日本は「木の文化」の国。普段とくべつに意識することもないほど、木は私たちの生活にとけ込んでいます。

そんな木を使ったおもちゃに、日本伝統の技や形を子どもたちにやさしく伝えてくれるものがあります。それは、木のおもちゃ工房 アトリエ倭コマや積み木。一見素朴なおもちゃに、自然を敬う先人たちの思いや技術が詰まっています。

今回は、その思いをとくに感じられるおもちゃをご紹介します。

「くで」

「組手(くで)」という技を使った薄い板状のブロック。いろんな形につなぎあわせることができますが、湿度の高い日が続くと木が水分を含み、つなぎ目で組み合わせることが難しくなります。でもそんな日にはほかの遊び方が。ブロックの表と裏で色が違うことを利用してオセロ遊びをしたり、おはじきのようにはじいて遊んでも。そして、お日様が顔を出せばまた元通りのブロック遊び。木を通して、お天気と遊び方の相談をしているみたいですね。

「はっぱ」

正六角形を基本とし、そこに薄く削った木を組み合わせる事で紋様を描き出していく技、亀甲。この亀甲に使用する薄く削った木のことを「はっぱ」と言います。はっぱでつくる模様は亀甲のほかにも麻の葉模様などさまざまなものが。いずれも魔除けや願い事を込めたもので、それらをあしらったコマはどれも凛として美しく、贈りものにも喜ばれます。驚くほど回る時間が長いのは木工技術の高さの現れ。コマ相撲をしたり、回る模様の変化を楽しんでもいいですね。

「ちぎり」

契(ちぎ)り」とは、板が割れるのを防いだり、板同士をくっつけるときに入れるクサビのこと。この建築技法を取り入れた木目の美しい積み木は、ただ積み重ねるだけでなく、ちょうちょ型のちぎりを使ってブロックを多方向につなげることができます。お子さんが小さいうちはちぎりを使わずに単に積み木として使用、大きくなったらパーツを渡してステップアップ。できることが一気に広がります。

楽しく遊んだ思い出のなかに、日本の伝統が生きていく

大人が思うより、子どもはいろいろなことに気がつきます。「積み木がふくらんじゃった! 積み木に雨が入っちゃったの?」「この木のシマシマつながってるよ!」などといわれて、こちらが驚くこともたびたび。いずれも、コンセントもスイッチもないシンプルなおもちゃ。だからこそ、どうやって遊ぼうかと自由に考えることができます。お天気など周囲の状況を感じとり、そのなかでできることを考え出す。そんなことが遊びながら身に付きます。

子どもたちに日本の伝統文化を伝えることは、とても大切なこと。これらの木のおもちゃは、上から教えるのではなく、ふんわりと心に残ってくれます。日本の伝統が、木を通して子どもたちに、やわらかにやさしく伝わります。

木のおもちゃ工房 アトリエ倭

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