日やけ止めを毎日つけていても、なぜか防げないシミやくすみ。どうやら紫外線対策だけでなく、体内の“ある現象”を防がなければ、シミの増殖を止めることはできないようです。

「村上農園」のセミナーに登壇された山岸昌一教授(昭和大学医学部)の講演から、シミ・くすみ対策の新常識をご紹介します。

「糖化」が、老化と疾病の原因に

糖化研究の世界的権威として知られる山岸教授。糖化とは、タンパク質と糖が熱によって結びつく反応のことです。糖が過剰にこびりつき、元に戻れなくなったタンパク質はAGE(終末糖化産物)と呼ばれ、身体にさまざまな悪影響をもたらすと話します。

「タンパク質は人間の体を作る屋台骨であり、糖は貴重なエネルギー源。そして人間には体温があるため、ある程度の糖化は避けられません。しかし過剰な糖化によるタンパク質の劣化は、老化の大きな原因となることがわかってきました。さまざまな臓器の機能が低下し、心筋梗塞やがん、認知症などの発症リスクが高まるだけでなく、薄毛や皮ふのたるみ、シミ、シワといった見た目の老化も引き起こします」(山岸教授)

メラノサイトを刺激し続けるAGE

これまでシミ対策といえば、紫外線を防ぐ日やけ止めや、美白化粧品でケアしてきたという方が多いのではないでしょうか。紫外線は肌の真皮にあるメラノサイトを刺激することで、日やけやシミの原因になるメラニン色素を生成します。じつはAGEにも、紫外線と同じ作用があるのだそう。

「AGEは、紫外線と同じようにメラノサイトを刺激し、メラニン色素の生成を促す作用があるのです。

紫外線によって生成されるメラニン色素は、通常は時間が経つと新陳代謝で消えます。しかしAGEが真皮に滞在していると、メラノサイトを絶えず刺激し続け、過剰にメラニンが生成されます。これがシミの原因

紫外線とAGEはまさに“悪友”で、相乗効果でシミを増殖させてしまうのです」(山岸教授)

また、体内の糖化が進みAGEが蓄積すると、血流が悪くなりむくみが起こります。これが、透明感やツヤがなくなる「肌のくすみ」の原因になると山岸教授。体内の糖化を防がない限り、シミやくすみを根本的に防ぐことはできないようです。

肌の糖化を防ぐふたつのポイント

それでは、一体どうすれば体内の糖化を防ぐことができるのでしょうか。

「糖化を防ぐポイントはふたつ。AGEを多く含む食品を避けることと、体内での生成を防ぐことです」(山岸教授)

ステーキの焦げ目や、ホットケーキのきつね色はAGEの塊。一般的に、肉や脂肪を含む食材を高温で揚げたり、焼いたりした食品には、多くのAGEが含まれています

山岸教授によると、食品中のAGEの7%は体内にとどまり、腸内細菌を悪玉化させてしまうのだそう。揚げ物を避け、蒸し料理や茹で料理、低温調理を増やすなど、ふだんの食事に気を配ることが大切です。

そして、体内での生成を防ぐために有効なのが、糖化を防ぐ作用のある抗糖化食品を食事に取り入れること。最初に野菜を食べるベジファーストや、よく噛んでゆっくりと食べるなど、血糖値の上昇を抑える食べ方も効果的だといいます。

「糖化と肌老化」から考えるシミ・くすみ対策、次回は山岸教授おすすめの抗糖化食材や、抗糖化力を高める食べ方のコツについてうかがいます。

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山岸昌一(やまぎし・しょういち)教授
昭和大学 医学部 内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌内科学部門 教授。AGE研究の世界的権威。テレビ、ラジオ番組を通じて「AGEを抑え、老化を防ぐ方法」について一般向けに啓蒙活動を実施。AGEに関する研究で、日本糖尿病学会賞、アメリカ心臓病協会最優秀賞を受賞し、600本を超える英文論文を発表。

村上農園

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