食べすぎ・飲みすぎ・風邪で消化不良&食欲不振。何を食べればいい?
年末年始は忙しく、食生活も乱れがちなうえ、つい食べすぎ・飲みすぎてしまうことも多くなります。さらに風邪やインフルエンザなどの流行も重なり、胃腸にも負担がかかる季節です。
まずは胃を休ませ、胃もたれ、むかむかするなどの症状が治まってきたら、栄養価が高く胃腸にやさしい食事をとりましょう。夜遅い食事は控え、体を温めることも大切です。
今回は、疲れた胃腸を労わりながら回復を促すおすすめの食べ方をご紹介します。
摂りたい栄養素
糖質……エネルギー源となる。 タンパク質……体を作るもとになる。免疫機能を高める。エネルギー源となる。 ビタミンB1、硫化アリル……糖質の代謝を促す。硫化アリルはビタミンB1の吸収を高め、抗菌作用もある。 ビタミンB2……糖質・タンパク質・脂質の3大栄養素の代謝を促す。 ビタミンC……免疫力を高める。お酒を飲むと多く消費されるので補給が必要。 クエン酸……疲労回復を促す。酸味で食欲増進。 ビタミンU……キャベツから発見されたのでキャベジンとも呼ばれ、胃酸の分泌を抑え胃腸粘膜の修復を促す。 消化酵素(ジアスターゼ、アミラーゼなど)……消化を促す。※体を温める食材や水分をとり、消化に時間がかかる脂質や食物繊維は控えめに。
おすすめ食材
米(粥)、そば、うどん、そうめん、春雨など脂質の少ない糖質食品……糖質 白身魚、豆腐、鶏ささみ、しらす干し、えびなど脂質の少ないタンパク食品……タンパク質、ビタミンB1、B2 ネギ、玉ねぎ、ニラ……硫化アリル 白菜、春菊、トマト、ピーマン……ビタミンC キャベツ、パセリ、セロリ……ビタミンU(キャベジン)、ビタミンC みかん、ゆず、すだち、レモンなど柑橘類……ビタミンC、クエン酸 大根、かぶ、れんこん……消化酵素(すりおろして生食するとよい)、ビタミンC 山芋(長芋、やまのいも、自然薯)……消化酵素(すりおろして生食するとよい)。ビタミンB1 梅干し……クエン酸 しそ、パクチー、しょうが……体を温める作用。解毒、抗菌作用。管理栄養士の胃腸にやさしいおすすめメニュー
以上をふまえた「一汁一菜レシピ」をご紹介。旬の野菜で手軽に作れ、胃腸にやさしいおすすめのメニューです。弱っているときこそ、和食が身に沁みます。
撮影/中村美穂白菜と鶏ささみのくずたたき汁
くずたたきは、葛粉(ここでは片栗粉)をまぶすという意味で、ささみや白身魚などに片栗粉をまぶしてだしで煮て、つるんとした食感にした料理のこと。
<材料:2人分>
鶏ささみ 110g(2本) 酒 小さじ2 塩 少々 片栗粉 大さじ1 白菜 150g にんじん 1/4本 だし汁 400ml 薄口しょうゆ 小さじ2 ゆずの皮 適量<作り方>
ささみは筋を除き、ひと口大のそぎ切りにし、酒、塩、片栗粉をまぶす。白菜は3cm大程に切る(芯はそぎ切りにする)。にんじんは短冊切りにする。 鍋にだし汁、にんじんを入れて煮立たせたら、白菜の芯を入れ、ささみを重ならないように入れて、色が変わるまで煮る。白菜の葉を入れやわらかくなるまで煮て薄口しょうゆを混ぜる。細かく刻んだゆずの皮をちらす。春菊と豆腐の梅昆布和え
薬膳の考え方では気の巡りをよくすることが自律神経を整え、精神安定にもつながるとされています。春菊はビタミンA、C、鉄、カルシウム、食物繊維が豊富。これらは、自律神経を整える働きがあると言われる栄養素です。
すき焼きに入れるイメージがありますが、お肉の消化を助ける働きがあるので、理にかなった組み合わせなのです。
梅干しはクエン酸が多く、抗菌作用があり、昆布は水分代謝を促す働きがあるため、あわせて摂るとデトックスと疲労回復に役立ちます。
豆腐は低脂肪で消化に優しいタンパク質源としてぴったりですが、体を冷やす作用があるので温めて。木綿でもよいですが、口当たり滑らかな絹ごし豆腐がおすすめ。レンジですぐできて食べやすく、おかゆやうどんにのせてもおいしいです。
<材料:2人分>
春菊 40g 絹ごし豆腐 150g 梅干し 1個 とろろ昆布 ひとつまみ 塩 少々<作り方>
春菊は2cmほどの長さに切る(硬い部分は短く切る)。ボウルに入れ、絹ごし豆腐を半分に割ってのせ、ラップをかけレンジで約2分加熱する。水気を切り、塩を振る。 種を除いて刻んだ梅干しととろろ昆布を入れて、豆腐を崩しながら和える。おまけ:そばは消化対策にぴったりの食材
おろしそば 撮影/中村美穂大晦日に食べる「年越しそば」は、日本の食文化・風習のひとつ。私も大晦日に家族で天ぷらそばを食べ、おせちづくりをすることが、子どもの頃の食の記憶となっています。
そばのように細く長く、「健康長寿」を願うという意味や、ほかの麺よりも切れやすいそばを食べることで一年の災厄を断つという意味など諸説あるそうですが、そばは消化対策に適した食材でもあるのです!
薬膳においてそばは、胃腸を丈夫にして消化を促進する作用や、熱を下げ炎症を鎮める作用があるとされています。また、そばに含まれる「ルチン」には、毛細血管の壁を強くし、高血圧を予防する働きがあります。
大根おろしも消化酵素の働きで胃腸の動きを助け、炎症を鎮める効果があるとされ、さわやかな辛味で胃もすっきりします。
薬味のしそ、すだち、ネギ、わさびなども消化を促し、抗菌作用があり、まさに消化対策にベストな組み合わせといえます。
まずは胃を休めて、消化によい食事で回復を
食べすぎ・飲みすぎたら、まずは胃を休めることを優先しますが、活動エネルギーを補給し、新陳代謝を促すためにも、少しずつ、消化によいものを食べて回復させましょう。
せっかくの年末年始を心地よく過ごせるよう、一年がんばった体も休ませてあげたいですね。みなさまどうぞよいお年をお迎えください。
管理栄養士の「◯◯な日の栄養&ささっと献立」をもっと読む
便秘・むくみを解消したいときのメニュー3選、管理栄養士が教えます
中村美穂(なかむら・みほ)さん
管理栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。料理好きから管理栄養士となり、おいしく楽しく身体にやさしい料理やお菓子を探求。商品開発や、保育園栄養士としての給食作り・食育活動・食事相談等の経験を活かし、料理教室「おいしい楽しい食時間」を開催。書籍・雑誌へのレシピ提供も多数担当している。公式サイト
image via shutterstock