新しい研究によると、記憶力や思考能力を最大に引き上げるためにすべきことは、“とにかく動くこと”だそう。日常的な運動でもいいし、ただ家事をするだけでもかまいません。
動いている人のほうが記憶力はいい
image via shutterstockその研究は、米国神経学会の医学誌『Neurology』の2019年1月16日のデジタル版に掲載されたもの。研究者らは454人の身体的活動レベルを調査しました。
被験者は平均しておよそ2年後には亡くなっていますが、そのうち191人は認知症で、残りの263人はそうではありませんでした。被験者の死後、科学者たちは脳細胞を調べ、より身体を動かしていた人たちのほうが、なんらかの形で脳がより守られていたことを発見したのです。
「まったく動いていなかった人にくらべて、たくさん動いていた人のほうが思考能力や記憶力がよい状態にありました」と説明するのは、米国神経学会会員で研究の著者、シカゴのラッシュ大学医療センターのアーロン・S・バッチマン医学博士です。
「脳に認知症の兆しがみられる場合、動くことが本質的に思考力や記憶力の維持を助ける備えとなっていることがわかりました」
運動技能(動きやバランスを助ける能力)がいっそうすぐれている状態であることと、思考力・記憶力がよりよい状態にあることには相関関係があることも判明したのです。
運動には、脳を守る力があるのかもしれない
image via shutterstockこの発見を受けて、バッチマン医学博士は人々に動くことを推奨しています。「運動はお金をかけずに健康を向上させる方法です。そして我々の研究では、運動には脳を守る効果がある可能性が示唆されました」と博士は話します。
しかし同時に、研究ではいかなる原因と結果も示されておらず、記憶や思考能力を失うにつれて身体活動も落ちていった可能性があることは、博士も指摘しています。
「動くことが、脳にとって本当にメリットがあるのかどうかを見極めるためにも、さらなる研究が必要なのです」とのこと。
動くことが、科学が推奨する記憶力を保つ唯一の方法ではありません。栄養や記憶力を高めるパズルやゲーム、適切な睡眠など、記憶力を鍛えるための科学的に裏付けられた方法はほかにもあります。
今日からできること
image via shutterstockソファから立ち上がって動くためのモチベーションが必要な人へ。
1日たった30分歩くといったエクササイズでも、気分がアップして、想像力が高まり、体重が減って、糖尿病などの慢性の病気になる確率が下がり、さらに消化にもよいなど、健康によいことがたくさんありますよ!
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訳/Maya A. Kishida