加齢とともに気になり始める、薄毛や抜け毛。年を重ねることで髪の太さやボリュームがダウンする傾向にあるのは事実だけれど、

「年齢相応の髪の元気を維持し、そのエイジングのスピードをゆるやかにすることは不可能ではありません」

と浜中聡子先生は言います。

健康な髪を維持するには、生活習慣が密接に関わっているのだそう。米国抗加齢医学会専門医や国際アンチエイジング医学会専門医など、多くの資格を持つ浜中先生の知識が詰まった著書『髪をあきらめない人は、3つの生活習慣を持っている』から、今すぐ見直すべき5つのNG習慣について紹介します。

健康な髪の第一条件は、体と心が健康であること

ホルモンバランスに着目した女性医療が受けられる、ウィメンズヘルスクリニック東京院長を務める浜中聡子先生。

女性ホルモンに着目し、心身ともに健康で充実した毎日を過ごせるよう医学的見地からのサポートを行い、多くの女性から高い信頼を得ていることで知られます。

そもそも髪の毛は死んだ細胞の集まりで、髪の毛そのものに直接アプローチして強く豊かになってもらうのは不可能。

ヘアケアで一時的に美しく見せることはできるものの、いつまでも豊かな髪でいたいならば、「土台」となる部分、つまり毛母細胞がより活性化するように体を整えることのほうがはるかに重要なのだとか。

そのために欠かせないのが体そのものの健康だと、浜中先生は言います。髪は命に関わらないので、体の栄養や酸素が不足したときに後回しにされる部分。

だから、体の健康を維持できてこそ、髪の毛母細胞にも十分な酸素や栄養が行きわたり、髪の老化のスピードを遅らせることにも繋がるのです。

【NG習慣1】干からびた食生活

仕事などで忙しく、不規則だったりファストフードやコンビニ食に頼りがちだったり、そんな「干からびた食生活」では健康な髪は望めません

その多くは、油分と脂質、塩分が多めという特徴があり、ビタミンやミネラルが不足しがちに。そこで、浜中先生は和食をおすすめしています。

「生」のほか、「蒸す」「網焼き」などの調理法が多用される和食は、油脂が自然と抑えられます。髪にもダイエットにも、一石二鳥の料理なのです。

(『髪をあきらめない人は、3つの生活習慣を持っている』50ページより引用)

とくに、魚介や野菜、豆、木の実や種子、海藻、きのこ、いも類は積極的にとりたい食材。とはいえ、現代社会において「つねに栄養バランスがとれた食事をする」というのはなかなか厳しいものです。

朝がコーヒーだけなら昼は和定食に野菜をプラスする、など「1日」「1週間」単位で食生活のバランスをとればOK。こうした意識があるだけで食生活は整い、体と髪の状態はよい方向に向かうと言います。

【NG習慣2】食べないダイエット

適正体重を保つことは髪の健康のために大切だけれど、低カロリーの食品をひとつ選び、ひたすら食べ続ける単品ダイエットは肌も髪もボロボロになりがち

摂取カロリーを制限することで体は一種の飢餓状態となり、脳や内臓など優先順位の高い部分に栄養がまわされるため、抜け毛や薄毛が生じやすくなります

20代の若年層で起こる抜け毛や薄毛では、こうした過激なダイエットが原因というケースが少なくありません。

(『髪をあきらめない人は、3つの生活習慣を持っている』62ページより引用)

ダイエットをしたい場合は、栄養のバランスを崩すことなく、総量を減らしていくことがポイント! さらに、1カ月でいまの体重のマイナス5%(50kgなら2.5kg減)までの減量にとどめます。

糖質、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素をそれぞれ1割減するイメージで、体に優しく継続できるダイエットを実践していきましょう。

【NG習慣3】24時を過ぎてからの就寝

髪の成長には、質のいい睡眠が欠かせません。カギとなるのは、成長ホルモンの分泌です。

成長ホルモンは十分に分泌されることは、たんぱく質を主な構成成分とする髪にとって大きなプラスの影響をもたらすのです。

(『髪をあきらめない人は、3つの生活習慣を持っている』69ページより引用)

この成長ホルモンが1日のうちでもっとも分泌されるのが、睡眠時なのだそう。そして、髪を作り出す毛母細胞の分裂のピークは21時頃で、髪の成長が活発化するのは22時から午前2時頃だと浜中先生は言います。

理想の就寝時間である22時に床につくのは難しいので、「日付が変わる前に床につく」ということを習慣化することが重要に。そして、6~7時間の睡眠をキープすることをめざすといいそう。

【NG習慣4】日頃の運動不足

抜け毛や薄毛の原因のひとつとして、女性ホルモンの分泌量低下に加え、頭皮への血流の低下があげられます。髪は、頭皮にある毛細血管から供給される血液からの栄養や酸素を使って生み出され成長していきます。

血液の流れが悪くなると毛母細胞が栄養不足に陥り、髪全体が薄くなってしまうことに。そこで、おすすめは歩くこと

適度な運動は、血液を送るポンプである心臓の鼓動を速め、動脈など太い血管から細い抹消血管まで、全身にまんべんなくたくさんの血液を行き渡らせてくれます。

もちろん頭皮の血管にも到達します。 適度な運動こそ、もっとも確実に血流を促す方法なのです。

(『髪をあきらめない人は、3つの生活習慣を持っている』80ページより引用)

浜中先生の言う歩くこととは、ウォーキングのようにスポーツとして取り組むのではなく、日常の中で歩く行為を増やすことを指します。

一日の歩数にこだわらなくてもOKで、エスカレーターではなく階段を使う、少し遠くのスーパーへ行く、一駅分歩くなど、「できるだけ歩くようにしよう」という意識が大切なのだとか。

【NG習慣5】過剰なヘアケア

「ヘアケアを過剰にしすぎると、逆に頭皮環境を悪化させてしまうと肝に銘じましょう」と浜中先生。健康な頭皮は青白い色をしており、この状態なら1日1回のシャンプーとコンディショナーで十分とのこと。

それにもかかわらず、「毛穴の皮脂は薄毛を招く」→「皮脂は何がなんでも取り去るべきだ」といった間違った情報に踊らされ、1日2回など、必要以上にシャンプーをしてしまうと、頭皮が乾燥状態になりかねません。

(『髪をあきらめない人は、3つの生活習慣を持っている』112ページより引用)

抜け毛や薄毛が気になる場合のヘアケアとしてまず行うべきは、シャンプーの見直し。洗髪直後の頭皮をチェックして突っ張りを感じたりかゆみがあったりするなら、洗浄力や脱脂力が強すぎるので、マイルドなものへと変更が必要になります。

また、翌朝の状態がかゆみやベタつきを感じるなら、先ほどとは逆にもう少し洗浄力の強いものへと替えるといいそう。

ヘアスタイルや加齢によって合わなくなることもあり、洗い心地に違和感を覚えるようならば、「まだ残っているから」と無理に使いきるのではなく、随時見直すことが重要に。 頭皮が健康であってこそ、髪も豊かに美しくなるのです。

普段、無意識にしてしまっているよくない習慣は思い当たる節がたくさんありました。生活習慣をリセットしやすい年末年始の休みを使って、少しずつ改め、健やかな髪を育んでいけるといいですね。

浜中聡子(はまなか・さとこ)さん

医学博士。北里大学医学部を卒業後、米国抗加齢医学会専門医や国際アンチエイジング医学会専門医、米国先端医療学会専門医など多数の資格を取得。2009年10月、ウィメンズヘルスクリニック東京の前身であるAACクリニック銀座院長に就任する。女性ホルモンに着目し、心身ともに健康で充実した毎日を過ごせるよう、医学的見地からのサポートを行い、多くの女性から高い信頼を得ている。著書に『女性のための“頭髪外来”』(Kindle版・扶桑社)など。

[髪をあきらめない人は、3つの生活習慣を持っている]

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