今年の汗が「クサい」わけ
夏日が続いたここ数日、久しぶりに“自分の汗のニオイ”が気になったという方も多いのではないでしょうか。
五味先生によると、なんと今年の汗は例年以上にクサくなりやすく、注意が必要とのこと。新型コロナウイルス対策のために、外出自粛の日々が続いていたことが要因です。
五味先生 :
巣ごもり生活により例年より汗をかく機会が少なく、汗腺機能が落ちている可能性があります。その結果、ニオイの元となる成分濃度の濃い汗が出やすい状態になっています。
さらに、家にいることによる運動不足も汗のニオイにつながると五味先生。
五味先生 :
運動不足による筋力低下で血行が悪くなり足がむくむと、足にアンモニアが溜まりやすくなります。溜まったアンモニアは汗として排出されるので、ニオイのきつい汗となります。
「足クサ注意報」発令!
これからの季節、五味先生がとくに気をつけてほしいと話すのは、足裏の発汗がもたらす「足のニオイ」です。
五味先生 :
足のニオイは、垢と脂質が混ざったものを細菌が分解して作り出します。この細菌をすみやすい環境にするのが汗なのです。
足の裏は手の平や額と並んで、最も汗腺が集中した場所で、1センチ平方あたり300近くある汗腺から多量の汗が出ます。さらに汗はアルカリ成分を含み、細菌が活動しやすい環境を作り出します。
また、足はどこよりも角質層が厚く、大量の垢、つまり細菌にとって大量のエサがある場所なのです。
外出自粛中の運動不足を経てひさびさの出勤、パンプスを履くのは久しぶり……こんなときは要注意。
あまり歩かない生活から久々にパンプスや革靴などを履いて歩くと、体を支える足の裏のバランスが崩れます。その緊張やストレスから起こる精神性発汗で、足汗を大量にかいてしまう可能性があるそう。
通勤に加えパンプスもストレスの種になり、“足クサ”の原因になってしまうとは。しかも女性の場合、ストッキングをはくと汗が蒸発できずに足にとどまり、さらにニオイを生み出しやすくなるといいます。
ニオイを気にするほどクサくなる
五味先生によると、ストレスによる精神性発汗は、「ニオイを気にするとさらに汗をかいてしまう」という悪循環に陥りやすいとのこと。
五味先生 :
悪循環を予防するには、出かける前にしっかりと足汗対策をして、自信をつけておくことが重要。足汗のニオイを抑える作用があるミョウバン入りの制汗剤がおすすめです。
「もしかしてクサいかも?」と心配になる前に、制汗剤などでケアしておけば安心。負のスパイラルを防ぐためにも、例年よりちょっとていねいな汗ケアを心がけるとよさそうです。
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五味常明(ごみ・つねあき)先生
五味クリニック院長。体臭・多汗研究所所長。1949年長野県生まれ。一ツ橋大学商学部、昭和大学医学部卒業。昭和大学形成外科、多摩病院精神科などを経て、「心療外科」という新しい医学分野を提唱。体臭・多汗治療の現場で実践。テレビや雑誌でも活躍中。著書・監修本も多数。
文/田邉愛理、企画・編集/寺田佳織(マイロハス編集部)、image via shutterstock