかった、社民主義者のときも、
労組のときも、そして最後に彼らが私のところにやって来たときに私のため
に声を上げてくれる人はもう残っていなかった、という反ナチ活動家だった
牧師の言葉があるが、私はそのことを思う。ヘイトスピーチで憎悪の対象に
されている人々とこのことは地続きであり、排外主義をやっている人々が戦
争に行けと命じられるかも知れないし、次の瞬間には弾圧されるかも知れな
い。戦争と原発の被害に政治は責任をとらない。賛成反対のどちらも酷い被
害に遭うのが戦争と原発だからだと力をこめます。

「弱いものを抑えつけるのではなく、強いものに立ち向かおう」

 最後に福島さんは、一人で頑張るのは嫌なのでみなで頑張ろう、そして排
外主義や差別的言動をいい加減止めようと呼びかけます。また日本軍「慰安
婦」問題の本質は戦時下の性暴力であり人権侵害にある。さまざまな形で連
れて行かれ、そこにいることは意に反するものであっても逃げられない状況
だった。それを受け止めて共有していくことが必要であり、当事者の女性が
どれだけ命がけで話したかということをわかって欲しいと訴えます。そして
在日がなぜ日本にいるのかを考えなければならない。立場の弱い者をいじめ
て楽しいのだろうか。立場は簡単に変わるものであり、弱い者いじめをして
いる人間が実は問題を抱えているかも知れないし、政治は次の瞬間にあなた
を見捨てるかも知れない。残念ながら政治は戦争にも原発にも責任をとって
いない。それなら弱い者を抑えつけるのではなく強いものに向かうことで、
この社会がもう少し生きやすいものになって欲しいと訴えて終わります。


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●3.今後の反レイシズム情報
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★公式サイト 学習会カレンダーにも順次掲載致します!
http://www.norikoenet.org/workshop.html#callendar
★集会・デモ・カウンター・セミナーなどのお知らせを掲載します。
日時、会場、タイトル及び内容、主催者、主催者の連絡先などを400文字以
内で、お送り下さい。件名に「のりこえねっと通信掲載希望」と明記して下
さい。

1)トークイベント 『NOヘイト!』刊行前夜?出版の製造者責任を考える

日時:10月22日(水)19:30~
会場: 阿佐ヶ谷ロフトA8(東京都杉並区阿佐谷南1-36-16ーB1
 JR中央線阿佐谷駅パールセンター街徒歩2分)
会費:前売¥1200 / 当日¥1500(+飲食代)
出演:
加藤直樹(『九月、東京の路上で』著者)
明戸隆浩(『ヘイトスピー チ』翻訳者)
神原元(弁護士)
朴順梨(『奥さまは愛国』著者)
ヘイト スピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会メンバー
電話予約→ 03-5929-3445

2)文化センター・アリラン連続講座第6回 「朝鮮学校差別の現在」

日時:10月25日(土)14:00~16:30
場所:文化センターアリラン閲覧室 (新宿駅東口徒歩13分)
講師: 金優綺(キム・ウギ) 在日朝鮮人人権協会
参加費:各回1,000円(事前予約不要:60名定員)
問い合わせ: NPO法人 文化センター・アリラン
 〒169-0072 新宿区新大久保1-12-1 第二韓国広場8F(職安通り沿い)
 TEL 03-5272-5141(水曜日~日曜日11~18時)


3)「慰安婦」専門サイトFight for Justice開設1周年&ブックレット出
版記念シンポジウム「性奴隷」とは何か (東京・水道橋)

日時:10月26日(日)14:00~17:30
会場:在日本韓国YMCA9階ホール
 (JR「水道橋」東口徒歩5分)http://www.ymcajapan.org/ayc/jp/
参加費:1,000円(学生、非正規500円)
発言者
・小野沢あかね(日本近代史・女性史/立教大学教授)「戦前日本の公娼制
度と性奴隷認識」
・前田朗(刑法と国際人道法/東京造形大学教授)「国際法における軍の性
奴隷制度」
・大野聖良(ジェンダー研究/日本学術振興会特別研究員)「現代日本にお
ける人身取引問題―性的搾取を中心に」
問題提起:吉見義明(日本軍「慰安婦」問題webサイト制作委員会共同代表)
主催:日本軍「慰安婦」問題webサイト制作委員会
   http://fightforjustice.info/


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●4.今週のヘイト街宣・デモ Pick Up

カウンター行動(抗議行動)される際は、十分お気をつけ下さい。
経験が少ない方は、複数での参加をお勧めします。

1)韓国民団 朝鮮総連はいらない!デモin六本木
●日時:10月25日(土)15:30デモ出発
●集合場所 港区三河台公園(東京都港区六本木4丁目2ー27)
【最寄り駅】
東京メトロ・都営大江戸線六本木駅 6番出口徒歩1分
●主催:日本人差別をなくせ!デモ実行委員会
※カウンター行動が予定されています。

2)日韓国交断絶国民大行進in帝都
●日時:10月26日(日)13:30デモ出発
●場所:花園西公園(新宿区新宿1-32 丸の内線 新宿御苑前駅徒歩5分)
●主催:日韓断交共闘委員会帝都
※「韓国は「旭日旗」に異様に反応するので「旭日旗」大歓迎です」と告知
にあるように嫌がらせだけが生きがいの集団。カウンター行動が予定。

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●5.新聞・雑誌記事・Webより

1)ヘイト・スピーチの憲法論(4)
前田朗Blog 10月14日

4 生存権――憲法第二五条 
 日本国憲法第二五条一項は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生
活を営む権利を有する」として、生存権を規定している。
「すべて国民」としているが、日本国籍保持者のみならず、日本社会構成員
全員が有する権利である。ただし、生存権を保障するために国がどこまでの
作為義務を有するかは、一律には定まらない。
 通常、生存権は福利厚生や生活保護や年金などの問題として議論される。
しかし、それは社会的に生存権を確保できている場合に、いかにプラスにす
るかと言う枠組みである。社会的に生存権を否定されることがないのが当然
だからだ。
 他方、ヘイト・スピーチは他者の存在に対する攻撃であり、アイデンティ
ティに対する攻撃である。「殺せ」「日本から叩き出せ」と言った罵声は、
被害者の人間存在そのものを否定している。すなわち社会的に生存権を否定
する事態である。このような事態を憲法学は想定してこなかったように思わ
れる。
京都朝鮮学校襲撃事件民事訴訟第一審の京都地裁判決は「排除」に着目した。
 判決は「本件活動による業務妨害及び名誉毀損が人種差別撤廃条約上の人
種差別に該当すること」において、被告人らが差別意識を有していたこと、
自分たちの考えを表明するために示威活動を行ったことから「本件活動が、
全体として在日朝鮮人に対する差別意識を世間に訴える意図の下に行われ
た」とした。
 その上で、判決は被告らによる数々の差別的発言を確認し、「以上でみた
ように、本件活動に伴う業務妨害と名誉毀損は、いずれも、在日朝鮮人に対
する差別意識を世間に訴える意図の下、在日朝鮮人に対する差別的発言を織
り交ぜてされたものであり、在日朝鮮人という民族的出身に基づく排除で
あって、在日朝鮮人の平等の立場での人権及び基本的自由の享有を妨げる目
的を有するものといえるから、全体として人種差別撤廃条約一条一項所定の
人種差別に該当する」と判断し、「民法七〇九条所定の不法行為に該当する
と同時に、人種差別に該当する違法性を帯びている」とした。
 ここで注目するべきことは、「排除」と明言し、「人権及び基本的自由の
享有を妨げる目的を有するもの」と判断したことである。私の知る限り、メ
ディアも研究者もなぜかこのことに言及していない。
 人種差別撤廃条約第一条一項の定義は「人種、皮膚の色、世系又は民族的
若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先」としてい
る。「区別、排除、制限又は優先」のうち「区別」や「制限」に当たること
はもとよりであるが、判決は「排除」に着目した。単に差別的な表現を行っ
たというものではなく、「排除」する行為である。
 よく誤解されるように、ヘイト・スピーチは単なる汚い表現や悪意の表明
だけではない。他者を排除する意思の表明であり、排除する行為である。他
者の安全や存在を危殆化する行為であり、放置しておくと「迫害」につなが
るような行為である。「迫害」が組織的に行われた場合、人道に対する罪と
なることがあることを想起するべきである。さらに、ヘイト・スピーチの極
限形態であるジェノサイド煽動型は、生存権だけではなく、生命権(憲法第
一三条)をも侵害する危険性を有する。
 このようにヘイト・スピーチは、差別表明型や名誉毀損型だけではなく、
脅迫型や迫害型もあり、他者を排除し、迫害する犯罪である。差別の煽動は
まさに排除の意思表明である。社会的排除は、被害者の生存権の侵害であ
り、生命の具体的危険にもなる。
 私人によるヘイト・スピーチであって、日本政府が被害者の生存権を侵害
したわけではない。しかし、日本社会において他者の生存権を侵害する人権
侵害が継続的に生じているにもかかわらず、政府がこれを規制することな
く、ヘイト・スピーチを放置し続けていることは、やはり政府の責任が問わ
れるべき事態である。まして、ヘイト・デモは公安委員会の許可を得て行わ
れている。政府(地方政府)がヘイト・スピーチの「共犯」として、マイノ
リティの生存権を侵害しているのではないか。
 憲法前文は「圧迫と偏狭を地上から永遠に除去」すること、「全世界の国
民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ」ることに言及している。生存権の規
定は憲法の基本精神に従って解釈されるべきである。日本社会構成員は「圧
迫と偏狭」や「恐怖と欠乏」からの自由を保障されなければならない。誰も
が迫害されることなく社会生活を維持できなければならない。
 ヘイト・スピーチの法律論を試みた法学者の中で、憲法第二五条に着目し
たのは、私以外では金尚均のみであろう。遠藤比呂通が憲法第九条を引き合
いに出したのも、同じ趣旨かもしれない。金や遠藤に倣って、この点をさら
に強調しておかなければならない。

http://maeda-akira.blogspot.jp/2014/10/blog-post_71.html

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2)ヘイトスピーチ対策、デモ許可場所の限定も 自民PT
朝日DIGITAL 10月15日

 自民党の「ヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)対策等に関する検討プロ
ジェクトチーム(PT)」は15日、デモの許可範囲を厳しくすることな
ど、現行法の範囲での対策を検討するよう警察庁に求めた。
 PTでは、国連人種差別撤廃委員会が8月に日本政府へ勧告したヘイトス
ピーチ問題に関する最終見解などを検討。終了後、座長の平沢勝栄衆院議員
は、同委員会が法規制を求めたことについて「新規立法は表現の自由(の問
題)が絡む」と述べ、否定的な見解を示した。
 一方で、ヘイトスピーチを行う団体が警察にデモの届け出をしている点に
触れ、「デモを許可する場所を限定するなど、条件が付けられないか、警察
も検討してほしい」と述べた。

http://www.asahi.com/articles/ASGBH65HQGBHUTFK00Y.html

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3)風塵だより
10月15日

おぞましい事件、言葉…
しばらくコラム(時々お散歩日記)を休んでいたけれど「再開してくださ
い」という数少ない声に励まされて、何かをまた書き始めようと思った。
「マガジン9」編集部からも催促されていたし…。
ぼくの書くことなんて、たいした価値などないことは分かっている。言って
みれば、風に舞う塵のようなもの。それでも言わなきゃならないことはある
し、ぼく自身の小さなメモとして残しておきたいという思いもある。みなさ
んも、そんなつもりで読み流してほしい。
というわけで、またしばらくおつきあいをお願いします……。
なんだかイヤな出来事が続く。
9月24日未明、沖縄・辺野古の新基地反対の座り込みテントに暴漢が乱入。
テント内部がかなり荒らされたという話が、事件直後に沖縄の知人からもた
らされた。これで2度目だ(1度目は今年の6月20日)。平和的な座り込みを
暴力で破壊する…。なんともやりきれない事件だ。
ぼくがこの9月初めに辺野古を訪れたとき、テント村にとても心に沁みる横
断幕が掲げられていた。ツイッターなどで紹介したけれど、そこには「勝つ
方法はあきらめないこと」と書かれていた。辺野古における本格的な「基地
建設反対座り込み」はすでに10年を超えている。まさに「あきらめない」闘
いである。その幕も持ち去られたという。まったく酷いことをする。
座り込みが続く間には、さまざまなことがあった。先日の「マガ9学校」で
上映した三上智恵さんがディレクターを務めたTVドキュメンタリー作品『海
にすわる』(2006年制作)が描いた住民たちの海上での闘い。それは、沖縄
防衛局の海底への杭打ちを阻止した住民勝利の闘いだった。
しかし、勝利も束の間、政府がこれで辺野古新基地建設を諦めると思いき
や、安倍政権はより一層の強硬手段に打って出てきた。海上保安庁を前面に
押し立ててのほとんど暴力的ともいえる住民運動弾圧である(その暴力の様
子はネット上で確認することができる)。
今回の辺野古座り込みテント村襲撃事件は、そんな背景のもとで起きたの
だ。安倍政権の極右政策に、嬉々として躍る人たち。
同じようなテント村襲撃事件が、東京のド真ン中でも起きた。
経済産業省前に設営され、原発反対を訴えるテント村だ。これも2011年9月
から続く息の長い闘いの象徴である。10月12日午後5時半ごろ、4人(男3人
女1人)がこのテントを襲った。そしてテント内部に押し入り、乱暴狼藉の
し放題、散々暴れまわってから意気揚々と引き揚げていったというのだ。し
かも、その一部始終を“マリちゃん”と名乗る女性がコメント付きで嬉しそう
に撮影していたのだ。それを彼らはネット上に流したのだ。ぼくも見たけれ
ど、ほんとうに“おぞましい”動画だった。
ただし、このおぞましい動画には、笑える場面がひとつだけあった。マリ
ちゃん、看板を読み上げるのだが「えーと、この漢字、読めな~い」…。そ
こにあったのは「廃炉」という文字。思わず失笑した。
なんとまりチャン、反原発テントを襲いながら「廃炉」も読めないのだっ
た。では、彼女は何を考え、何のためにテントを襲ったのか? 原発問題に
ついての深い(いや、深くなくてもいいけれど)考えなどなしにテントを
襲ったのか。おぞましさを通り越して、いっそ淋しい。
それにしても、こんな暴力が大手を振りまわす世の中は、やっぱりどこかお
かしい。暴力を容認する人たちが、何のためらいもなくそれを口走ることが
できるようになったのは、やはり、安倍政権のやりたい放題がまかり通るよ
うになってからではないか。
もうひとつ、なんとも“おぞましい”動画があった。
兵庫県川西市で、市会議員に立候補している“ある女性候補者”の発言であ
る。彼女が街頭で大声あげて万歳をしている映像がネット上に流れている。
そこで彼女は「朝鮮人を射殺しろーっ!」と、万歳をしながら喚いているの
だ。最初はジョークかと思ったが、そうではない。至極真面目だ。だからよ
けい不気味なのだ。公衆の面前で、ある特定の人たちを「射殺しろ!」と叫
ぶ。それをも「表現の自由」というのだろうか? そういう人物が市会議員
に立候補している(投票日は19日)。
「ヘイトスピーチ」などと英語にするから、なんとなく見過してしまう。し
かしことは重大だ。これは憎悪であり、悪罵であり、罵詈であり、しかも犯
罪なのだ。人を殺せと、しかも特定のカテゴリーの人たちを名指しして殺せ
と叫ぶ。犯罪と言わずに何と言えばいいのか。
こういうことが、あまり違和感も持たれずに世の中に蔓延していく。
なんとしてでも、歯止めをかけなければならない。
かつては、こんな憎悪表現に走るのは“虐げられた社会底辺の不満層”だとい
う説が横行していた。だが、どうもそうとばかりは言えないようだ。さまざ
まな調査が報告されているが、例えば『奥さまは愛国』(北原みのり、朴順
梨、河出書房新社)などを読むと、何の変哲もないフツーの“奥さま”たち
が、妙にどす黒い言葉を吐き、憎悪を撒き散らしていることがよく分かる。
「彼女たちは『韓国人は射殺しろー!』と叫んだ帰りに地元の店で食材の買
い物をして、家では夕食の支度をして家族とテーブルを囲んだりするのだろ
うか」…と、著者の朴さんは言う。まさに、フツーの人たちのところへま
で、憎悪の感覚が浸透してきているのだ。
 牽強付会と謗られるかもしれないが、ぼくはやはり、これらの一般化され
つつある“憎悪感情”が、安倍政権の(特に近隣外交に見られる)対外的憎悪
政策と抜きがたく結びついているような気がして仕方ない。
憎悪を撒き散らす政権。慰安婦問題や歴史修正(改竄)主義、自虐史観批判
と自由主義史観…。
安倍側近である萩生田光一自民党総裁特別補佐は、慰安婦問題に関するいわ
ゆる「河野談話」について、「この談話の役割は終わった。政府は見直さな
いと公言しているので見直しはしないが、骨抜きになっていけばいい」(10
月6日)などと、それこそ“広言”している。対外的にケンカを売っていると
しか思えない。
こういう人が安倍側近なのだ。菅官房長官も安倍首相本人でさえ(いやいや
ながらも)「河野談話は見直さない。引き継いでいく」と言っているのに、
こんなことを言う。つまりそれは「安倍総裁の本音はこうですよ」と、側近
が解説してくれたに等しい。
ケンカを売られれば買うだろう。韓国は、日韓首脳会談に応じるつもりはな
いという。
ヘイトデモに対抗する人たちが掲げるプラカードに「仲良くしようぜ」とい
うのがあった。
当たり前の、人間として当たり前の感覚。ぼくはそちらに与する。

http://www.magazine9.jp/article/hu-jin/15193/

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4)10・9県庁包囲集会~増幅する悪意の言葉と沖縄~
三上智恵の沖縄撮影日記 10月15日

 8月はキャンプシュワブゲート前での抗議行動、9月は辺野古の砂浜で開か
れた新基地建設に反対する県民集会。3回目はなんと那覇のど真ん中、県庁
を昼休みに県民の怒りで包囲しようというチャレンジになった。しかし、オ
フィス街で平日の昼間に県庁前に来られる人はどのくらい居るのか。また、
県庁を包囲するという行動には海の埋立てを承認した現知事への批判という
色合いもあるため、他者をあからさまに否定する行為を好まない県民性から
考えるとやや難しいのではないか。そんな心配をしながら久茂地交差点に向
かった。
 12時から1時のランチタイムを使った1時間だけの集会である。私達は10時
半には現場に到着、俯瞰で撮影できる場所を探していた時、あまり聞き慣れ
ないトーンのスピーチが始まった。拡声器を使って3人の男女が交互に叫ぶ
それは、基地に反対する沖縄の高齢者を揶揄する内容で、聞いていてとても
つらいものだった。去年から普天間基地のゲート前では「基地反対」に「反
対」するグループが登場していたが、ついに県庁前でも公然と誹謗中傷を大
音量で聞かされる世の中になったのか。これを、これから県民広場に集まっ
てくる、沖縄で頑張ってきた大先輩達に聞かせたくないと、暗い気持ちで正
午を迎えた。
 映像にあるように、「県民は屈しない」「辺野古新基地建設NO!」などと
書かれたカードを手に集まった人の数は3800人(主催者発表)。報道カメラ
も20近くあり、三たび示されたこの県民の不屈のエネルギーと熱気は本土に
も伝わるのだろうと頼もしく思った。
 三回の包囲。辺野古現地からのアピール。そして今回はついに高江からの
発言もプログラムに入った。第8回のこのコラムでも伝えたように「高江ヘ
リパッド建設問題」がオール沖縄の中で難しい位置に押し込まれてしまわな
いか、危惧していた多くの人々にとって「辺野古と高江」がこの場で共有さ
れたこと、それは感動的な瞬間でもあった。
 ところが結果的には、県外でこの県民集会を報道した主要メディアはほと
んどなかった。そして映像にあるように、高江の住民が一日千秋の思いで迎
えたアピールのチャンスに、その声をかき消す勢いで響いていた大音量のヘ
イトスピーチ。これについてもメディアは伝えなかった。
 私はアメリカ軍基地が必要だとする立場も、武装によって国を守る考えも
あって当然だと考えるし、理解できないわけでもない。街角で議論するのも
大いに結構だと思う。ただウジ虫とか生きた化石とか品性のない言葉で人の
尊厳を傷つける必要はないはずだし、お互いの思想や信条を理解し合うため
の討論が台無しになるのはもったいないと思う。
 しかし、ここで私はヘイトスピーチの是非を論じたいのではない。なぜメ
ディアはこの場面を伝えることを避けたがるのかを考えてしまうのだ。
去年1月、翁長武志那覇市長を中心に沖縄41市町村の代表が「オスプイレ
イ配備撤回」を求める建白書を携えて上京したときのこと。建白書を政府に
渡すと共に、銀座で短いデモ行進をする沿道で、耳を疑うような言葉が投げ
つけられた。「売国奴」「死ね」「非国民は出て行け」…。あまりの言葉
に、沖縄のリーダー達も明らかに血相を変えていた。私はたまたま靖国裁判
(※)の取材で、同じような言葉を台湾や韓国の原告団が浴びせられる様子
を何度か見ていた。しかし、そのときは沖縄の原告団がマイクを握ると、沿
道の罵声は止まった。つまり、ほんの数年前までは「死ね」とか「出て行
け」という言葉を沖縄に対して発するのは躊躇されていたものが、明らかに
この時、状況は一線を越えたと感じた。
 建白書のデモ行進の映像は各社がニュースで流したが、他局が沿道の罵声
をカットする中、私も一員であったQAB(琉球朝日放送)報道部は話し合っ
てその音声も入れた。すると、めったに放送局に電話などかけない沖縄県民
からたくさん電話があり、ネットに掲載したページにはアクセスが集中し
た。「この言葉は、本当に沖縄県民に向けられたものですか?」「信じられ
ない」といった反応だった。
※靖国裁判…戦争で亡くなった肉親が靖国神社に無断で祀られたことを精神的
苦痛だとして、遺族らが神社と国を相手に合祀の取り消しを求めた訴訟のこと。

 極端な右翼・左翼や突出した宗教・思想団体などの活動やアピールは、特定
の団体の宣伝になるような形では取り上げない。メディアはそれぞれのケー
スで、それを見極めようとしていると思う。ところがそれを気にしすぎて
「デモ」や「座りこみ」をニュースから外すようになり、大衆運動でも政党
や教職員組合の旗が映らないように撮影する。映れば使わないと言うような
自己規制が時間をかけて進んでいった。そうなってくると、沖縄の基地抵抗
運動が本土メディアから姿を消すのも当然だ。県内では当たり前のニュース
映像が中央から敬遠されるという現象が、実際に沖縄問題の全国的な理解を
妨げて来たと私は思っている。
 そして、一部の人間が公然と人を中傷するような行為については、それを
「ニュースにしない」ことも一見良識的であり、悪質な行為を助長しないた
めという理由も付けられるだろう。しかし、東京や大阪で年々深刻化してい
る人種差別やヘイトスピーチが、日本人の人権意識を根こそぎ変えるほどに
影響力を発揮し、国民を蝕んでいくとしたら、それは大ニュースではない
か。その動きが基地の押しつけや沖縄差別の歴史を飲み込みながら海を渡っ
て沖縄に上陸したとすれば、とてもではないが伏せていていい問題ではない。
「人権」という普遍的で崇高な概念、それは人類が不幸な歴史を積み重ねた
上に獲得してきたものだ。それは、国際水準に押し上げ共有していくことで
世界各地の人権侵害を解消させる特効薬にもなる、そんな幹の太い理念であ
るべきだ。そんな人類の希望の幹を根本から腐らせてしまうような動きにつ
いて、なぜ報道を控えるのか。パンデミックは水際で止めようと必死になっ
て報道する一方で、悪意が人間の集団を変質させていく状況に鈍感なのはな
ぜなのか。その「伝えない消極性」が怖いのだ。
 とはいえ、私はヘイトスピーチは沖縄に関しては定着しにくいだろうと言
う楽観論も持っている。冒頭にも書いたとおり、沖縄では誰かをあからさま
に否定することは極力しない。人を追い込んだら逃げ場がない島で、非難さ
れる人よりも人を責める人の方が社会から嫌われる、そういう力学がある。
加えて、まだまだ「言霊」に対する信仰が広く残っている。  
 失礼して少々民俗学者のふりをさせてもらえば、沖縄で「言葉」は「ク
チ」とか「フツ」とよばれ、悪意を持った「ヤナフツ」は邪悪な力を持って
相手に取り憑くと信じられている。軽口で「死ねばいいのに」と言ったつも
りでも、強い言葉は相手の生命力まで奪い、その呪力は強く、一周して自分
に返ってくるとも言われている。だから沖縄のおばあたちは「言葉には気を
つけなさい」とよく諫めるし、言葉が強い人を敬遠する。本当の意味で悪い
言葉が命取りになることを知っているのだと思う。
 県庁前では、あそこまで聞き苦しい言葉が2時間も続いたことに対して、集
まった人達が何も言わなかったのが印象的だった。投げつけられた罵詈雑言
を耳に入れることも、ましてやもっと強い言葉で応じていくことなどもって
のほかというくらいにそれは怖い、あり得ないことだっただろうし、身をす
くめて防御するのが知恵だったのかも知れない。
 沖縄だけではない。日本にも言霊信仰はあった。人前で悪口を言う人は嫌
われる、という当たり前の道徳もあったはずだ。古人(いにしえびと)の知
恵や道徳が集団の悪意を抑えるものとして機能しなくなったのが今の日本社
会だとしたら、集団心理の暴走をどうやって止めるのか。少なくとも現状と
危機を堂々と、広く伝えて、それを許さない社会を取り戻していく以外にな
いのではないだろうか。

http://www.magazine9.jp/article/mikami/15223/

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5)警察トップが在特会と関係?――「山谷大臣は辞任を」
週刊金曜日ニュース 10月16日

「山谷やめろ」「ザイトクやめろ」。ヘイトスピーチを繰り返す在特会(在
日特権を許さない市民の会)との関わりが取り沙汰されている山谷えり子・
国家公安委員会委員長兼拉致問題担当相の辞任を求める人々が9月29日、総
務省前で辞任要求デモを行なった。
 山谷大臣が日本外国特派員協会の会見で、在特会との関わりを追及された
のは25日。山谷氏はヘイトスピーチに関して「憂慮にたえない」「違法行為
があれば法と証拠にもとづいて厳正に対処していかなければならない」など
と述べる一方で、具体的な取締りについては終始言明を避けた。
 山谷大臣は先月、過去に元在特会幹部の増木重夫氏と写真に収まっていた
ことが発覚。また、『週刊文春』の取材で在特会を「知らない」と答えたと
されるが、TBSラジオ番組の取材には「『在日特権』をなくすことを目的
として活動している組織と承知しています」と文書で回答していたことが発
覚した。会見ではこの矛盾を問われ、「(『文春』記事は)事実ではござい
ません」と弁明する一幕もあった。
 総務省前の行動はツイッターなどで呼びかけられ、当初は数十人だった参
加者数も200人ほどに膨れ上がった。中野区に住む女性(50代)は「極
右、ネオナチの賛同者が閣僚を務めていることが恥ずかしい」と語り、在日
韓国人の男性(20代)は「在日の一人として許せないが、こういう事態は日
本人にとっても恥ずかしい状況だということを、自分の問題として自覚する
必要がある」と話した。
 翻訳家の池田香代子氏も駆けつけた。池田氏は「外国特派員協会の会見を
見た。大臣はヘイトスピーチを憂慮すると言いながら、在特会に対しては
ノーコメント。外国メディアは山谷大臣と在特会との関係を察知しているの
に、NHKは拉致問題に関する自局記者の質疑しか報じなかった。メディア
が事実を伝えていない」と批判した。

http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?p=4741http://www.sankei.com/west/news/141016/wst1410160081-n1.html

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6)ヘイトスピーチ根絶 仁比議員 首相は先頭に立つべきだ

しんぶん赤旗  10月17日

 日本共産党の仁比聡平議員は16日の参院法務委員会で、民族排外主義を
スローガンに人種や国籍で差別し、暴力を扇動するヘイトスピーチ(憎悪表
現)を根絶するため、「首相や閣僚が、社会的批判でヘイトスピーチを包囲
する先頭に立つべきだ」と主張しました。
「殺せ、殺せ朝鮮人」「鶴橋大虐殺」など、街頭で差別発言を繰り返すヘイ
トスピーチが大きな社会問題になっています。仁比氏は、法務省が「啓発活
動を行う」として発行したポスターが2012年度はわずか60枚、13年
度でも965枚しかなく、内容も「外国人の人権を尊重しましょう」ときわ
めて抽象的なことを指摘。「はなはだ不十分だ。人種差別撤廃条約の趣旨を
踏まえ、ヘイトスピーチ根絶を焦点にした啓発をすべきだ」とただしました。
 松島みどり法相は「予算の都合もあるが、直面している問題を的確に理解
してもらえるよう力をつくす」と答えました。
 仁比氏は、ヘイトスピーチには、脅迫、威力業務妨害など現行法の枠内で
も警告、静止など厳格に対処するよう主張。ヘイトスピーチを流布した公人
や政治家にも適切な制裁を行うよう求めました。
 松島法相は「刑事事件として取り上げるべきものは、警察と連携してしっ
かり対処する」と述べました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-10-17/2014101702_04_1.html


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●6.のりこえねっと動画アーカイブ公開のお知らせ
   すべての番組が見られるようになりました

 のりこえねっとTVも放送を開始してから11か月が経過し、内容について
も、多くのゲストの方の協力を得て、ヘイトスピーチ・レイシズムに対抗す
る番組として、中身のあるものができたのではないかと考えております。
 しかし、のりこえねっとTVは、ニコニコ動画の生放送を利用しているた
め、アカウントを作成しログインしなければ視聴できず、放送後1週間で視
聴できなくなるということもあり、多くの方に見て頂けませんでした。

 そこで、のりこえねっとでは公式サイトに動画集として「のりこえねっと
動画アーカイブ」ページを公開し、これまで放送してきた番組をアーカイブ
として見られるようにしました。
 このアーカイブのほとんどの番組には、放送の詳細レポートもあわせて掲
載してありますので、これを読むだけでも概要がわかります。
 以下のURLをクリックするとご覧いただけます。のりこえねっとの公式サ
イトトップページからも「動画アーカイブ」のボタンがあります。

●2014年4月~10月分はこちら
 http://www.norikoenet.org/movies.html

●2013年11月~2014年3月分はこちら
 http://www.norikoenet.org/movies_2.html


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●7.11月2日「東京大行進2014-差別のない世界を、子どもたちへ。」
   に参加しよう!

 昨年ヘイトスピーチとそれに対する抗議が増える中、1963年のワシントン
大行進(キング牧師らの主導により開催され、アメリカ公民権運動のひとつ
の到達点となったデモ行進)50周年にもリスペクトしつつ、「差別撤廃 東
京大行進」と銘打ち、約3000人の参加者とともに「人種差別撤廃条約の誠実
な履行」を日本政府に求める行進が行われました。今年もこれを受け継ぎ、
「差別撤廃」と「ヘイトスピーチ反対」を訴えるデモ行進が行われます。今
年のテーマは「差別のない世界を、子どもたちへ。」となっています。
 のりこえねっとも趣旨に賛同し、参加・協力しています。ぜひ皆さんもご
参加いただけますようお願いします。

日時:11月2日(日)12時00集合 12時30分出発
場所:新宿中央公園・水の広場出発(東京都新宿区西新宿2-11)
(アクセス)JR・小田急線・京王線 新宿駅から徒歩約10分
東京メトロ丸の内線 西新宿駅から徒歩約5分
都営大江戸線 都庁前駅から徒歩1分
http://www.city.shinjuku.lg.jp/seikatsu/file15_02_00001.html
内容:当日は4つのブロックに分かれて、行進します。のりこえねっとは差
別反対東京アクションとともに第2ブロックを担当し、東京都に対し、「人
種差別撤廃条約を履行し、都条例でヘイトスピーチへの対策を行うこと」を
要求します。強力な演説と湧き上がるシュプレヒコールが都庁のある新宿に
轟きます。
※デモ行進の趣旨にあったプラカードや横断幕の持ち込みは大歓迎ですが、
国旗、団体旗(主催団体や各ブロックの運営団体のものを除く)に関しては
お断りしております。特定の国家、政党、宗教などを支持するデモではあり
ませんので、ご注意ください。
主催:TOKYO NO HATE

★東京大行進 2014 呼びかけPVができました。
https://www.youtube.com/watch?v=Ekx5M-Metuc
ぜひリンクを広めて下さい。


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●8.ボランティアスタッフ募集(リサーチ、TVスタッフなど)

先週告知したところ、早速お問い合わせがありました。引き続き募集させて
頂きますのでよろしくお願いします。
のりこえねっとができて1年。これまで多くの皆さんに支えられて活動を進
めてきました。しかし活動領域の大きさに比べると少ない人数での運営のた
め、いろいろとご心配・ご迷惑をかけてきたことと思います。そこでより一
層活動を充実するため、以下のボランティアスタッフを募集します。応募資
格は、のりこえねっとの趣旨に賛同し、継続的に活動に参加できる方です。
TVスタッフ(イベント時のボランティアは別)ボランティアスタッフの参加
申込・お問い合わせはのりこえねっとのお問い合わせフォーム

https://www.norikoenet.org/mail_form/contact2.html
https://www.norikoenet.org/mail_form/contact4.html

にご記入し送信ください。またこれ以外でも「こんなことならやれる」とい
う方いたらお気軽にご連絡下さい。

1)リサーチ(調査)スタッフ

 今後ヘイトスピーチ規制を求めていくためには、どれだけヘイトスピーチ
が行われているかということや新聞報道などの基礎的データ収集が必要で
す。また毎週放映しているのりこえねっとTVは、毎週幅広いテーマでヘイト
スピーチについての番組を放送していますが、番組制作のためのデータ収集
も必要です。そのための調査できる方を募集します。WEBを中心にリサーチ
していただきますので、のりこえねっと事務所に来られない方でもOKです。

2)TVスタッフ

 のりこえねっとTVは、毎週幅広いテーマでヘイトスピーチについての番組
を放送しています。一緒に番組を制作、放送してみませんか。特に以下のよ
うな技能での経験をお持ちの方を大歓迎します。
●インターネットTVでの配信
●ビデオカメラでの現場取材
●ドキュメント番組制作
むろんこれらに携わったことがない方でも歓迎です。
毎週月曜日の夜、午後7時~11時までのりこえねっと事務所(東京都新宿区
大久保)まで来られる方が対象になります。


――――――――――――――――――――――――――――――――――
●9.編集後記

 ボランティア募集でさっそく応募してくれた大学生のAさんが、先週初め
て参加してくれました。なぜヘイトスピーチに関心を持つようになったのか
話してくれました。日本は外国人への差別がない国だと思っていたのに、在
留カードの所持をめぐって、狙い撃ちの尋問を行い、何時間も警察に拘束す
るところを見て、「日本にも差別的な状況がある」と気づき、いろいろな本
を読むうちにのりこえねっとにたどり着いたということでした。
 自分の身近なところから気づいてくれた彼女は、「ネットで真実」がほと
んどのレイシストとは対照的です。抽象的な妄想を抱いているネトウヨの皆
さん、身近なところにいる外国人の姿からもう一度考えてみませんか?
(か)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★メールアドレスのご変更等は、info@norikoenet.org までご連絡下さい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■のりこえねっと通信 0052号 2014年10月20日発行
info@norikoenet.org
発行:のりこえねっと事務局
運営団体:のりこえねっと

〒169-0072
東京都新宿区大久保2-7-1大久保フジビル 311 ペンの事務所気付
Tel.03-5155-0385/Fax.03-5155-0383

公式サイトURL http://www.norikoenet.org/
Twitter https://twitter.com/norikoenet

◆お問い合わせは、上記の公式サイト、最上部の各種
 「お問い合わせフォーム」よりご連絡下さい。

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