世界が注目する「オキナワダイエット」って、一体なに?
日本の沖縄には、世界のどの地域よりも多い「センテナリアン」が暮らしています。センテナリアンとは、99歳以上の人々のこと。
沖縄は、長寿で健康な人々が住むエリア「ブルーゾーン」のひとつとして知られています。ブルーゾーンでは、とりわけ肥満と心臓病、糖尿病、がんのような慢性的に続く病気の人の割合が低いのです。専門家の研究では、地域ならではの食、つまり沖縄食(Okinawa Diet/オキナワダイエット)に秘訣があると考えています。
「長寿には数多くの要素が関係してくると考えられます。でも鍵となるのはヘルシーな食生活でしょう」と、解説するのはニューヨークのマウントサイナイ医科大学心臓病学臨床助教で、体重管理スペシャリストのルイーザ・ペトレさんです。
今回は、沖縄食がどのように健康を改善するのかを見ていきましょう。
沖縄食がヘルシーな理由
image via shutterstock沖縄食とは、日本の沖縄の島々に住む人々の伝統的な食事の様式です。豊富な野菜とシーフードを摂取して、加工食品をあまり摂らないことが、この様式の特徴となっています。
ペトレさんは、多くの沖縄人は適度な食事量を心がけ、食は体を養生するものと考えている、と述べています。沖縄食でよく使われている食材には、たとえばこのようなものがあります。
食物繊維が豊富に含まれる炭水化物。サツマイモ、根菜類、ソバなど。これらは沖縄の人々の一食の半分以上を占めます。 大豆食品。豆腐や味噌など。 シーフードや海藻。こんぶやひじきなど 少な目の赤身肉。とりわけブタ しいたけとゴーヤ ジャスミンティー沖縄食で、お菓子や油分を加えた食品は、あまり登場しません。沖縄の人々は特別な機会にだけ甘いおやつを楽しむようです。
加えて、多くの料理は蒸すか、すばやく炒められたもの。だからさほど油分が加わっていません。消費する脂肪のほとんどは、オメガ3系脂肪酸が豊富な魚由来のもの。
典型的な沖縄の料理は、野菜の炒め物や煮物、味噌汁、豆腐や魚の小鉢料理です。「こうした料理は砂糖があまり含まれませんから、(西洋式の食事と比べて)自然とヘルシーになります」と、登録栄養士、公衆衛生学修士、シャリ・ポートノイさんは説明します。
沖縄食はダイエットと長寿に役立つの?
image via shutterstock食物繊維が豊富な食材をより多く、加工食品をより少なくしていくと減量につながるのは、秘密でもなんでもありません。しかし、それだけではなく、多くの人は「腹八分」という言葉に従っています。つまり満腹になるまで食べないということ。
しかし、沖縄の人々は食べ過ぎを避けるために食べ物を計量しているわけではありません。「沖縄の食生活はカロリーや分量でなく、思慮深さや健康に根ざしているといえるのでしょう。食べるために生きるではなく、いわば生きるために食べる」と、ペトレさん。
確かに、沖縄食のような食生活は健康状態全般を改善し、長寿につながるでしょう。海藻、苦瓜、シイタケ、そして脂肪の多い魚には、糖尿病、心臓病、認知症、そしていくつかのがんのリスクを下げてくれる抗炎症効果を持つ植物性の化学物質が含まれています。
逆に、あまり食べないものは?
image via shutterstock沖縄の人々が食べていないものに着目することも大事。
精製された炭水化物と糖分の多い食べ物は、血糖値を急上昇させ、空腹感をもたらします。「それは慢性疾患のリスクを劇的に増やす炎症が促される状態につながります」と、ペトレさん。
アメリカ国立衛生研究所(NIH)によると、沖縄の人々は肉を摂りすぎることがないため、飽和脂肪を取ることが少なく、心臓病のリスクも少ないのです。
沖縄食には欠点があるのでしょうか
image via shutterstockポートノイさんによると、沖縄食を真似ていれば、健康面で何もマイナスはないそう。サツマイモ、海藻、豆腐、そして脂肪の多い魚を食べていれば多くのメリットがあることでしょう。
しかし、多様な品目と風味に慣れ、沖縄のスタイルに純粋にこだわっていると、例えばタンパク質不足のような栄養の欠乏や退屈、過度な食欲を招くことがあります。
沖縄食をどうやって始めるか
image via shutterstockひと晩で今までの食べ方を完全に変える必要はありません。代わりに、普段の食事を沖縄食と入れ替えていきます。「マイナーチェンジだったとしても、健康に前向きなインパクトを残すでしょう」(ペトレさん)
サツマイモに親しむ。ペトレさんは炭水化物を毎日サツマイモから摂るよう勧めています。また、パスタや白米のような炭水化物を、そばや玄米のような炭水化物に置き換えます。 野菜を大黒柱にする。毎回の食事にケールやブロッコリー、キノコ類を取り入れることを目指します。海藻も。穀類のサラダにヒジキ、スープに昆布をトッピングしてみては。 タンパク質を再考する。豆腐、豆類、マメ科植物など植物性タンパク質にこだわります。毎週少なくとも数回は脂質の多い魚を取り、赤身肉はたまに。 糖分の多いお菓子は避ける。クッキーやその他甘いお菓子は特別な機会に取っておきましょう。もし食間にお腹が本当にすいたら果物一切れ、ナッツ類一掴み、もしくは味噌汁一杯を代わりに。 もっとお茶を飲む。ジャスミンティー、緑茶、紅茶などの砂糖を加えないもので、抗酸化物質をより多く摂ろう。食べるものから変えていく
Marygrace Taylor/Okinawa Diet The Japanese Way of Eating for a Long Healthy Life/STELLA MEDIX Ltd.(翻訳)