オーストラリア人のシャンタヌ・スタリックさんは、世界中を旅しています。目的は北極・南極をふくめたすべての大陸制覇。彼が2012年からはじめた旅は「ピクセル・トレード(The Pixel Trade)」と名付けられ、現在も進行中です。
建築を勉強し、建築物専門の写真家として活躍していた彼。もっと世界のあちこちを見てみたい。大好きな写真を撮ることに集中したいと思いあるアイディアを思いつきます。それは、彼に写真撮影を依頼する世界中のクライアントのもとに出向き、報酬をお金ではなく、ちがった形でもらうこと。
旅で得た大切なもの彼に仕事を依頼する人は、彼を自宅に招きいれ、仕事が終わるまで彼の面倒を見るというシステム。そのかわり、彼は現金を受けとらないのだといいます。
この活動を通じて気づいたことがあります。お金というものが人間関係に大きな影響を与えているという事実です。僕の場合、クライアントと金銭的なつながりを除いたら、友人関係が残りました。自分の仕事を気に入って予約してくれる人たちも、そんな真の「友達関係」を求めているのかもしれません。
「Die Zeit」より引用
しかし、彼のクライアントも赤の他人には変わりません。他人との共同生活は緊張の日々でもあります。そんななか、彼はもうひとつのものを手にいれました。
自分のことをもっと深く捉えられるようになったのです。ささいなことも自分で考え、いろんな感覚を使って大切に、意識的に考えるようになりました。
「Die Zeit」より引用
旅はドキドキの連続。出かけることであえて、「外からみた」自分の故郷や家族のことを大切に思えてくるのもたしかです。人とのつながりも、旅が終わったときに本当の意味をもつのでしょう。