「消費」から「再利用」へと、人々の関心がサスティナブルへと動きつつある昨今。商業から離れたアートの世界にも、リサイクルの波を感じることがあります。なかでも、注目したいのが次のふたりのアーティストです。

古本を使って作る「Book Sculptures(本の彫刻)」

ひとりは、古本を利用したオブジェを作るイギリスのSu Blackwell(スー・ブラックウェル)。静かでありながら強烈な引力を持つ作品が魅力的です。

(c)Colin Crisford/「Treasure Island」

(c)Yeshen Venema/「To Kill a Mockingbird」

© Yeshen Venema/「The Lighthouse Keeper's Cottage」

(c)Yeshen Venema/「The Snow Goose」

(c)Yeshen Venema/「The Ice Maiden」

本の厚みをそのまま使って表現した波や、小高い丘。その上に生える木々や草花。本の森、文字の森に迷い込み、捕らわれた経験がよみがえるような気持ちになります。

メタルと木と苔で作るオブジェ

もうひとりは木やメタル、おが屑、そして苔を使ったオブジェを制作するÉmeric Chantier(エムリック・シャンティエ)です。

(c)Emeric Chantier/「GREEN CAR」

(c)Emeric Chantier/「GREEN HEART」

苔に覆われた銃口から伸びた緑や、苔の生えた心臓、胎児。その場だけ時が止まったように見える作品には、人の喜怒哀楽を越えた悟りを感じる一方、逆に内なる怒りを感じるようにも思います。

(c)Emeric Chantier/「FOETUS」

(c)Emeric Chantier/「FOETUS」

エムリック・シャンティエ自身、エコロジーを意識した作品であると述べています。

「(私のオブジェは、)『自然と人間との関係』に関するものです。私たちの起源を直視し、生命の源である《母なる自然》にエコロジカルな意識を持つこと、私が個人的に強い関心を持つことでもありますが、みなが意識しなければならないことだとも思います」

ふたりの作品はどちらも、リサイクルしたものを使うことで、作品のメッセージがよりクリアに密に表現されているようです。

もしかしたら、時を経ることで、素材はそれ自体が物語を背負うのかもしれない......と考えたりしています。

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