早くも重版となり、話題を呼んでいる白崎さんの新刊『白崎茶会の発酵定食 体にやさしい献立と作りおき』(マガジンハウス)を手がかりに、“いいことずくめ”の発酵の世界に親しんでみませんか?
メイン、副菜、汁物まで。「発酵定食」が簡単に作れる
オーガニック料理教室「白崎茶会」を主宰する著者・白崎裕子さんぬか漬け、みそ、塩麹、甘酒など、昔ながらの発酵食にはメリットがたくさん。以前は「なるべく取り入れよう」という意識でいましたが、感染症の不安が高まるにつれて、免疫アップのためにも「もっとたくさん発酵食を食べたい」と思うようになりました。
そこで手にとったのが、春夏秋冬の「発酵定食」が全26献立、100品も提案されている本書。メイン・副菜・汁物まで「発酵食」でカバーできるという、体を整えたいときには打ってつけのレシピ集です。
(発酵食は)シンプルな材料と作り方で、長時間コトコト煮込んだような味わいや、複雑な調味料を合わせたような風味、ルウを使ったようなコクやとろみも、あっという間に作れます。それは、発酵食が「旨味」「甘み」「香り」「とろみ」など、おいしい味に必要とされているものを、最初から持っているから。
これはすごいことですよね。料理が勝手においしくなってくれるので、家族はもちろん、作る自分もちょっとびっくりします。
(『白崎茶会の発酵定食 体にやさしい献立と作りおき』2ページより引用)
まずは味のベースとなる「発酵ストック」を作り、それを使ってメイン・副菜・汁物が揃った「発酵定食」を作るというのが本書の流れ。「発酵ストック」はみそ、甘酒、塩麹などの発酵食に野菜や調味料を加えて簡単に作れるものが多く、想像以上に「手間いらず」というところも魅力です。
魚も鶏むね肉もふわふわに。応用自在の「発酵玉ねぎペースト」
本書の冒頭に登場するのは、材料3つで手軽に作れる「発酵玉ねぎペースト」。冷蔵庫に残っていた玉ねぎで早速作ってみました。
材料
玉ねぎ……1個(200g)
塩麹……100g
酢……小さじ2作り方
1.玉ねぎをすりおろす。
2.すべての材料を入れてよく混ぜる。(『白崎茶会の発酵定食 体にやさしい献立と作りおき』15ページより引用)
工程はたったこれだけ。あっという間に完成したペーストを試食してみて、その濃厚な旨味に驚きました。塩麹のおかげなのか、玉ねぎの甘みが際立って、これだけでなめたくなる力強いおいしさ。辛みがとれているのは酢のおかげで、保存もきくといいます。
このペーストを使って作る定食は、「鮭のふわふわオニオンソテー」「発酵玉ねぎスープ」「発酵玉ねぎドレッシング」の3品。鮭はしっとりふわふわ、スープはほんの少ししか塩を入れていないのに滋味深い味わいで、ふだんは濃い味好きの家族も「これはこのままでおいしい」と喜んでくれました。
「発酵玉ねぎペースト」はパサつきがちなタラやメカジキ、鶏むね肉なども、漬けておくだけで「ふわふわしっとり」にしてくれるそう。カレーやポテトサラダに入れたり、大さじ2杯のペーストに水1カップを加えて即席スープの素にしたりと、応用も自在です。
ピクルスには「みりん」を。砂糖いらずの定食メニューが嬉しい
本書には玄米みそや塩麹を手作りする方法も紹介されていますが、すべての発酵食を手作りする必要はないと白崎さん。市販のものにひと手間加えるだけで、いろいろなおかずに展開できる「発酵ストック」を作ることができます。
また、甘みがきいていてご飯の箸休めにも合う「みりんピクルス」など、定番の発酵調味料の意外な使い方を教えてくれるのも嬉しいポイント。みりんと同量の酢を合わせて煮切り、しょうゆとにんにく、ローリエで風味を加えたピクルス液は簡単でおいしく、我が家の定番になりそうです。
お米に合うおかずは砂糖を使うものが多いのが気になりますが、本書のレシピには砂糖・卵・乳製品・小麦粉が一切使われていないので、食べ過ぎた翌日のケアにも最適。「発酵定食」の楽しくも奥深い世界に、すっかりはまってしまいそうな予感です。
1,540円
写真提供/マガジンハウス