低年齢の子どもたち
まずは受動的喫煙。副流煙が健康に及ぼす悪影響については、すでに知られていること。それに加えてつい最近、Inserm(フランス国立保健医学研究機構)とパリのピエール・エ・マリー・キュリー大学の研究で明らかになったのは、「受動的喫煙が、低年齢の子どもの感情や行動にも影響を及ぼす」という事実です。5,200人の小学生を対象に、フランスの6都市の病院の協力を得て行った研究によれば、幼少の頃、副流煙に取り巻かれて育った子どもは、攻撃的になる傾向が高いのです。さらに、妊娠中から母親が喫煙していた場合、「子供の情動障害が現れる確率は21%」にも上ります。
原因は、もちろんニコチン。呼吸器官だけでなく、脳神経にも悪影響があると聞くと、何がなんでもタバコの煙から子どもを遠ざけたくなるのが親心。家庭内はもちろんのこと、公共の場でも、喫煙者が近くにいる所には、小さな子どもを長く置かないように気を付けたいものです。
プレアドの子どもたち
続いて思春期前、プレアドと呼ばれる時期(9~14歳)の子供で、気を付けたいのは、PC・タブレット・テレビなどの画面です。夜間、強い光を目にすると、大人でも睡眠障害を起こしやすいことは良く知られていますが、Journal of Clinical Endocrinology & Metabolismに載った最近の研究によると、特にこの影響を強く受けるのは、このプレアド期の子どもたちなのだそうです。
この年代の子どもたちは、夜間オフィス並みの明るさ500luxを浴びると、睡眠を誘発するホルモンであるメラトニンの分泌が37%も減るそうです。もう少し大きくなった思春期の子供の場合、減少するメラトニンは24%。その差が大きいことがよくわかります。また、薄明るいくらいの明かり15luxでは、思春期の子どもは全く影響を受けないのに対し、プレアドの子どもは、メラトニン分泌が10%近くも減ってしまいます。このことからわかるのは、アメリカのCarskadon教授が述べるように、
タブレットなどが放つどんなわずかな光でも、夜浴びると、睡眠サイクルに影響を及ぼす可能性がある
Le Parisienから翻訳引用
という事実。特にプレアドの子どもが画面を見る時間帯には、注意を払う必要があります。睡眠は子どもにとって何よりの成長剤。せめて入浴後は一切画面を見せない、というくらいの管理をした方がいいのかもしれません。
思春期の子どもたち
では、思春期に達した子どもたち(13〜17歳)に必要なのは何か? Psychological Scienceに発表された研究報告によれば、それはなんと「強い友情」なのだそうです。171人の子どもたちを13歳から27歳まで観察研究した結果、「思春期に、強い友情を結んだ経験を持つ子どもほど、大人になった時、心身ともに健康である確率が高い」とわかりました。研究者いわく、
思春期の子どもたちの社会生活は非常に濃密なもので、それを維持するには、多くのエネルギーが必要だ。それを考えると、(この研究結果は)友情と心身の健康がペアであることを示唆しているように思う。
Le Parisienから翻訳引用
とのこと。一生ものである心と身体のバランス作りは、思春期からはじまっているとも言えるかもしれません。
どれも、子どもの年齢にかかわらず気を付けたいことばかりですが、これらの最新報告を参考に子どもたちそれぞれの年齢ごとに、しっかりと、あるいはさりげなく、サポートする目安にしたいものです。
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