最近、疲れが溜まっているーー。

そう感じたとき、食卓に登場させたい食材が鶏むね肉です。鶏むね肉に豊富に含まれる“ある成分”がもたらす、驚きの疲労回復パワーについてご紹介します。

日本人が一番食べるのは「鶏肉」

手軽にタンパク質を摂りたい。そう思ったとき、いま多くの人が選ぶのは魚よりも肉かもしれません。

水産庁のデータ(※1)によると、日本人ひとりあたりの魚介類の消費量が減少しているのに対し、肉類は増えているとのこと。

なかでも増えているのが鶏肉で、豚肉を抜いて消費第1位となり、この40年で2.5倍も食べられるようになったといいます(※2)。

鶏肉に含まれる、うれしい健康効果のある栄養素

鶏肉は、牛肉や豚肉にくらべてタンパク質は多いのに、脂肪の含有量が少なく低カロリーなヘルシー食材

ちなみにタンパク質に含まれるアミノ酸のトリプトファンは、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンを生み出す元となり、精神の安定に効果があると言われています。

同じくアミノ酸の一種であるロイシンは、筋肉の分解・合成に関わることからロコモティブシンドロームを予防する働きがあります。

また、皮膚や粘膜、眼の健康を保つ作用があるビタミンAも豊富に含まれているとのこと(※3)。

食肉のおいしさを担ううまみ物質のグルタミン酸やイノシン酸が多いことも(※4)、鶏肉の魅力のひとつです。

もも肉とむね肉、どちらを選ぶ?

高タンパク・低脂肪というヘルシーな栄養価値が持ち味の鶏肉。むね肉ともも肉を可食部100gあたりの栄養素で比較すると、下記の違いがあります(※5)。

タンパク質

むね肉皮なし 23.3g もも肉皮つき 16.6g もも肉皮なし 19g

カロリー

むね肉皮なし 116kcal もも肉皮つき 204kcal もも肉皮なし 127kcal

脂質

むね肉皮なし 1.9g もも肉皮つき 14.2g もも肉皮なし 5g

「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、日本人が一日に必要なタンパク質の推奨量は、成人女性の場合50g(身体活動レベルが普通のとき)。

鶏むね肉なら一日200〜250gで摂取でき、脂質も控えめですむことがわかります。鶏むね肉は、私たちの健康を担う優等生食材と言えそうですね。

渡り鳥が、休みなく飛び続けられるパワーの源

今、鶏むね肉を摂るメリットとして大きな注目を集めているのが、「イミダゾールジペプチド」という抗酸化・抗疲労成分です。

「イミダゾールジペプチド」は、「カルノシン」や「アンセリン」など、動物の筋肉にある2種類のアミノ酸(ヒスチジンとβ-アラニン)が結合したジペプチドのこと。

この成分、およそ1万km以上も休みなしで飛び続ける渡り鳥のパワーの源になっていると言われています。渡り鳥の翼の付け根の筋肉には、「イミダゾールジペプチド」がたくさん含まれているとのこと。

そして、抗疲労効果がある成分のなかで最も高い抗疲労効果があることが、日本の産官学連携プロジェクトで世界に先駆け検証されたそう。

鶏むね肉には、疲労回復成分「イミダゾールジペプチド」が多い

鶏むね肉は、食肉のなかでもっとも「イミダゾールジペプチド」が多い食材です。「イミダゾールジペプチド」は肉体疲労だけでなく、脳の疲労にも効果があるといわれています。

さらに、抗酸化作用によるアンチエイジング効果やがん予防、アルツハイマー型認知症の予防・減速など、さまざな領域でも研究が進められているといいます。

人間の体内にある「イミダゾールジペプチド」は、加齢とともに減少することがわかっています(※6)。

ストレスフルな現代人にとって、「イミダゾールジペプチド」が豊富な鶏むね肉は欠かせない食材。下記のレシピなどを参考に、ぜひ毎日の食事に取り入れてみてください。

さっぱり鶏チャーシュー

「イミダゾールジペプチド」は煮汁の中に溶け込んでいるので、煮汁もおいしくいただくのがポイント。煮汁を別の料理に活用するのもおすすめです。

<材料>(2人分)

鶏むね肉 1枚(約300g) しょうが 1かけ にんにく 1かけ 赤とうがらし 1本(お好みで) ぽん酢 1/2カップ(100ml) 水 1/2カップ(100ml)

<作り方>

しょうがは薄切り、にんにくは軽くつぶす。 鶏むね肉は皮つきのまま使用し、余分な水気をペーパータオルでふき取る。表面をまんべんなくフォークで刺す。 フライパンにぽん酢、水、しょうが、にんにく、赤とうがらしを入れ、煮立てる。煮立ったら鶏肉の皮目を上にして入れ、ふたをして中火で片面約7分ずつ、14分間蒸し煮にする。煮汁がブクブク泡立つことで煮詰まり、照りがでる。 火を消し、ふたをしたまま10分ほど、皮目を下においておく。 鶏肉を取り出し、お好みの厚さに切り、器に盛る(熱いので気をつけて) 。 煮汁は再び中火で全体がブクブクと煮立つまで温め直し、鶏肉にかけていただく。ブクブクと煮立たせることで、より濃厚なソースになる。

※付け合わせの野菜は、水菜、レタス、キャベツなどお好みのものを。
※おいしく食べられる期間は、鶏チャーシューを煮汁につけおき、冷蔵保管で翌日(調理後24時間以内)まで。

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※1 水産庁「平成29年度水産白書」
※2 農水省「食料需給表」
※3 文部科学省「食品成分データベース」 より。ビタミンAはレチノール活性当量。
※4 特定非営利活動法人 うま味インフォメーションセンターの調査より。
※5 文部科学省「食品成分データベース」
※6 出典「Concentrations of free carnosine (a putative membrane-protective antioxidant) in human muscle biopsies and rat muscles」 Hans Joerg Stuerenburg Klaus Kunze 「Archives of Gerontology and Geriatrics」Volume 29, Issue 2, September 1999

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