ヨガは本来、瞑想するための行法といわれています。「瞑想」と聞くと、なんだかとっつきにくい印象もありますが、平たくいうと、"暴れまわるココロを上手に制御する"方法。
磨けば磨くほど、五感は研ぎ澄まされる瞑想を続けていくと、心身に安らぎと持久力をもたらし、そしてしだいに五感が研ぎ澄まされていきます。その「感覚センサー」は、筋肉とは異なり年齢の影響を受けないので、磨けば磨くほど、研ぎ澄まされていくという優れモノ。
古今東西、その効果の魅力に引かれた数多くのミュージシャンや、アーティストも瞑想を実践していますが、なかでも、アメリカの映画監督デヴィッド・リンチ氏は、「映画を生み出すアイディアの源は、毎日の瞑想にある」というほどの瞑想愛好家。瞑想歴は30年以上で、自身のアートライフと、瞑想の関係性について語った『大きな魚をつかまえよう』という本を出すほど。
多くの人を魅了してやまない瞑想ですが、一般的にはちょっとマニアックな印象もあるかもしれません。そこで、瞑想のからくりを、海に喩えてご紹介してみましょう。
心を鎮め、インスピレーションをキャッチする瞑想まずは、大海原をイメージしください。
その海に船を浮かべ、海底からこぽこぽと湧きあがる泡を見つける実験をします。
海面が穏やかであれば、海底から湧きあがる泡を、簡単に発見できますが、強烈な気圧と暴風によって、大きな波が押し寄せ、海面がしぶきを上げている状態では、その泡は見つかりません。
しかし、どんなに海面が荒れていても、海水に深く潜ると、外界の影響がない、静かで穏やかな深海に出会います。ここが人間の潜在意識といわれる場所。海底からこぽこぽと湧きあがる泡は、純粋なインスピレーションで、心の声。
様々な行法により、ヨガは、海面である荒れやすい感情を鎮めます。そして海底深く潜り、インスピレーションという泡をキャッチするのが瞑想です。
初心者も実践しやすい、ロウソクを使った瞑想法瞑想の目的はひとつでもその道のり、アクセス方法はいろいろありますが、ファーストステップとして、初心者でも実践しやすいやりかた、ここでは道具(ロウソク)を使った瞑想法をご紹介していきましょう。
"Tratak(トラタク)"とは「凝視」の意味。ハタヨガにおける浄化法のひとつで、ロウソクの炎を見つめ、心を鎮める瞑想法。
ロウソクの炎など、ひとつの対象物に視線を集中することで、休みなく動いている眼球の動きが止まり、それに伴い忙しい思考も停止。「今この瞬間」に留まることで、深い集中力を生み、心身に安らぎをもたらします。
昔から、暖炉やキャンプファイヤーの炎を見つめると心身が安らぐように、炎は人間をリラックスさせる働きを持っています。また、目の疲れや視力回復にも効果があるので、目を酷使する現代人におすすめの瞑想法です。
5分でOK! 「トラクタ瞑想」
1.リラックスした状態で座り、1~2m離れた場所にロウソクを置く。(できれば、ロウソクはテーブルなどの上に置き、目の高さと平行に保つ)
2.ロウソクに炎をつけたら、炎に視線を集中。自然な呼吸を繰り返しながら、心身を落ち着かせる。
3.しばらく炎を見つめた後、目を閉じて、炎の残像を心の目で見つめる。
4.残像が消えたら目を開き、再度ロウソクの炎を見つめる。(これを数回繰り返す)
5.最後に目を閉じた状態のまま両手をこすり合わせ、手のひらに摩擦熱を感じたら、両手のひらでまぶたを軽く覆い、眼球を温める。
6.目を覆ったまま瞬きを繰り返し、手のひらの中でゆっくりと目を開く。
♦部屋の明かりを消して炎の明るさだけにするとより集中しやすい環境が整います。
♦はじめから頑張らず、3~4番の工程は1分程度の短い時間から実践していき、徐々に時間を長くしていきます。
わたしはアーティストじゃないので、インスピレーションは必要ないかも......と思われる方、飛び回る感情を鎮めて、潜在意識にアクセスするという行為は、本来の「今なすべきこと」をしっかりと見据え、その目標に向かうための精神力と集中力を養います。
いいかえれば、瞑想は"本当になりたい自分になる"ための自己実現法。自分の可能性を最大限に活かし、自分らしい人生を生きていくということ。はじめの一歩は、たったの5分でOK。毎日の暮らしに瞑想を取り入れて、自分改革してみましょう!
(村上華子)