フランスでは、毎年9月の第3週末が「欧州文化遺産の日」。大統領公邸や大統領府など、普段は入ることのできない施設や文化遺産の建物が無料で一般公開されます(一部有料)。1984年から毎年行なわれてきたこの行事ですが、今年は9月14、15日がそれにあたります。一度も入ったことのない国の建物や美術館の一室に入れる貴重なチャンス。
モン・サン・ミッシェル
今年のテーマは「1913年から2013年の100年の歴史的モニュメント」。そもそも、美しい町並みが長い歴史を越えてそのまま残っているようなフランスの景観ですが、これは、1913年の年末に制定された「歴史的モニュメント制度」が大きな役割を果たしました。以降、国によって保護し、修築してゆくべきものとして指定された建物が増え、都市計画の重要な要ともなっているのです。
パンテオン
9月14日、15日の2日間は、使われなくなった駅、アールデコ洋式の美しい市役所など、改めて街の文化遺産を愛でられるというわけです。なかでも、フランスの首都パリには重要な建物がたくさん。とくに人気なのは、現在大統領官邸にあたる「エリゼ宮殿」。古くはルイ15世の妾・ポンパドール夫人、ナポレオン1世の妻・ジョゼフィーヌなども住んだことがあり、この日は何時間もかけて行列を並ぶ人も続出するほど。
有名どころでいえば凱旋門、コンシェルジュリー、パンテオン、サント・シャペル、ノートルダム寺院などが、朝から夕方まで一般公開されます。また、歴史的な建物で数々のスペクタクルが予定されているというから、この2日間は思いっきり文化に浸れる週末を過ごせます。
サント・シャペル
オルセー美術館から見たサクレ・クール寺院ほか
ちなみに、2012年にはフランス全国で約1万6千箇所が公開され、1,200万人もの人が訪れたのだそう。このようなイベントが人々に景観を守る意識を与え、ヨーロッパの古い町並みが美しく保存され続けるのかもしれません。
[Journées du patrimoine]
photo by Thinkstock/Getty Images
(下野真緒)