鮮やかな赤色のこのペーストは、ポルトガルの伝統調味料「マッサ・デ・ピメンタオン」。フレッシュなパプリカを塩漬けにし、干して水分を飛ばすことで、濃くて深みのある味が生まれます。現地では味噌や醤油のような感覚で、さまざまな料理の仕上げや下味に使われているのだそう。
『MASSA(マッサ) パプリカでつくる美味しい調味料』の著者である栗山真由美さんは、ポルトガル料理を中心とする料理教室を主宰しています。はじめてポルトガルを旅した1998年にマッサに出合い、その味に夢中になったという栗山さん。以来、研究を重ねてたどりついた手作りマッサのレシピを、バリエーション豊かなメニューとともに紹介したのが本書です。
赤パプリカと塩だけで完成
マッサの材料は、赤パプリカと粗塩だけ。手順は下記の通り、1週間ほどの仕込みでできあがります。
手順1:赤パプリカに粗塩をまぶす。
手順2:重しをして1週間漬ける。
手順3:水気を拭いて半日から1日ほど干す(湿気の高い日は要調整)。
手順4:フードプロセッサーやミキサーにかけ、ペースト状にする。
手順5:瓶につめる。
清潔な保存容器で冷蔵すれば、1~2か月はもつとのこと。パプリカが旬を迎える4月~9月は、絶好の仕込みのチャンスです。
マッサのうまみでシンプルな料理が極上に
目玉焼きや豆腐にあわせるお手軽アレンジから、肉や魚を使ったメインディッシュまで、マッサの応用力には驚くばかり。砂糖で煮るジャムのような「甘マッサ」のレシピもあり、山羊のチーズに合わせるなど、パーティの話題づくりにぴったりの洒落たメニューもありました。
肉などは、マッサをもみ込んでしばらく置くだけで、柔らかく、うまみが増すのだそう。どのメニューも調理が簡単なのは、マッサそのものが持つうまみのおかげです。
赤パプリカの持つビタミンA、C、Eは、体の免疫作用の向上や生活習慣病の予防にも役立つとのこと。おいしくて健康にも良いポルトガル発の万能調味料、また新しい料理の世界を広げてくれそうです。ぜひ本書で、マッサの詳しいレシピをチェックしてみてくださいね。
(写真/野口健志)