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新潟を旅して。甲斐みのり「コンフォート雑貨のある暮らし」

2015/10/22 23:30 投稿

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10年ほど前になるでしょうか。新潟で「マリールゥ」というカフェをはじめた親友から、結婚祝いのお返しが届きました。

少し大きめの筒状の小包。なんだろう?と開けてみると、中身は麻のマット。ちょうど、自宅の玄関マットを探していたものだから、驚きと喜びでうわっと声をあげたほど。お礼の連絡をしたところ、私がマットを探していたとはつゆ知らず、夫婦いちおしの品として選んでくれたのだそう。

F/styleのショールーム。月曜日と土曜日、週2日の営業です。(臨時休業もあるので、確認してからのお出かけをおすすめします)

「月山緞通」と呼ばれる山形メイドのマットは、足触りが心地よく、我が家の猫もマットの上で、ごろごろ、うとうと、離れません。その後、吸水性・発水性にも優れているというハイループタイプのマットも、バスマットとして買い足しました。それが私と「F/style(エフスタイル)」との出会い。

我が家の玄関に求めた「スゲの縄の花かご」。古くは雨雪をしのぐ雨具の材料として使われていたスゲは、素朴な草花を活けるのにぴったり。

F/styleとは、五十嵐恵美さんと星野若菜さんが、地元・新潟ではじめた、プロダクトのブランド。地域に根付く伝統産業や職人さんの手仕事を、今の暮らしになじむようにあらたなデザインをおこない、流通や販売までを自分たちの手でおこなっています。

「再生ビンの計量カップ/1合(お米用)」。新潟県内で消費された日本酒・ワイン・焼酎などのビンを、丁寧な手仕事でお米の1合用計量カップに再生。購入するためどの色がいいか選んでいると、翌日が誕生日だった私に友人がプレゼントしてくれました。

以来、東京や京都のセレクトショップにも並ぶF/styleの商品に魅せられ、自宅用や、家族や友人への贈りものに役立てるように。いつか新潟のショールームを訪ねてみたいと思い続けていました。

先月、願いが叶って、そのときが。新潟をともに旅することになった友人が、少し前にF/styleのおふたりと出会い、ショールームへの訪問を約束してくれていたのです(通常、ショールームは週2日の営業で、開店日以外はアポイントメント制)。JR新潟駅より車で20分ほど。新幹線の高架の下にどしんと構える白い倉庫。F/styleのおふたりの、仕事場兼ショールームは、ため息がこぼれるような、すばらしい空間でした。

友人のための買いものとして、「ゴムが入っていない ズレ落ちずしめつけない靴下」を。あまりに履き心地がいいので、一度試した人はみなリピーターに。

父の日や、何人かの友人にプレゼントしてきた「亀田縞の風呂敷」。すでに袋状に縫ってあって、持ち手を結ぶとバッグとして使えます。

犬とともに暮らす友人は、犬の模様のマットを購入していました。

服、調理器具、暮らしのためのあれこれ......。私たちが、まとい、味わい、住まうための道具たちが、ゆったりのびのび、背筋をのばして、ちょっと誇らしげに並ぶ様子に、ふーっと嬉しく笑みがこぼれたほど。すでに家で愛用しているものや、大切な人への贈りものに選んだものもあったせいか、はじめて訪れたとは思えないほど、愛着に満ちた景色でした。

もう少し台所道具を整頓したら、こちらの写真に写る蒸篭を買い足そうと思っています。

F/styleのおふたりおすすめのケーキを囲んでのお茶の時間を含めると、かなりの滞在時間。その間ずっと、気持ちが嬉しくて楽しくて。「なにを家に持ち帰ろう」「これは彼女へのプレゼントに......」部屋や人を思い浮かべながら、ショールームを何周もぐるぐる。

F/styleのおふたりがおすすめする「パティスリー ランプリール」のケーキと、コーヒーをいただきました。

おふたりから直接、そのものに宿る物語を伺えたのも貴重な体験でした。F/style製品の取り扱い店は全国にあります。ショールームではときどきイベントも開催されているというので、今度は地元の人が大勢集まるときにも伺ってみたいなあ。

新潟から東京へ帰る新幹線の中。抱えた荷物の重みが嬉しくて、家についてすぐ、疲れも忘れてすぐに荷解き。これからすぐに眠りにつくというのに、求めたニットに着替え、スゲの花かごを玄関に飾りました。

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