4月25日(土)から公開になる映画『パパ、遺伝子組み換えってなぁに?』は、3人の子どもを育てる監督が、子どもたちの食の安全を守るため、食産業の裏側を追ったドキュメンタリー。
映画監督であるジェレミー・セイファートは、種が大好きな長男の影響もあって「遺伝子組み換え生物=GMO」に興味を持つのですが、そもそもアメリカでは表示義務すらなく、GM食品の存在自体がほぼ知られていないのが現状です。
この、遺伝子組み換え食品の謎を解くために取材の旅に出た監督。そこで、彼を待っていたものは? そして、遺伝子組み換え食品の真実とは?
急速に拡大する遺伝子組み換えの作物遺伝子組み換え技術とは、遺伝子暗号を解析し、ある特定の遺伝子の働きを、別の遺伝子に挿入して新しい性質をもった生物を作り出す化学技術のことで、安全であるという確証のないまま世界各国で認可が進められています。
たとえば、大豆、トウモロコシ、綿、小麦、さらにトマトやジャガイモといった野菜が、遺伝子組み換えの作物として世界で栽培されています。
「私たちにできることは?」監督にインタビューアメリカでは80%近くのあらゆる加工食品に遺伝子組み換えの作物が使われているにもかかわらず、表示は義務付けられていません。そのことに疑問を持った監督自らが立ち上がり、遺伝子組み換え作物企業NO.1のモンサント本社や、ノルウェーのスピッツベルゲン島にある最大300万種の種子を保存可能とされる冷凍地下貯蔵庫など、その謎を解き明かす旅に出ます。
真実を知るにつれて、どんな気持ちになったのか、監督にうかがいました。
「この映画は、誠意をもって真実を伝えようと思って作ったんだけど、いろいろとわかっていくにつれ、状況が深刻で、問題があまりに大きかったため、失望するというか、落ち込むことが多かったです。」
大手企業がコントロールをすることで、消費者が本当に安全なものを口にするのが難しい状況になっている。そんな世界を子どもたちには残したくはないんだ、と監督。
それは、アメリカだけで起きていることではなく、多くの作物を輸入するわたしたちの問題でもあると思うと、人ごとではありません。
「でも、種や生きものに興味がある長男が発した言葉に希望が見えたんだ。
『もし、みんなが、遺伝子組み換え作物を買うのをやめたら、お店も置かなくなる。そうすれば会社もなくなる。』って。何かを愛することのほうが、何かを憎むことよりも力強いんだ。反対することも大切だけれども、無駄なエネルギーを使うことになるので、世の中には、もっとステキなものがあると思うほうが、より少ないエネルギーで問題に立ち向かっていけますよ。」
確かにデリケートになりすぎて、いつもピリピリしていては疲れてしまいますし、すべてを避けることは難しいのが現実です。
それでは、今すぐにでも、私たちにできることとは?
「除草剤、人口肥料を使っていないオーガニックの作物を買ったり、家でお料理をしたりしてください。東京では難しいと思いますが、カイワレやミニトマトなど自分で種を買って食物を育てることもおすすめ。
必要なのは、変化を起こすこと。一歩一歩進めることが大事。今日からすべて食べ物を変える! となると大変で続かないので、少しずつやればいいんです。そうしたら、5年後には大きな変化が起きているかもしれません。」
現状をすぐに変えるのは大変だけれども、より多くの人たちが安全なものを求めることが大事。それならば私たちにもすぐ始められそうです。
いま口にするものが、未来を作る筆者は遺伝子組み換え作物について、映画を観るまで、正直、そこまで深く意識していませんでした。映画のなかの監督も、以前からオーガニックの生活を続けていたわけではなく、研究者でもありません。
そんな背景もあり、わたしたちと同じ目線で、遺伝子組み換えの謎を追求していく、その姿にはとても共感できました。
監督が言ったように今すぐに変化が起きるわけではないけれども、映画を観たことで、少しでも意識が変わる。
今、口にしているものが、未来を作る。だからこそ、ストレスなく手軽に安全なものを口にできる環境にしていきたいものです。観終わった日から、食事に対する意識が変わりそうな作品です。
監督:ジェレミー・セイファート
出演:ジェレミー監督のファミリー、ジルエリック・セラリー二、ヴァンダナ・シヴァ
配給・宣伝:アップリンク
2015年4月25日(土)より、渋谷アップリンク、名古屋名演小劇場ほか全国順次公開
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