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2015/10/27
夏野剛メールマガジン 週刊『夏野総研』
号外
【“Androidと同じ”運命に!? Googleの自動運転車を待つ悲壮な運命】(※再掲載)
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当ブロマガのビジネスモデル分析のコーナーでお送りしている『今週Google』。
今回は、Googleに関するニュースを16個ピックアップした。「すごいグーグル」「やっぱりグーグル」「グーグルの弱点」「グーグルの誤算」の4つのジャンルに分けて、それぞれ解説していこう。
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【すごいグーグル】
まずはグーグルの「すごい」ニュースから。社員への報酬でこんなニュースがあった。『グーグル「できる社員には100倍の報酬を払う」給料は不公平であるべき。』(http://goo.gl/K6wfcG)。
これを見たほとんどの人が「当然こと」だと感じるだろう。たしかに優秀な社員に多くの報酬を支払うことは当たり前である。ところが、実際にはそんな当たり前のことをできていない企業が非常に多い。原因の一つに、優秀ではない社員との“格差”を作ってはいけないという空気がある。また、自分には甘く社員には厳しい報酬体系を敷くワンマン経営者も多い。そんななかで、“できる社員には100倍の報酬を払う”ことを平然とやってのけるグーグル。そういったカルチャーがあるからこそ、優秀な人材が世界から集まるのだろう。
そんな優秀な人材が原動力となり、グーグルはさらなる成長を遂げている。『グーグル、増収増益 広告好調で成長持続』(http://goo.gl/jeLICP)。
主力の広告ビジネスが好調とのことだが、インターネットが発展すればするほど自社の業績がほぼ自動的に伸びていく仕掛けを作ってしまっている。その仕組みを作り上げたことは「すごい」の一言だ。
また、これほどまでに規模が大きくなると、企業の成長は鈍化してしまうもの。ところが、他の企業のように成熟するのではなく今なお増収増益している。この事実は、「すごい」どころか「すさまじい」とも言える。
会社の規模が大きくなると、時代や技術の変化に対して鈍くなってしまうもの。ところが、グーグルはスピーディーである。『次世代ユーチューバーはVR系? YouTubeアプリが360度動画に対応』(http://goo.gl/edsbm5)と『グーグルがいつの間にか車会社「Google Auto」を設立していた』(http://goo.gl/2GpJVP)の記事を見るにそう感じるのだ。
動画の分野では、VRの普及は確実視されている。また、多くのIT企業が自動車事業に乗り出しているように、IT企業にとって自動車の分野も主戦場になっていく。このような有望な分野に対し、“張ってくる”行動力や戦略は評価に値するだろう。
ちなみに、グーグルの自動運転車の話には続きがある。詳しくは後述するが、このままでは明るくない未来が待っているかもしれないのだ。
ラストは、『Android端末のプリインストール義務付けGoogleアプリ削減 Google+も』(http://goo.gl/YzafeS)のニュース。
アメリカで販売されている『Galaxy Note5』からGoogle+やGoogle Newsstandなどの自社アプリがプリインストールされていないそうだ。ここまで読めば「グーグルの誤算」なようにも思えるだろう。たしかにプリインストールされたアプリへのユーザーの反感は「誤算」だったかもしれない。しかし、ユーザーの反感を買ったことで自らの失敗を認め、プリインストールをやめるという判断をした潔さはさすが。その一方で、某キャリアはプリインストールアプリを増やしている。ぜひグーグルの動きを見習ってもらいたいものだ。
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【やっぱりグーグル】
今回の「やっぱりグーグル」は、ビジネス面よりも社会への貢献が目立った印象を受けた。
甚大な被害をもたらした鬼怒川堤防の決壊は記憶に新しいが、グーグルは自社の技術を活かし、このようなサービスを提供していた。『グーグル、鬼怒川付近など最新の航空写真と衛星写真、「Google クライシスレスポンス」で公開』(http://goo.gl/57T1iJ)。
被災地の航空写真を公開するだけでなく、安否情報の登録・検索ができるサイトも公開。こういった動きを見るに、東日本大震災の頃から「いかに社会に役立つか」に対し敏感になっている印象を受ける。現在では、災害発生後にサービスを提供しているが、将来的に危険な地域をまとめた「ハザードマップ」をリアルタイムで提供することを目指しているかもしれない。
いずれにしても、グーグルの支援サービスは利益を追い求めてやっていることではない。短期的な利益を追わなくてもいいような、それほどの域に達している。そんな企業が世界にどれくらいあるだろうか?
社会的な貢献といえば、グーグルは芸術への取り組みも盛んだ。世界中の博物館や美術館に展示されているコレクションをネット上で閲覧できる『Google Cultural Institute』というサービスがあるのだが、このたび「樹花鳥獣図屏風」などが追加されたそうだ。『Google、「樹花鳥獣図屏風」を70億画素で提供、肉眼では見られない筆のタッチまで』(http://goo.gl/Y1d1PG)。
70億画素で撮影、提供できるのはグーグルが持つ技術の賜物。しかも、これほどまでの精細感で見ることができたならば、実際に美術館に行くよりもブラウザ上で見た方が、ある意味で“リアル”になってしまう。そんな逆転現象が起ころうとしているのだ。
災害支援や芸術のみならず、グーグルは医学的な貢献も果たしている。『グーグル、糖尿病治療で仏製薬大手と提携』(http://goo.gl/g2A6eS)。
糖尿病患者は多く、その数は世界中で3億8000万人にも及ぶと言われている。莫大な医療費がかかり、また患者にとっても食事制限や透析などの必要もあることからクオリティー・オブ・ライフを著しく低下させてしまう要因である。このような社会的な問題へ積極的に取り組む姿勢はすばらしく、実際に世界で影響を与えつつあるのだ。
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【グーグルの誤算】
グーグルの誤算として、特筆すべきなのは「Google+」だろう。各サービスとの紐付けを強化していたのだが、その連携を廃止するとのことだ。『Googleがプラットフォーム構想を大転換、全サービスでGoogle+との統合を廃止 まずはYouTubeから』(http://goo.gl/F2h2cP)。
ここ数年の間に起きたグーグル最大の誤算とも言えるGoogle+の不振。思い返せばAKB48とのコラボなど、PRには多くのリソースをつぎ込んでいた。ところが、蓋を開けてみればFacebookと同じような機能。連携の仕方も強引であり、連携先のサービスの利便性を削ぐようなことも見られた。もしかすると、サービス内容よりも連携の強引さがユーザーの反感を買ったのかもしれない。グーグルはGmailやYouTubeなどの自社が持つ人気サービスと連携することで成功を確信していたと思うが、誤算になってしまった。
ただし、「ダメなものはダメ」と認め潔く撤退する姿勢は評価に値する。これが日本企業であれば某国産SNSのようにダラダラと続けていたのではないだろうか。
誤算といえば、グーグルは「優れた製品・サービスならヒットする」という考えを持っているように感じる。しかし、現実はそう甘くない。顕著なのが、Google Glassだ。一時は個人向け販売が中止となったGoogle Glassに復活の噂が出ているらしい。『「Google Glass」ついに復活? 新型端末をテスト配布中か』(http://goo.gl/b05rTo)。
Google Glass不振の原因といえば、フリーハンドで撮影ができてしまうなどプライバシーの侵害問題が挙げられるが、それ以上にデザインに大きな問題がある。いくら高性能でも、あのデザインのメガネを身につけながら生活するのは非常に厳しく、それどころか怪しさまで感じてしまうのは私だけではないだろう。
好調に思えるYouTubeだが、ここでも誤算が生じていると思われる。
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