一目見て、キュンとしてしまったクマのぬいぐるみ「あいくー」。ちょっととぼけた表情がたまらなくかわいい! 見上げる瞳は、なにかを語りかけているようです。
あいくー 高さ約13.5cm×横幅7cm/2,600円(税込)
今年1月には、パリの見本市「Maison et Objet 2014」に出展し高評価を受けました。ゆるっとしているように見えて、その存在感だけでなく、品質においてもパリのバイヤーを納得させた実力派なのです。小さな体で、座ったり立ったりするんですよ。
使われている生地は、福島県会津地方に伝わる伝統工芸・会津木綿。和の雰囲気を漂わせる生地も「あいくー」の個性のひとつです。「あいくー」の生みの親は、東日本大震災により、会津若松に避難を余儀なくされた大熊町の女性によるグループ・會空(あいくう)。その名は、会津からもつながっている帰れない故郷の空を想い、名付けられました。
お情けでなく、本物を震災から3年以上経った會空の皆さんの今が知りたくて、会津若松の工房に、代表の庄子ヤウ子さんを訪ねました。スタート当初から変わらぬ4人のメンバーと手仕事を続けている庄子さん。會空のこれからを伺うと、事業を拡げることは考えていないそう。
だって、それが目的じゃないから。今いるメンバーが納得して、楽しくやっていくことが大事です。
一方で、品質管理はより厳しく高いレベルを目指しているのだそう。その言葉からは、被災者の作ったものだから、ではなく、無条件で「欲しい!」と思ってもらえるものを作る、"仕事"として向き合う姿勢がが感じられました。
悔しさを強さに変えて立ち止まるのではなく、前へと進むことを選んだ庄子さんと會空の方々。その原動力は、不条理にすべてを奪われた「悔しさ」だと言います。私たちが想像しえないつらい経験をしてきたはずなのに、その手から生まれる「あいくー」をはじめとしたキャラクターは、いつも穏やかに愛嬌をふりまいています。
ひとつひとつ縞模様が違うしまくー 高さ約16cm×横幅約8cm/2,600円(税込)
ちょっと小柄なしまくま 高さ約11cm×横幅約3.5cm/1,980円(税込)
悔しさから生まれたのに、なんでこんなに癒されるんだろうねって言われるのよ。(庄子さん)
「あいくー」の顔を見ていると、何があっても「大丈夫だよ」と言われているように感じられます。庄子さんの「この子たちはね、語るのよ。ひとりでどこへでも行ってつながりを広げちゃうの」の言葉にも納得です。