就眠儀式という言葉、ご存知ですか?
「床に就く前にいつも決まってすること」という意味です。 パジャマを着るとか歯を磨くとかも儀式かもしれませんが、私は「自分を眠りに誘うためにすること」というふうに捉えています。
音楽を聴いたりアロマを使ったり、人それぞれだと思いますが、多いのは「本を読む」ではないでしょうか。
感情を整理し、精神を安定させる"絵本読み"
だれもが子供のころ、親に絵本の読み聞かせをしてもらったことがあるでしょう。読み聞かせは子供の就眠儀式にはピッタリなのです。父母が自分のために時間を割き、寄り添って絵本を読んでくれることに、子供は愛を感じます。そういう安心感と幸福感が睡眠には最高の薬なのです。
そして、リラックスすることで副交感神経が優位になり寝付きがよくなると、睡眠の役割の一つ、感情を整理し精神を安定させる脳内の作業もしっかり進められるわけです。
朗読で寝つきがよくなる人もそんな癒し効果は、大人にも有効。
私は就眠儀式としての朗読セミナーを開いたことがあります。参加者は自分が一番癒されると思うテキストを選び、心を込めて朗読しました。
その後、参加者の一人から「毎日寝る前に朗読をして心を落ち着かせるようにしたら、良く眠れるようになりました」と報告がありました。また、朗読するうちに上達していくのも楽しみだそうです。セミナーではエッセイなどの部分をテキストに使いましたが、絵本にしてみれば、通常の本のように続きが気になって眠れない......ということもなく、視覚的にも癒し効果は増すようです。
おやすみ前にお気に入りの絵本で心を落ち着かせる最近の絵本は大人の鑑賞に堪えうる芸術性のある作品が、たくさんあります。夜や眠り、夢などを取り上げたものを選ぶと、一層、寝つき効果が出るかもしれません。
私は図書館で夜や眠りを題材にした絵本を調べたことがありますが、意外にたくさんあってびっくりしました(大人の本では非常に少ない)。
ファンタステイックな創作絵本、思わず微笑みのこぼれる童画のもの、宇宙や夜空を扱ったサイエンス系のものなど様々です。
読書の秋です。ちょっと図書館にでも出かけて、夜の朗読本を探してみませんか。
【今月のねむまめ】
何冊も買わなくてもお気入りの絵本を一冊、おやすみ前に眺める習慣をつけるとベッドに入るのが楽しくなるかもしれません。
「かようびのよる(徳間書店)」は大人にもファンが多い絵本作家ウィズナーの一冊。文字数が少ないので絵を楽しみながらゆっくり噛み締めるよう読んでみて。「終わらない夜(ほるぷ出版)」は大人も楽しめちょぴりシュールなアート絵本。画集のように楽しめる一冊です。
また、秋の行楽ついでに絵本美術館で素敵な絵本を見つけるのも◎。中でもゆっくりすごせるおすすめの美術館がこちら。
・「絵本美術館 森のおうち」......安曇野の森林に囲まれたコテージのような佇まい。絵本はもちろん喫茶店もあるのでゆっくり過ごせます。
・「軽井沢絵本美術館」......こちらも森の中にある美術館。欧米の絵本を中心に、近・現代に活躍する作家の絵本原画、初版などの本資料まで楽しむことができます。四季折々の企画展も魅力です。
「かようびのよる」
出版社:徳間書店
作・絵:デイヴィット・ウィーズナー
訳:当麻ゆか
価格:1,470円
「終わらない夜」
出版社:ほるぷ出版
文:セーラ・L・トムソン
絵:ロブ・ゴンサルヴェス
訳:金原瑞人
価格:1,680円
[絵本美術館 森のおうち]
住所:長野県安曇野市穂高有明2215-9
TEL:0263-83-5670
営業時間:9:30〜17:00(最終入館16:30)※2月のみ9:30~16:30(最終入館16:00)
観閲料:大人 700円,小学生 500円,3才以上 250円
アクセス:安曇野IC(豊科IC)より約20〜30分,JR大糸線の穂高駅または有明駅下車、タクシーで10分
[軽井沢絵本美術館]
住所:長野県北佐久郡軽井沢町長倉182(塩沢・風越公園)
TEL:0267-48-3340
営業時間:3~11月 9:30~17:00,12~1月 10:00~16:00(入館は閉館時間の30分前まで)
入館料:大人900円(3、4、11~1月は800円),中高生500円,小学生以下無料
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photo by Thinkstock/Getty Images
(橋爪明子)