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ダイエッター注目の「赤身肉」は健康にいいのか、悪いのか?

2019/12/23 23:00 投稿

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一体、どちらが合っているのでしょう?

長年にわたって、医師や栄養士、および主要な保健機関が、赤身の肉の食べすぎはしないように強く推奨をしてきました。しかし、2019年9月30日に『Annals of Internal Medicine』誌(米国内科学会が発行する医学誌)で発表された衝撃的な研究報告では、「食べる肉を減らす必要はない」という結論が発表されたのです。ところが、専門家はこの内容に賛同していません

というのも従来は、多くの研究で、赤身の肉を減らすと心臓病や特定のがんのリスクを大幅に下げられると示されてきたのです。

「科学的な根拠が全体的に多いということは、赤身肉や加工肉を減らし、植物性の食品を中心にした食事スタイルの方が健康全般によいということ」と、『Appetite for Health』の共同設立者、管理栄養士のジュリー・アプトンさん。

野菜中心生活じゃなくってもいい!?

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今回の研究報告をまとめたのは、「信頼できる栄養ガイドラインによる推奨制定」を目指す栄養学者や健康研究者の新しい国際グループNutriRECS。研究報告(5つのレビュー集)を発表するため、NutriRECSメンバー14人からなる委員会が、過去に実施された76件の臨床試験のデータを検討したのです(被験者は80万人以上になります)。その結果が次の通り。

肉の消費が健康に潜在的にどのような悪影響を及ぼすのか。それを示すエビデンスの確実性は、低いか、あるいは非常に低いものとなっている。肉や加工肉を食べる影響は、肉と加工肉を直接食べても、さまざまな食事パターンの中で食べても、同等と考えられる。
肉または加工肉を週3食分減らしたとしても、絶対リスクの減少は非常に小さいか、またはおおむね取るに足らない程度と考えられる。

研究報告の著者は、成人は「未処理の肉と加工肉のいずれについても、今まで通りに食べ続けるべき」と結論付けました(弱レベルの勧告)。

医師と栄養士はどう考える?

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医師と栄養士は示された結論には釈然としていません。「今回のために研究が新しく行われたわけではないからです」と、Keatley Medical Nutrition Therapyの管理栄養士、スコット・キートリーさんは指摘。ガイドラインは過去の研究に基づいて異なる解釈を示したものです。

さらに多くの専門家は、NutriRecsが無名であるという面も引っかかっています。米国心臓協会、世界保健機関、米国国立がん研究所などの機関が示してきたものと同じように信頼性を持ち得ないのだとか。従来、こうした機関は、健康のためには赤身肉と加工肉を減らよう推奨してきました。

今回の研究は論外。食習慣をミスリードさせる可能性も。世界でこうした問題は関心を集めているのに」と、『Eat to Beat Disease: The New Science of How Your Body Can Heal Itself』の著者、ウィリアム・W・リー医師。

「今回の推奨は、世界の主要機関が検証してきたエビデンスとは相反する内容。どう栄養を摂れば、人々が健康になるかを考えてきて出てきた結果とは異なっているのです」

そんな簡単な話じゃなさそう

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もっとも、今回は、これまでの食生活をそのまま続けるように言っているだけ。「ここは批判したいところ」と、『The Little Book of Game Changers』の著者のジェシカ・コーディングさん(管理栄養士、認定栄養士)。

「公衆衛生上の懸念として言えば、がんのような慢性的な疾患の発生率を見ても、私たちの食習慣はとてもよいものとはいえない状況なのは明らか。責任ある勧告とはいえません」

Annals of Internal Medicineの編集者であるクリスティーン・レイン医師は、NPR(米国公共ラジオ局)のインタビューで勧告の出版を決定したことへの批判に対して弁明しています。

レイン医師は、赤身肉と加工肉が健康に与えるインパクトは、多くの人が考えているほど単純ではないことを今回の研究は端的に示したと説明。ラジオ局において、「私たちがよく分かっていないことである事実は、きちんと公にすべきだと考えている」と語っています。

それで、肉は悪いのか、そうでないのか?

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脂肪、炭水化物、砂糖、そのほかの単一の食品群と同様、ときどき赤身肉を食べたからといって健康を損なうことは非現実的。健康的な食事は、野菜、全粒穀物、果物、油、ナッツなど、多くの構成要素から成り立っており、週に一度ハンバーガーを食べたとしても、それは食事全体のごく一部に過ぎません。

「適度に肉を食べることは安全だし、豊富な鉄とタンパク質を摂取できるのはよいこと」と、カリフォルニア州サンタモニカのジョンウェインがん研究所の外科教授、消化器研究主任のアントン・ビルチク医師(医学博士)は説明します。しかし、多くの専門家同様、ビルチク医師も「頻繁に肉を摂取すると、一般的な病気のいくつかについてはリスクが高める」と認識しています。

「結局のところ、魚、牛肉、鶏肉、七面鳥、卵、豚肉、もちろんステーキなどすべての動物性食品はタンパク質やその他の栄養素の優れた供給源」とキートレーさん。どれを食べるかは個人的な問題。そこに別の確証の弱いガイドラインを出しても、人々は混乱するだけです。

そもそも肉の消費量が多すぎるのでは? という説も

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今回の研究報告では、欠点も認めています。「今回の評価はまだまだかもしれません。もちろん、今回の結果の通りであればと思っています。肉の消費によって健康にどのような影響が及ぶのか。その品質の高い科学的な根拠が積み上がるほどに、健康科学分野の研究者はますます創意工夫や想像力を発揮できるのは確か」と著者。

一方で、リー医師は、科学コミュニティに属する多くの研究者にとっては終わった問題だと見ています。

少量の肉や加工肉を食べることは有害ではないでしょうが、現代の肉の消費レベルは過剰。2019年1月に発行されたEAT-Lancetレポートで述べられているように、米国を含む先進国は個人、地球いずれにとっても健全なレベルをはるかに越える量を消費しているのです」

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