話題の映画『シンデレラ』。そのストーリーは広く知られていますが、作品では細部もていねいに描き、大人が見ても楽しめる作品に仕上がっています。舞踏会のシーンも素晴らしく、シンデレラのドレスは思わず見とれてしまうほど。

実はこのシンデレラのドレスについている蝶の飾りは、すべて日本人アーティスト・宮本遥香さんが制作しました。現在、イギリスをベースに活躍する宮本さんに裏話などを伺ってきました。

シンデレラのドレスの蝶は全部手作り

(c)Walt Disney Studios

――宮本さんは昔からものづくりに興味があったんですか?

子どもの頃から絵を描くのが好きでした。広島の自然の多い場所で育ったので、外に写生に出かけたこともあったんですが、その中には毛虫だけを大きく描いた絵もあったり(笑)。

――幼いころに毛虫のスケッチをしていた宮本さんが今回はシンデレラのドレスの蝶を手掛けることになったわけですが、お仕事は大変だったんじゃないでしょうか。

まず、衣裳デザイナーのサンディ・パウエルからは「黒は使わずに、できるだけ明るい色で」というリクエストがあったので、それに沿って60~70種類ぐらいのサンプルを作りました。

――そんなに!?

しかも、ドレスについている蝶はひとつひとつ違っていて、布も異なってるんです。染めるのは手作業で、蝶の羽の模様も手描きで仕上げました。最初はたくさんの蝶を作れるなんて夢のようだと思ってましたが、作業場が自宅ではなく、往復4時間かかる別の場所に変わってからは呑気でいられなくなりました。

友人の紹介から仕事が認められ、映画の世界へ

(c)Walt Disney Studios

――ご苦労されたんですね......。ところで、宮本さんがこうした仕事を始めたきっかけは何ですか?

学生時代に同居していた友人の紹介です。そのときに、小さな仕事でもできるだけ慎重に、クオリティを下げずに、いかに速く作業するかを心がけて全力を尽くしました。今でもそこで出会った同僚や上司が仕事の話を持ってきてくれるんですよ。

――いい仕事をした人には、そうやってつながりができていくんですね。今はイギリスで生活されているそうですが、海外での暮らしや仕事に苦労は感じませんか?

最初は言葉で困りました。聞き取りはできても、言いたいことがうまく表現できなかったんです。でも今は、夫のジョセフが私の大きな支えになっていて、仕事で不満があったとしても何とかなるだろうと思わせてくれています。

今後は絶滅動物や絶滅危惧種動物など、自然にまつわる作品を作り、世界で個展を開きたいと語る宮本さん。幅広い分野で仕事を続ける宮本さんが次に何を生み出すのか楽しみです。

宮本遥香さんプロフィール

1987年広島生まれ。19歳で単身渡英。ロンドン芸術大学へ進学。在学中、ファション、インテリア、アー ト、プロダクトデザイン等さまざまな分野でインターンを経験。卒業後はコスチュームデザイナー兼スタイリスト、Janine Cunliffeの紹介で映画『レ・ミゼラブル』の衣裳の飾り付け、帽子のデコレーションを担当する。翌年には映画『ワンチャンス』、『ジュピター・アセ ンディング』の衣裳・小物製作を手掛ける。また、レディガガ、ボランティス(空飛ぶ衣裳)の装置製作も行った。

[シンデレラ]

監督:ケネス・ブラナー

出演:ケイト・ブランシェット、リリー・ジェームズ、ヘレナ・ボナム=カーター

配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン

(c)2015 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

RSS情報:http://www.mylohas.net/2015/04/045796cinderella.html