感謝とお礼はちがう
そんなことを教えてくれたのは、文字職人・杉浦誠司さんの著書『負けないで 心がすっと軽くなる30のことば』のなかで記された、杉浦さんの師匠の言葉でした。
何かをしてもらってはじめて、ありがとう。何かしていただいてはじめて、お返し。全部、何かをしてもらってからやないか。それはお礼だ。本当の感謝は、当たり前のことに手を合わせることなんだよ。
(『負けないで 心がすっと軽くなる30のことば』P12より)
私が思っていた感謝の気持ちは、ただのお礼だったのですね。言葉って、ほんとうに奥深いです。でもそう感心したのは私だけでなく杉浦さん自身も、師匠のこの言葉が心にストンと落ちたのだとか。そしてこのことをきっかけに文字職人として感謝の気持ちを伝える生き方がはじまったのです。
言葉のもつ力に励まされる
文字職人といっても、ただ文字を書くだけでは心まで伝わりません。杉浦さんがここまで話題の人になったのは、ひらがなを組み合わせて作られた漢字「めっせー字」が人々の胸を打ったからです。たとえば「ありがとう」が組み合わさり「夢」という字になったり、「あいしてる」が組み合わさって「幸」という字になったり。どれもその意味を深く考えさせられる作品です。
また本には心が軽くなるようなお話もたくさん書かれています。「嫉妬する相手は、なりたい自分」であるとか、「相手を励ます言葉は、自分へのエールになる」、また「幸せを願う気持ちが、人を幸せにする」といった、やさしさと強さを感じるエピソードたちです。どのページをめくっても、励まされる言葉ばかり。『負けないで 心がすっと軽くなる30のことば』は、言葉のもつヒーリング力を改めて知ることができる1冊です。
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