ひと口にヨガといっても、運動量の多いものから、精神性を重んじるものまで、現在では様々なスタイル(流派)がありますが、世間でいわゆる"ヨガ"として親しまれているものは「ハタヨガ」と呼び、それは最古のヨガ「ラージャヨガ」の後に誕生したスタイルと言われています。
自分の内面を探求する「ハタヨガ」
胡坐(あぐら)で座り、ひたすら瞑想によって精神(心身)統一を行う、ストイックなアプローチのラージャヨガに対して、ハタヨガは自分の体をひとつの道具と考え、ヨガのポーズや呼吸法などのテクニックを使いながら、全身の気を巡らせることで心身を浄化し、自分の内面を探求するというもの。
しっかりと体を使い、ダイナミックな動きに集中するハタヨガのシステムが、心身統一を促し、健康維持や美容にも効果的といわれる由縁。
そして、サンスクリット語で、ハタヨガの「ハ」は太陽(陽エネルギー)、「タ」は月(陰エネルギー)という意味を表し、陰と陽、精神と肉体、吸う息と吐く息、自分と宇宙など、対になるものを互いに影響し、バランスよく調和することも目指します。
ちなみに、ヨガスタジオに行くとアシュタンガヨガや、シバナンダヨガ、アイアンガーヨガなど、色々なクラスの名前を耳にしますが、それらはハタヨガから派生した流派。喩えていうならば、ハタヨガという1本の太い幹があり、徐々にヨガが進化していく過程で、枝葉のように個性豊かな流派が広がり、1本の大きな木が茂っているイメージです。
8万4000種類もあるヨガのポーズ
また、ヨガのポーズは最多で8万4000種類とも言われていますが、一般的なものを挙げると大体80種類前後。それらには、物、植物、両生類、動物、魚、胎児、鳥、聖者、神様のネーミングがつけられており、ポーズを行うことでその形の真意を現しています。
例えば「コブラのポーズ」なら、腹這いの状態から鎌首(かまくび)を上げ、獲物を狙うようなイメージで行うことで、その動物の強さを自分のものにできると考えられてきました。
コブラのポーズ
ヨガの基礎となるポーズには、地を這う動物や両生類など、生命力に溢れた生き物がモチーフになっていることが多く、難易度の高いポーズになると、孔雀や聖者、王様といった優雅さを伴っていきます。
ヨガでは"心身一如(心と体は本来ひとつ)"という東洋思想の言葉を大切に扱っていますが、ヨガのポーズにはまさに、その特徴をイメージしながら行うことで、心も一緒にポーズを行う効果があります。
心と体、そして呼吸をひとつに合わせることで、より深い調和が育まれ、自分らしい、いきいきとした人生を歩むことに繋がります。みなさんもぜひ、ポーズそのものになりきって、ハタヨガをお楽しみください!
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(村上華子)