▼第563号
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                     2023/12/19

夏野剛メールマガジン 週刊『夏野総研』
           vol.563
【来春消滅。Tポイントは「どこで道を間違えたのか」】
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《目次》
01.時事ネタ解説
02.先週の出来事
03.Reading the world
04.Q&A
05.Product Lab
06.Good Food Good Life
07.時事ネタキュレーション
08.編集後記

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【01.時事ネタ解説】
 日々のニュースも見方を変えればいろいろなことが見えてくる。当コーナーは未来を読むためのニュースを、私が解説していくものです。
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《国内ニュース》
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◆ブッキング・ドットコムが国内空港で「白タク」斡旋
https://bit.ly/3RsBveu
〈要約〉
 日本の岸田首相がライドシェアの議論加速を指示。政府は自家用車のタクシー利用の規制緩和を検討中だが、現在はライドシェア未解禁で、「白タク」は違法。空港での違法な「白タク」が増加し問題化している。

〈コメント〉
 違法だとしても、そもそも法律制定時にライドシェアという仕組みがなかったわけだから、世界的なサービス事業者が他国と同じように日本でもサービス展開するのは止められない気がする。
「規制自体」の捉え方は、日本と海外で大きく異なる。特にアメリカの場合は適応力が高く、法律や規制が時代とズレるとすぐにアップデートする。例えば、メジャーリーグの「大谷ルール」はまさにそう。大谷選手のような選手が登場することを当時のルールは想定していなかったが、彼の活躍を見てすぐにルールを変えた。
 一方で、日本は完璧な状態(というか文句を言われない状態)にしてから物事を進める傾向がある。このアメリカ型と日本型の違いが、技術革新やサービス展開に差を生む。

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◆河野太郎・デジタル行財政改革担当相「ライドシェア、すぐに実験すべきだ」 単独インタビュー
https://bit.ly/3tukXuC
〈要約〉
 河野太郎デジタル相は、交通の足を供給するためにライドシェアの実験を急ぐべきだと述べた。実験は配車アプリの利用データに基づき、夕方のタクシー不足地域で行われる。

〈コメント〉
 あの河野大臣が言及したことで、ライドシェア解禁に向け、大きくアクセルが踏まれそう。
 だが、ライドシェアサービスがすでに存在し社会実装されていることを考えると、実験の必要性に疑問を感じる。
 海外ではUberやGrabが当たり前に使われており、その成果は明らか。新技術や新サービス開発の初期段階なら実験は必要だろうが、ライドシェアはもはや世界的に大成功を収めており、実験など必要ないのではないか。

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◆ライドシェア「タクシー会社による雇用が条件」政府方針、骨抜きの解禁か
https://bit.ly/470Izos
〈要約〉
 政府がライドシェア解禁方針を固め、タクシー会社による雇用が条件となることが判明。業務委託は認めず、二種免許未取得でも可。

〈コメント〉
 菅前首相や河野大臣などがライドシェアに前向きな姿勢を見せたことで、ライドシェアが解禁する流れになるかと思いきや、「骨抜き」な解禁になりそうだ。
 そもそもタクシー会社がライドシェアの運転手を管理する権利を持つなら、個々の「個人タクシー」はどうするのだろうか。タクシー会社に管理されていないが「個人タクシー」はすでに営業している。
 ライドシェアを制限していること自体もおかしいと思うが、解禁されたとしても、歪な状態になりそうで不安でしかない。