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日本では2020年オリンピックに向け、猛暑対策の一環でサマータイム導入が検討された時期がありました。しかしその一方で、2021年には欧州連合がサマータイムの実施にピリオドを打ちます。

フランス人の本音は、「1時間早く起こされるサマータイム開始は辛い!」

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サマータイムは、春に1時間時計を早め、10月末に1時間時計を遅らせるというものです。毎年3月最終日曜日の午前2時、10月最終日曜日の午前3時にそれぞれ時間が変更に。実際に生活していると「いつの間にかサマータイムになった」、という印象を持ちます。「スマホの時計とリビングのアナログ時計が1時間狂ってる」と思ったら、サマータイムが始まる日なのです。

私も含め、決まって周囲の人が漏らすのは、「春のサマータイム開始が苦手」、「1時間早起きするのがつらい」、「秋の冬時間開始の方が一時間長く寝れるからいい」というもの。1時間睡眠時間を削られたら、体が疲れを感じるのは当然です。

毎年2回時計をずらすこの試みは、私が住んでいるフランスのみならず、年々ヨーロッパ諸国の不評をかっており、2019年に行なわれた欧州連合の世論調査では、84%の人がサマータイム廃止を支持していました。

時間変更の翌日に、心臓発作の発生率が約25%あがる

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2016年にワシントンで行なわれた「American College of Cardiology」の定例会では、春の時間変更の翌日月曜日の朝に、心臓発作で倒れるリスクが25%を越えることが報告されています。

これについて、コロラド大学心臓専門医のAmneet医師は次のように説明しています。

新たに仕事が始まる週のスタートは、ただでさえストレスを抱えることがあり、これが(時間変更による)睡眠サイクルのリズム変化によって助長されてしまう。

「Science et avenir」より翻訳引用

これを裏付けるために、ミシガンにある複数の病院で春の時間変更後の心臓発作のケースを調べたところ、時間変更後の翌月曜日にその症例が毎年上がっていることが報告されています。

この結果に関して、以下のことが考えられています。

ほんのわずかでも睡眠サイクルが修正されることで、私たちの健康に害を与えることがある。「Science et avenir」より翻訳引用

また、欧州委員会による2015年9月の調査でも、次のように報告されています。

(サマータイムの時間変更の際)健康状態が体内のバイオリズムの変化に悪影響を受け、睡眠障害をもたらす可能性がある。「le monde」から翻訳引用

このことから、春の時間変更後に、単純に1時間睡眠時間が減ることにより、睡眠障害が引き起こされてしまい、さらなる睡眠不足に陥る可能性も考えられるというのです。

今後、夏時間か冬時間かの選択が迫られる

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フランスを例にとると、サマータイムの導入は1976年に第一次石油ショックが起きた際、エネルギー消費を抑えるために開始されました。また、地続きになっているEU全体では、当事国のコミュニケーション上の便宜や交通の便から、1998年に足並みを揃えて導入しています。

現在世界で約76の国々がサマータイムを毎年実施していますが、2021年からは欧州連合加盟国28カ国ではサマータイム廃止が決定しました。

これに向けて、今後夏時間を保持するのか、冬時間をベースにするのか、選択が迫られることになりました。

フランスでの生活を例に考えると、夏時間を保持すれば、11月から2月頃にかけて、暗闇の中で朝8時頃学校や会社に行かなければなりません。一方、冬時間を保持することになれば、夏の間は夜11時頃まで外に光がある状態が続いて、ついつい夜更かししてしまいそうです。

どちらを選んでも、何かしらのマイナスポイントはつきものです。

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