料理家・松本日奈さんが、台所を中心にまわる日常や「おいしい」に関わるモノやコト、台所仕事の負担を軽くして楽しいものにかえる“ひと工夫”をつづる連載「テーブルに ひと工夫」。

今回は「エプロン」のお話です。みなさんは日ごろエプロンをつけていますか? つける派とつけない派に分かれますよね。

紐をきゅっ。気合を入れて、今日もキッチンへ

連載の4回目で、お気に入りの調理道具をご紹介しましたが、私にとってエプロンも「さて、キッチンへ向かおうか」と背中を押してくれる存在。大学時代、化学実験をするときに白衣を羽織って気持ちにスイッチを入れていた、 そんな感覚を思い出します。

エプロンをつけるだけでじわじわと料理モードになり、紐を腰に巻くタイプのものであれば、最後は少しきつめにキュッと締めて「よしやるかーっ」と気合を入れます。

軽くてガシガシ洗えるリネン素材がおすすめ

リトアニアンリネンのフルエプロン。汚れも落ちやすく、気兼ねなく洗えるのもお気に入りのポイント。洗い替えに何枚か持っています。

最近は、エプロンのカラーやデザインのバリエーションも豊富なので、選ぶのも楽しみのひとつ。エプロンをつけたまま、買い忘れたものをちょっとそこまで調達に出られるぐらいのおしゃれ感もあるといいですよね。

私はふだんの服にベーシックな色を選ぶことが多いので、たまにパープルや淡いピンクのエプロンをつけると、生徒さんに好評をいただきます。あとは、思い切って白を選ぶと、背筋がぴんと伸びる感じ。白いエプロンは清潔感もあって、料理上手に見えますよね(笑)。

素材はもっぱらリネン。つけていないみたいに軽いので、首凝りと肩凝りに悩まされている方にはおすすめです。

私のお気に入りは、リトアニアリネンのもので、しなやかで軽く、使い込むほどに柔らかく体になじんできます。ガシガシと洗えて、パンっとシワを伸ばして干せばきれいになるところも、アイロンがけが苦手な私には大事なポイントです。

すっぽりかぶるタイプと、紐で結ぶタイプを愛用。服は同じでも、エプロンの色やデザインでで雰囲気はがらりと変わりますよね。

デザインは、胸からひざ下までを覆うフルエプロンを選んでいます。腰から下を覆うタイプも素敵ですが、胸あてがあると、油や水はねを受け止める安心感のおかげで、心おきなく作業ができます。

数枚持っておいて、その日の気分や作業内容にあわせて色やデザインを選ぶのもいいですね。

年末年始に向けて、新調するものリストを作成する方も多いと思います。ぜひそのなかに「エプロン」を入れてみてはいかがでしょう。台所に立つのがちょっと楽しみになる、そんな力をエプロンは持っていると思います。

松本日奈(まつもと・ひな)
料理家。北イタリア留学中に現地の料理人やマンマから料理を学ぶ。オリーブオイルや白バルサミコなどの調味料を使い、シンプルで素材を生かした家庭料理を提案。レシピ開発やケータリング、ひな弁と活動の幅を広げる。自宅などで開催する料理教室は毎回キャンセル待ちになるほどの人気ぶり。目黒区鷹番にある食材店「ラ・プティット・エピスリー」を営む夫、ふたりの娘、愛犬と暮らす。インスタグラム

写真・文/松本日奈

RSS情報:https://www.mylohas.net/2021/12/table_13.html